高等魔術の教理と祭儀 2-5

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第五章 燃えるペンタグラム


 次に聖なる神秘的なペンタグラムの説明と聖別についてに移ろう。ここで、無知な者と迷信深い者は本書を閉じるとよろしい。彼らはここでは闇以外のものは見ないか、怯えさせられるだろうからだ。グノーシス派が燃える星と呼んだ五芒星ペンタグラムは、知的な全能と権威の印である。これはマギの星であり、御言葉が受肉した印であり、その指し示す諸点によって、秩序や混沌、ホルムズと聖ヨハネの神の子羊とメンデスの呪われし山羊の絶対的な魔術の象徴を表す。これは秘儀参入であり神聖冒涜であり、ルシファーでありヴェスパー、すなわち明けの明星であり宵の明星である。これは聖母マリアであり悪魔の母リリスであり、勝利であり死であり、昼であり夜である。二つの点が上に向いたペンタグラムはサバトの山羊としてのサタンを表し、一つの点が上に向いたものは、救い主の印である。ペンタグラムは人の体の図でもあり、四つの点は四肢を、上向きの点は頭を表している。頭が下向きの人間の図は自然と悪魔――すなわち、知的転覆、不和、狂気を表している。さて、魔術がリアリティーならば、オカルト学が三界の真の法則のリアリティーならば、この絶対的な印、歴史の最古にして最古の印は、霊をその肉体という包みから解放してきた数えきれない影響をなしてきた。
 このペンタグラムの印はまた、小宇宙ミクロコスムの印とも呼ばれてきて、ゾーハルのカバラ学者らからは、小さな顔つきの言葉で表されてきた。ペンタグラムの完全な理解は、二つの世界の鍵である。これは絶対的哲学であり自然科学である。このペンタグラムの印は七つの金属で造るか、あるいは少なくとも純粋な金で白大理石の上に描く必要がある。また辰砂により汚されていない子羊のなめし皮――統合と光の象徴の上に描く事も出来よう。この大理石は処女のもの、すなわち別の目的で一度も使われていないものでなければならない。子羊の皮は太陽の保護の下で準備されなくてはならない。子羊は新しいナイフにより過越しの時期に殺され、魔術の作業により聖別された塩により塩漬けされる必要がある。これらの難しく、見たところ恣意的な儀式の一つといえども省いたならば、この学の大いなる作業の完全な成功を無と帰するであろう。
 ペンタグラムは四大エレメンツにより聖別される。この魔術の図は五回息を吹きかけられ、聖水を振りまかれ、五つの香、すなわち香料、没薬、アロエ、硫黄、樟脳の煙によりまぶせられる。時にはさらに少数の白色樹脂と竜涎香も加えられよう。五つの息は、五体の精霊に割り当てられた名前ガブリエル、ラファエル、アナエル、サマエル、オリフィエルを唱える事で達成される。その後、ペンタクルは北、南、東、西と置き、最後にこの占星学的十字架の中央へと置かれる。同時に、それぞれにて聖なるテトラグラマトンの四文字の子音を唱えて、それから声を低くして、祝福されたアレフと神秘的なタウも唱え、これによりアゾットのカバラ的名前の下で統一される。
 ペンタグラムは香の祭壇の上、召喚の三脚の下に置く必要がある。また作業者は大宇宙の印、すなわち二つの対立する三角形が組み合わさった印を身に着ける必要もある。光の霊が召喚される時には、星の頭――すなわち一つの点のみがある方向――は召喚の三脚の方向へ向けられるべきで、二つの低位の点の方向は香の祭壇へと向けられる。闇の霊を召喚する場合には、これらを逆向きにするが、作業者は慎重に杖あるいは剣の尖端をペンタグラムの頭へと向けなくてはならない。私はこの印は意志の言葉の活動的な声だと既に述べている。ところで、意志の言葉は完全な形で与え、それにより行動へと変換されなくてはならない。一つでも欠けている部分があれば、それらは怠惰な言葉や疑いを表し、プロセス全体を偽りのものにしたり麻痺させたりし、全ての諸力を作業者へと向ける事になり、よって作業は無駄となる。そのため、我々は魔術儀式では手を抜くのを絶対的に避けて、正確にそれら全てを行う必要がある。
