オカルト哲学 3-7

ページ名:オカルト哲学 3-7

第7章 真の神の知識は魔術師には不可欠であることと、古の魔術師と哲学者らは神についてどう考えていたか


 万物の存在も働きもいと高き神、万物の創造主に拠っており、他の神的な諸力も従属し、さらに一部の形成と創造の力も与えられているが、それらは主なものではなく、第一の創造者の徳による道具としてである。全ての始まりは第一原因である神であり、第二の諸原因によって造られたものよりも、第一原因が造り出したものは遥かに多く、ゆえに神は第二の諸原因の創造者であり、我々は第二のものらを神々と呼ぶのである。そのため、あらゆる魔術師は神、第一原因、万物の創造主についてよく知る必要がある。また、他の神々、私が第二の諸原因と呼ぶ神的な諸力についても無知であってはならない。崇敬、尊敬、聖なる諸儀礼がすべての状態に適合しているならば、それらも崇拝されるべきだからである。
 そのため、神々を招聘する際には、彼らに与えられるべき名誉を授けずに、彼らに属するものを正しく与えなかったならば、彼らの出現は好ましいものとはならず、彼らからどのような成功する効果も得られないであろう。調和された(弦楽器の)一本の糸が切れたら、楽器全体が壊れるように、時には(神々の)懲罰を受ける事があるからである。それらについては、聖書でアッシリア人のシャルマネセル王がサマリアに植民をしたが、彼らはこの地の神の掟を知らなかったので、主は獅子を送り何人かを殺したが、それは彼らがその地の神の権利に無知だったからである*1
 そのため次には、古の魔術師と哲学者らは、神についてどう考えていたかを見るとしよう。私がキプロス島の暴君ニコクレオーンについて読んだ話では、神の中で最も偉大な者は誰かと長く尋ねていると、セラピス神*2の神託がそれに答え、この神こそが最も偉大な者であり、その頭は天にあり、その腹は海にあり、その足は地にあり、耳は空に、その目は栄光ある太陽の光に置かれていると。これと似たような事もオルペウスがこれらの詩で詠っている。


「天はユーピテルの宮殿であり、彼は万物の王、泉、徳、神である。
 彼は全能にして、その胸は地であり、水、火、風は残りである。
 夜も昼も、甘い愛とともにある真の知恵も、
 これら全てはユーピテルの広大な体の中に含まれる。
 汝が見れたとしたら、その首と栄光ある頭を
 高き主権ある天を見よ。
 星々の栄光の光線は、彼の黄金の巻き毛、頭の装飾を表す。」

 また、他の箇所でも、

「輝くポイボス(太陽)と月は、大いなるユーピテルの二つの目、
 これにより彼は万物を見通す。
 全てを予知する彼の頭は空にあり、
 そこからは、どのような音も秘密裏に囁けない。
 この頭は万物を貫く。彼の体は長くも幅を広くも、
 大きく拡張し、その限界も終わりも知らない。
 広大な空は彼の胸、風は彼の翼、
 これにより彼は誰もが思うよりも早く飛ぶ。
 彼の腹は我らが母なる大地、巨大な山々を膨れさせ、
 海は満たされ渦巻く。彼の足は岩と石であり、
 それらによるこの球は世界の基盤である。
 このユーピテルは、地の底に万物を隠し、
 その深淵より光の下へとこれらをもたらす。」


 そのため、彼らは世界全体をユーピテルのもので、その中に世界を含んでいる世界魂を真に生み出したと考えた。ゆえにソポクレスは、この広大な天と地を造ったのは真に唯一の神しかいないと述べ、エウリピデスは、その腕にあらゆる場所、計り知れない天と地を抱くいと高き方を見よ、彼をユーピテルと信じ神と見做せと述べた。また詩人のエンニウスも詠う。


「見よ、深遠に輝き、万物がユーピテルと呼ぶ方を――」


 そのため、世界全体はユーピテルであり、ポルピュリオスが言うように、万物はこの神より創造され、この神は全ての神々により構成されていた。だがユーピテルは我々が理解できる限り、そこから万物は生み出され、その知恵により万物は創造された。ゆえにオルペウスは聖なる御言葉について詠う。


「万物を創造し、維持し、その上に君臨する唯一の神がある。
 我らの心では彼のみを理解され、
 哀れな死すべき定めの者らには、彼は悪しき意図を持たない。
 彼を除いては、他の神々はいない――」

 また少しの後にも、

「彼は始まり、半ば、終わりである」


 そして古の預言者モーセが教えるように、神はこれらの事柄を遥か太古に2枚の石板により預言者に与え*3、同じ個所で自らを唯一の大いなる創造主で不死なる者と呼んでいる。
 同様にゾロアスターも、ペルシアの聖なる歴史の書*4にて神を定義しているが、そこでは神は万物の第一の者で、腐食も腐敗もせず、生まれも死ぬことも無く、部分も無く、自らに似た全ての良きものの創造主であり、万物の父、最も慈悲深く賢明で、正義の聖なる光であり、自然の絶対の完成、考案者、知恵そのものであるという。
 またアプレイウスも神を王、全ての自然の起源、基盤、最初の始まりで、霊らの至高の父、永遠なる者、生き物の保護者、繁殖する父、時空や他の環境により理解されず、そのため僅かな者のみが想像でき、誰も述べられないとした。
 これらから、エウリピデスはいと高き神をユーピテルと呼ぶように命じている。その頭より万物は来たるとオルペウスは詠い、他の(神の)諸力は従属するもの、すなわち神そのものではなく、分離したものと見做していた。これらを哲学者らは神の御使い、天使ら、分離された知性体と呼んだ。そのため、彼らはいと高きユーピテルのみを宗教的に崇拝すべきで、他の神的な諸力は神を称えるためで無い限りはすべきで無いと述べた。


オカルト哲学 3-8
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 列王記第二 第17章24-25節。
*2 古代ギリシアとエジプトの習合神。太陽神としてそのカルトは古代地中海世界全体に広がり、キリスト教と激しくぶつかり合っていた。
*3 出エジプト記 第31章18節。
*4 アヴェスター、ゾロアスター教の聖典。