オカルト哲学 2-58

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第58章 天の魂らの名前と、この小宇宙、すなわち人体への影響について


 天の魂らの名前は数多くあり、それらが低位物に及ぼす力と性質に従って様々である。それらにより、古人らは神の名を受け取り、その賛歌や祈りにおいて用いていたのである。
 汝が観察しなくてはならない事として、オルペウスの神性についての書によれば、これらの魂には2つの性質があるという。一つは知る機能であり、もう一つは活性化させ肉体を制御する機能である。天の圏のこれらについて、オルペウスは前者をバッコスの性質と呼び、後者をムーサの性質と呼んでいた。彼はバッコスらに酔わされておらず、彼のムーサと付き合ってもいないからである。そのため9柱のバッコスらは、9柱のムーサイと関連づけられている。
 オルペウスは第9圏(神、第一動者の圏)にはバッコス クリボニウスとムーサ カリオペーを、星座の圏にはピキオニウスとウーラニアーを、土星の圏にはアンピエトゥスとポリュヒュムニアーを、木星の圏にはサバジウスとテルプシコラーを、火星の圏にはバッサリウスとクレイオーを、太陽の圏にはトリエテリクスとメルポメネーを、金星の圏にはリュシウスとエラトーを、水星の圏にはシレヌスとエウテルペーを、月の圏にはバッコス リュエウスとムーサ タレイアを配置していた。
 またエレメンツの圏においても、彼は同様にその魂らを名付けている。火には惑星や朝と、風には稲妻やユーピテル、ユーノーと、水には海やテテュスと、地にはプルートーやプロセルピナと名付けている。
 そして宇宙あるいは世界魂に対しては、魔術師らは世界のユーピテルと、世界の精神にはアポローンと、世界の自然にはミルネウァと呼んでいた。火に対しては彼らはウゥルカーヌスと、水に対してはネプトゥーヌスと呼ぶほかに、彼らはこれらを様々な名前で呼んでいた。
 また黄道12宮の星々をピュタゴラス学派はそれらの心臓(の星)に、12の特定の神々を置き、よってそれらの星々の集まり全体を支配するとした。白羊宮の心臓にはパラスを、金牛宮の心臓にはウェヌスを、双児宮にはポイボス(アポローン)を、巨蟹宮にはメルクリウスを、獅子宮にはユーピテルを、処女宮にはケレースを、天秤宮にはウゥルカーヌスを、天蝎宮にはマールスを、人馬宮にはディアーナを、磨羯宮にはウェスタを、宝瓶宮にはユーノーを、双魚宮の心臓にはネプトゥーヌスを置いた。これらについて、マニリウスは以下の詩を詠っている。


「パラスは羊を支配し、ウェヌスは雄牛を、
 ポイボスは双子を、メルクリウスは蟹を支配し、
 ユーピテルは獅子を守り、
 ケレースは乙女を、ウゥルカーヌスは天秤を動かし、
 蠍のためにはマールスが、人馬には公正なディアーナが扱い、
 山羊にはウェスタが扱う。
 水瓶をユーノーは保護し、ネプトゥーヌスは魚を保護する――」


 そして、最古のオルペウスはムーサイについての書の中で、これらよりも多くの天の神々について記しており、彼らの名前、特徴、任務について明らかにして、彼ら全てを適切な歌によって呼んでいた。よって誰も彼らを欺きの悪霊とは考えず、自然で神的な性質があり、どのように彼らを使うかを知っている真の神によって、人に仕えて利益となるために世界に分布されたと考えるようにせよ。
 そして古代ではこれらの神々のそれぞれを、人体の様々な部分へと割り当てていた。耳は記憶と関連し、ウェルギリウスはこれをポイボスに帰するものとし、キュントス*1は我が耳を引き、私に気づかせたと述べている。また、右手は不屈の象徴であり、これにより誓いはなされ、リウィウスが言うには、ヌマ ポンピリウス王はこれを信念へと捧げており、指はミネルウァの指導の下にあり、膝は寛大さに与えられている。ゆえに、慈悲を乞う者らは膝を折って祈るのである。ある者らは臍を、贅沢の場所としてウェヌスに帰するものとし、別の者らはここが体の中心である事から、ユーピテルに帰するものと述べている。そのため、アモン ユーピテル神殿では臍の像が良く知られていた。
 古人らは他にも多くの事柄を観察しており、あらゆる人体の部分や関節を彼らの神々に帰するものとした。彼らが正しく理解し、真の神が彼らを支配するのを知っていたら、彼らの任務から逸れる事は無かったろう。また、聖書が証言するには、人体の全ての部分は上位の徳質により支配されており、それらについては私は次の書でより詳しく述べるつもりである。また、人体の部分のみならず、人のあらゆる行いはその神々に関連づけられていた。狩りはディアーナに、戦争はパラスに、農耕はケレースにといったようにである。それらについて、アポローンは預言の神託でかく語っている。


「パラスは戦争を愛し、ディアーナは木々を正くし、
 ユーノーは湿った風を、
 ケレースは穀物と果実を、
 オシリスは水と水的な気質を司る。」


オカルト哲学 2-59
↑ オカルト哲学 第二の書


*1 ギリシアのデロス島にある山。アポローン(ポイボス)の生まれた地として崇拝されていた。