 電気機械によりガラスの上に輝く線で彫ったペンタグラムも、霊や恐ろしい亡霊らに大いに影響を与える。昔の魔術師らは悪霊らが家に入ってきたり善霊らが去るのを防ぐために、ペンタグラムの印を彼らの玄関の上がり段に描いていた。この制約は、星の向く方向に従っていた。外側へ向けられた二つの点の方は悪霊らを去らせて、内側への二つの点はそれらを閉じ込め、一つのみの点の方は善霊らを捕らえさせる。これらの魔術理論の全ては、ヘルメスの教義とこの学の類推の演繹法を基にしており、霊らに取り憑かれたと宣言する者らの恍惚の幻視と強硬症の発作により数えきれないほど確認されている。この燃える星の真ん中にフリーメイソンが置くGの文字は、古代カバラの二つの聖なる言葉、グノーシスあるいは生成を意味する。またこれは大建築家を意味し、このペンタグラムのあらゆる側面はAを表すからである。二つの点を上向きにし、一つの点を下向きに配置すると、メンデスの山羊の角、耳、髭を我々は見、これは地獄の召喚の印となる。
 聖書の東方の三賢者の星の寓話は、神秘的なペンタグラム以外の何物でも無い。そしてこの三人の王、ゾロアスターの息子らは、燃える星により小宇宙の神キリストのゆりかごへと導かれた。これらはキリスト教義のカバラ的、魔術的な始まりを完全に示している。これらの王らの一人は白人、もう一人は黒人、最後は黄色人種である。白い王は金、光と命の象徴を贈り、黒い王は没薬、死と闇の像を与え、黄色い王は香、この二つの原理を調和させる原理の象徴を捧げた。その後に彼らは別の道を通って故郷へと帰っていったが、これは新しい宗教は新しい道であり、この宗教、聖なる三つ組と輝くペンタグラム、唯一にして永遠のカトリック主義へと人を行わせるのを示す。聖ヨハネは黙示録の中で、同じ星が天から地へと落ちるのを見ている。そしてこれはニガヨモギと呼ばれ、海の全ての水が苦くなった――教義の物質化の印象的な像であり、狂信主義と論争の苦さを生み出す。そしてキリスト教自身が、預言者イザヤのこれらの言葉に当てはめられよう。「汝はかくも天から落ちたか、明けの明星よ。かつてはかくも輝けたものを!」 だが人々により汚されたペンタグラムは、真理の御言葉の右手にて曇りなく燃え続け、啓明された声は彼に、明けの明星に捕らわれるを乗り越える――ルシファーの星の捕らわれから解放する聖なる約束――を保証する。



 後に見るように、魔術の全ての神秘、グノーシスの全ての象徴、オカルト主義の全ての図章、預言の全てのカバラの鍵は、ペンタグラムの印により要約でき、パラケルススはこれを全ての印の中で最も偉大で力あると宣言した。そのため、あらゆる魔術師が、この印により全ての位階の霊らに現実の影響力があるのを信じているのも驚く事ではあるまい? 十字架の印を無とする者はこの小宇宙の星の前に振るえる。一方で、意志が弱まるのを感じたら、魔術師は目をこの象徴へと向け、右手で取り、その知的全能性を感じて、自らが真に王、この星により神の受肉へ導く価値ある者となり、彼は知り、勇気を持ち、意志があり、沈黙を保つ者となり、ペンタクル、杯、杖、剣の使用に熟達し、最後に二つの目と照応する内なる魂の勇猛なる凝視をペンタグラムの常に開き続ける上昇の点へと向けられる。



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