古今の秘密の教え 儀式魔術と妖術

ページ名:古今の秘密の教え 儀式魔術と妖術

儀式魔術と妖術


 儀式魔術とは特定の形式による学の応用により霊を召喚し操る古代の術である。聖別された衣を着て古代のヒエログリフの図章が彫られた杖を持つ魔術師は、特別な言葉と象徴の力により、エレメンツやアストラル界の不可視の住人らを支配できた。古代の精巧な儀式魔術は必ずしも悪では無かったが、その悪用から様々な妖術あるいは黒魔術の偽りの学派が起き上がった。


 学問の中心であり、多くの術と学の誕生の地である古代エジプトは、超越的な実験のためには理想的な環境を提供した。ここではアトランティスの黒魔術師らは太古の密儀の倫理が完全に腐敗し削り取られるまで、彼らの超人的な諸力の実践を続けていた。神官階級を確立することで、彼らはかつては秘儀参入者らにより占められていた地位を奪い、霊的な権力を占拠した。よって黒魔術は国家宗教を定め、神官団により作られたドグマに完全に躊躇する事無く従わせる事で、個々の人間の知的、霊的な活動を麻痺させた。エジプトの王ファラオらは緋色評議会――神官団により権力の座へと上げられた大妖術師らの委員会――の手の操り人形となった。


 それからこれらの妖術師らは古代の知恵の全ての鍵の組織的な破壊を始めた。それにより、彼らの団にまず属さない誰も、達人の座に到達するために必要な知識を得られないようにするためである。彼らは密儀の儀礼を保存すると宣言しつつも、それらを細かく分断させ、それにより参入者は位階を上昇していっても、彼が与えられた位階の知識を保てなくなった。賢者らが最初は学習と瞑想の象徴として立てたのにすぎない像らの崇拝を推奨する事で、偶像崇拝が導入された。誤った解釈が密儀の象徴と像らに与えられ、それらの崇拝者の精神を混乱させる複雑な神学が作られた。大衆らは理解の生得の権利に恵まれず無知へと屈服し、やがては霊的簒奪者らの卑屈な奴隷となった。迷信が普遍的に蔓延り、黒魔術師らは国家を支配し、結果としてこの古代アトランティスとエジプトの神官団らの詭弁論から人類は今なお苦しめられている。


 彼らの旧約聖書が魔術を聖なるものとしていると完全に確信して、数えきれない中世のカバラ学者らはその生涯を儀式魔術の実践に捧げた。カバラ学者の超越主義はソロモン王の古の魔術形式を基礎としており、この王は長い間、儀式魔術師らの君主だとユダヤ人から見做されてきた。


 中世のカバラ学者の間には、セーフェル イェツィラーの高潔な概念から逸れ、悪魔主義と魔女術に陥った黒魔術師らも大勢いた。彼らは魔術の鏡や聖別された短剣に代わるものを探し求め、聖人の棺桶の釘の柱の周囲に円を描いたりした。そのような高徳の生の持ち主は、複雑な儀式や地下の生き物の助けも必要無く、確実に人を真の個人的完成の状態へともたらすと考えられていたからである。


 儀式魔術を通じてエレメンタルの霊らを支配するのを求める者らは、不可視な世界から稀な知識や超自然的な力を得る望みとともに大いに行っていた。ナポレオン ボナパルトが持っていた赤い小悪魔の伝説や、メディチ家の悪名高い神託の頭は、エレメンタルの存在が人類の歴史の流れを操作するのを許した事への破滅的結果の例である。ソクラテスを導いていた有識で神の如きダイモーンは例外と思えるが、これらの例は魔術師が召喚できるエレメンタルは、彼の知的、倫理的状態と関連しているのを真に示している。だがソクラテスのダイモーンすら、死刑宣告が出された時にこの哲学者を見捨てているのである。


 超越主義と驚異的な魔術の全ての形態は、袋小路――アトランティスの妖術の成りの果てにすぎない。そして、哲学の一本道を捨てて、この中に彷徨った者らは、ほとんど確実に彼らの軽率さの犠牲者となった。自らの欲望を制御できない人は、獰猛で誘惑的なエレメンタルの霊らを支配する作業の資格が無いのである。


