パラケルスス

ページ名:パラケルスス


 パラケルスス(本名はテオフラストゥス フォン ホーエンハイム。1493年 - 1541年)は「近代医化学の父」とも呼ばれ、医学、化学、錬金術、占星術、魔術など多くの書を残したルネッサンス万能人の一人であるが、錬金術においても、重要な貢献をしている。
 筆名のパラケルススは古代の名医ケルススを超えるを意味し、彼の自信過剰な性格をよく表している。この時代の医学は古代の権威ある医学書をなぞるものだったが、彼はそれよりも自らの実験によって見出した理論を優先し、「医学界のガリレオ」と呼ばれる科学的思考の先駆者となった。だがその傲慢な性格は敵を多く作り、その死は敵らによる暗殺とも、酒場で喧嘩した結果ともいわれる。
 以下の訳で大半の錬金術関連の原書は、1659年にロンドンのJ.H.オクソンが英訳出版したものを、アーサー エドワード ウェイトが編集した版にした。
 なお、世にはパラケルススの書と称する物は多いが、そのうちのどれだけが本物の彼の作で、残りは名前を借りた贋作であるかは、研究者の間にも多くの議論がある(これは彼が生前に出版した書が少なく、その大半が死後に弟子らによって出されたのにも原因がある)。ここでは一応は全部を彼の作と仮定して置いておく事にする。


天の哲学の書

 本書(Coelum philosophorum)は、錬金術文献の中でも、比較的読みやすい内容となっている。通常、錬金術の書を読むのは、象徴の暗号解読をする作業を意味するが、パラケルススは比較的直接的な表現を用いているので初心者でも理解しやすい。彼は同時代(や後の世代)のオカルティストらと比べても、極めて理性的、近代科学者的な人物だといえる。


錬金術師の宝の中の宝

 本書(The Treasure of Treasures for Alchemists)は、錬金術のチンキ(液体薬)についての論文である。内容は分かり易く、解説は不要であろう。


哲学者のチンキに関する書

 本書(The Book Concerning The Tincture Of The Philosophers)もチンキに関しての論文で、より詳しく扱っている。この頃のパラケルススは論敵に囲まれていたようで、少々口が悪い。


哲学者のオーロラ
哲学者のオーロラ 後編

 本書(The Aurora of the philosophers)をパラケルススは、錬金術の主著と位置付けていた。内容はこの術の古代からの歴史講義で始まり、過去の錬金術師らの過ちの「やってはいけない」集を述べてから、パラケルススによる錬金術の「真の奥義」が明かされる。


錬金術の教理問答

 エリファス レヴィが「高等魔術の祭儀篇」の19章で言うには、ヴァチカン図書館に保管されているパラケルススが書いた「化学の小道、あるいは錬金術の手引書」を、センディヴォギウスが筆写し、それをトゥーディー男爵が1766年に書いた「輝ける星」という錬金術書の中の教理問答の章(Alchemical Catechism)で引用しているという。その真偽は今では不明だが、この教理問答の中にパラケルススの内容も含まれていると思い、訳出する。内容は象徴主義に満ちていて非常に難しく、(錬金術書の規則として)わざと部外者が理解できないように曖昧に書かれている。


パラケルススのオカルト哲学
パラケルススのオカルト哲学 後編

 本書(Occult Philosophy)は魔術に関する論文で、アグリッパのものと同名なので少々紛らわしい(アグリッパのものと対抗する意図があったのかもしれない)。本書は1591年にパラケルスス全集の最後の10巻としてバーゼルで出版された Archidoxis magica(魔術の主要な教え)の一部である。だが当時からして編者は真正のパラケルスス作かに疑いを述べており、今ではほぼ贋作に間違いないと研究者らは同意する。しかしエリファス レヴィは本書を真正のものと考え、魔術の奥義がここに記されていると述べており、また内容的にも興味深いものがあるので読む価値がある。



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