 多くの場合、魔術師は冥府の生き物らが、彼らの人生の活動的な参加者となった時に、その命を失っている。エリファス レヴィがティアナのアポロニウスを招聘した際に、彼が何を得ようと望んだだろうか? 好奇心を満足させるのは、危険で無益な追求に生涯を捧げる事への充分な理由だろうか? 生きていた頃のアポロニウスが彼の秘密を大衆に漏らすのを拒否していたなら、死後に彼が好奇心で動く者に明かす何の可能性があろうか? レヴィ自身が、彼の前に現れた亡霊が実際の大哲学者であるか確信を持てずにいた。レヴィはエレメンタルが死者の役を演じる傾向があるのを、よく知っていたからである。現代の降霊術で現れる霊らの大半は、亡くなった死者の霊を見たいと望む人々により与えられる思考形質で構成された体を通じて、仮面をかぶっているエレメンタルの生き物なのである。


黒魔術の理論と実践


 儀式魔術の難解な理論と実践の幾らかの理解は、その潜在的な前提から導かれるだろう。


 第一に、この見える世界には不可視の対照物があり、その高次の諸界には善と美の霊らが住んでおり、低次の諸界、闇と悪しき予感の世界には、悪しき霊らと悪魔らが、かの堕天使とその10の君主らの下で住んでいる。


 第二に、儀式魔術の秘密のプロセスにより、これらの不可視の生き物と接触し、何らかの人間の問題のために彼らの助けを得る事が可能となる。善霊らはどのような価値ある試みも望んで助けようとするが、悪霊らは悪用と破壊のために生きる者らのみに仕える。


 第三に、霊との契約を結ぶ事は可能であり、それにより魔術師は規定された間はエレメンタルの存在らの支配者となれる。


 第四に、真の黒魔術は悪魔的な霊らの助けにより行われる。この悪魔は妖術師が生きている間は仕えるが、この妖術師の死後は悪魔自身の従者とならねばならないのを理解している。この理由から、黒魔術師は死ぬ時には悲惨な最期となる。死後には何の希望も無いからである。


 黒魔術の最も危険な形態は、個人的な欲望を満たすためのオカルト力の科学的悪用である。そのより複雑ではなく、一般的な形態は、人間の自己中心主義である。自己中心は全ての世俗の悪の本質的な原因だからである。自らの永遠の魂を一時的な力と交換しようとする者は、歴史と共にこの神秘的なプロセスは進歩してきており、それにより実際にこの変換を可能としている。黒魔術の様々な分野には、儀式魔術、降霊術、魔女術、妖術、吸血鬼主義のほとんどあらゆる形態が含まれている。これらにはまた、メスメル主義や催眠術も含まれ、純粋に医学的に用いられるものは例外であるが、これら全てにおいてリスクの要素がある。


 中世の悪魔主義は現在では消え去ったように見えるが、現在の多くの考えの形態に――特に、いわゆる「豊かさの」心理学、「意志力を作る」形而上学、「高次の圧力の」営業の体系で――黒魔術は変化して生き残っており、その名前は変わろうとも本質は同じである豊富な証拠がある。


 中世の良く知られた魔術師はヨハンネス ファウストス博士、より一般的にはファウスト博士として知られた人物である。魔術書の研究により彼はあるエレメンタルを従者として拘束し、それにより何年にも渡って様々な方面で仕えさせた。ファウスト博士が保有していた魔力についての奇妙な伝説が残っている。ある時、この哲学者は些かお道化た気分だったのか、市場で女が持つバスケットの中の幾つかの卵にマントを被せると、それらは即座に雛として生まれたという。別の時には、小さなボートから落ちると、彼は引き上げられボートに戻ったが、衣服は一切濡れてなかったという。だがほとんど全ての魔術師と同様に、ファウスト博士にも破滅の時が来た。ある日、彼は背中にナイフを刺された死体として見つかったが、彼の使い魔の霊が殺したと一般的に信じられている。ゲーテの「ファウスト博士」は一般的にフィクションの人物と見做されているが、このモデルとなった老魔術師は実際に16世紀に住んでいた。ファウスト博士は彼の霊らとの実験を記した書を書いており、その一部を以下において転載する(注意。ファウスト博士を、活版職工のヨハン フストと混同しないようにせよ)。


バフォメット、メンデスの山羊

レヴィの「超越魔術」より


 魔術の実践は――白であろうも黒であろうとも――普遍的な生命力の制御の達人の能力に依拠している。この生命力をエリファス レヴィはアストラル光の大いなる魔術の動者と呼んでいる。この流体エッセンスの制御により、超越的な現象を生み出すのだ。有名な両性器を持つメンデスの山羊は、このアストラル光を象徴する形式の複合生物である。これは儀式魔術の弟子ら、テンプル騎士団の神秘的な守護神バフォメットと同一の存在であり、騎士団はおそらくはこれをアラビア人から知ったのであろう。


1524年のヴィッテンベルクのファウスト博士の書からの抜粋


(順序はバラバラになっていたドイツの原書からの要約された翻訳) 


「若き頃より私はこの術と学に従い、数えきれない書を読み漁ってきた。それらの中で、全ての種類の召喚と魔術の形式のある書を私は手に入れた。この書の中で、火であろうとも、水であろうも、地や風であろうとも、どの霊らも魔術師の意思を行い、支配する方法の情報を私は見つけた。また私は一つの霊は他の者よりもより力があるのも見つけた。それぞれの者らは違った目的のために向いており、それぞれは特定の超自然的な効果を生み出せる。


 この驚くべき書を読んだ後、この書に記された文章の正確さを測ろうと望み、私は幾つかの実験を行った。最初は私はこの書が約束する事を、僅かしか信用していなかった。だが最初の召喚で、ある力ある霊が私の目の前に現れ、なぜ彼を召喚したのかを尋ねてきた。彼の出現に驚いて私はほとんど何も答えられなかった。だがようやく落ち着くと、私は彼に我が魔術の研究に仕えるよう尋ねた。彼は特定の条件を同意するならばしようと答えた。条件とは私が彼と契約を結ぶ事である。私はそれを望まなかったが、我が無知により、私は魔術円により自らを守護していなかったので、私は実際にはこの霊の慈悲の下にあり、私は彼の要求を拒否する勇気が無く、諦めて許諾し、流れに乗るのが賢明だと私は考えた。


 そして私はもしも特定の期間の間は我が望みと必要に仕えるならば、私は彼との契約を結ぼうと語った。契約を結んだ後、この力ある霊は自らの名をアスタロトと明かし、マルブエルという別の霊を紹介し、これを我が従者とした。私はマルブエルが我が必要に向いているのか疑問に思い、彼がどれだけ速やかに行えるのか尋ねると、彼は「風のように素早く」と答えた。これは私を満足させず、私は答えた。「汝は我が従者となれぬ。汝が居た場所に帰るがよい」 すぐに、アニグエルという名の別の霊が現れ、私が同じ質問をすると、それは「風の中の鳥のように早く」と答えた。私は「汝もまだ私には遅すぎる。居た場所に帰るがよい」と告げた。それからアキエルという名の別の霊も現れた。三度目にも同じ質問をして、彼は「私は人間の考えのように素早く」と答えた。私は「汝は我に仕えるのだ」と答えた。この霊は長い間私に忠実であったが、読者に対してどのように彼が仕えたかについては、本書で語るには長くなりすぎる。そこで私はここでは霊を召喚する方法と、守護のための円をどう準備するかのみを記す事にする。人により召喚され従者となるのを許す多くの霊らがいるが、私はそれらから僅かのみを挙げる。


 アキエル:人に仕える者らのうちでも最も力ある霊である。彼は3フィート(90センチ)ほどの見た目の良い人間の姿で現れる。彼のために準備した円の前に彼が現れる前に、3回召喚しなくてはならない。彼は魔術師の意志に従い、豊かさを与え、大いなる離れた場所から物をもたらす。彼は人間の考えのように素早い。


 アニグエル:仕えられ、最も有益であり、10歳の少年のような姿で来る。彼は3度召喚しなくてはならない。彼の特別な力は宝箱や地下にある鉱物を見つける事であり、それにより魔術師を豊かにするだろう。


 マルブエル:山脈の真の君主であり、鳥の翼のように素早い。彼は頑固で扱いづらい霊であり、支配が難しい。汝は彼を4回召喚しなくてはならない。彼は火星の人物(重装甲の戦士)の姿で現れる。彼は大地の上と下に育つものにより、魔術師を豊かにするだろう。彼は特に春の根の君主である(春の根 spring-rootは神秘的な薬草で、おそらくは赤っぽい色をしている。中世の魔術師らは、これに触れた物を引き寄せたり開いたりする特性があると信じていた。これを鍵がかかった扉に対して置いたなら、扉を開いただろう。ヘルメース学者らは頭頂が赤いキツツキの鳥は、特に春の根を見つける能力があると信じていた。そのため彼らはこの鳥の巣を探し、若鳥らがいる木の穴を塞いだ。キツツキは春の根を探しに行き、見つけたら、それを木へと持ってくる。そして鳥が巣の入り口が塞がれているのを見たら、すぐに開けようとする。すると魔術師は鳥から根を取れる。また、その構造から春の根のエーテル体は、特定のエレメンタルの霊らの表現の乗り物として用いられる。そして物を引き寄せたり開けたりする気質を通じて発現させる)。


 アキエベル:海の力ある支配者であり、水の上と下のものを支配している。彼は川、湖、海で沈没船や宝箱などの沈んだり失われた物を与える。汝が彼をより鋭く召喚するごとに、彼はその仕事を素早く行う。


 マキエル:美しい乙女の姿で現れ、彼女の助けにより魔術師は名誉と威厳を引き上げられる。彼女は仕える者を尊敬され高貴で、慈悲深く優しくし、訴えや裁判の全ての事柄で助けとなる。彼女は2回召喚されるまでは来ないだろう。


 バルエル:全ての技芸の熟練者である。彼は職人の師として現れ、エプロンを着た姿で来る。彼は魔術師に世界の全ての職人の師らが12年間かけて達成できるようなものよりも多く教える。彼は3回召喚されなくてはならない。


 これらが人に最も仕えられる霊らであるが、他にも霊らは数えきれずに存在し、それらをここで記すには多すぎて不可能である。さて、あれこれを得るために汝が霊の助けを望むなら、まず最初に汝が召喚を望む霊の印を描かねばならない。それは日の出の前に汝と助手が中に立つ事になる魔術円の前に描く。汝が経済的な援助を望むならば、汝は霊アキエルを召喚しなくてはならない。彼の印を円の前に描け。汝が他の事柄が必要ならば、それらを叶えられる霊の印を描け。汝が円を描く場所には、まず誰も傷つけた事の無い長剣により大きな十字を描く。それから、3つの同心円を描く。最も内側の円は、処女羊皮紙の長い細きれで造り、それらには十字茨の木の12の十字架を結び付ける。この羊皮紙に、以下の図にあるような名前と象徴を書かねばならない。この第1の円の外側には、第2の円を以下のように作る。


 まず、右では無く左で紡いだ赤いシルクの糸を用意する。そして、月桂樹の葉で作った12の十字架を置いて、それから新しい白紙の長い糸を用意する。そこに第2の円で見える印章と象徴を真新しいペンで書く。この紙の細きれに、赤いシルクの糸を巻き付けて、月桂樹の12の十字架を結び付ける。第3の円も、同様に処女羊皮紙で作り、そこには聖別された棕櫚の12の十字架を結び付ける。これらの3つの円を作り終えたら、汝が最初に描いた大十字の中心に五芒星ペンタグラムを描き、その中央に立つ。さて、成功を確実なものにするため、ここで記した全ての事を確実に行うようにせよ。それから汝が聖なる召喚文を読む際には、現れて欲しい霊の名前を発音する。汝が非常にはっきりと名前を発音するのは不可欠である。また汝は日と時間にも気を付けなくてはならない。それぞれの霊は特定の時間にのみ召喚できるからである。」


 黒魔術師が契約を結び時に、エレメンタルの悪魔は彼が得た諸力を無期限に支配するのに充分に強いと説得しようとするだろうが、彼は後に速やかに真実を悟るだろう。長い時間が経つ前に、彼は自らの全てのエネルギーを、自己保存の問題に注ぐに違いない。彼の貪欲により自らを適応させた恐怖の世界が、日々近づいて来る。最終的には彼は沸騰する渦巻の端に立ち、混雑とした深淵へと転げ落ちる瞬間を予測する。死への恐れ――彼は悪魔の僕となるからである――から、魔術師は彼の惨めな地上での存在を引き伸ばすために、犯罪に犯罪を重ねるようになる。万物の生物に共通にある神秘的な普遍的生命力により生命は支えられているのを悟る事により、黒魔術師はしばしばオカルト吸血鬼となり、このエネルギーを他者から盗もうとする。中世の迷信では、黒魔術師らは狼男へと自らを変え、夜の地を彷徨い、身を守れない犠牲者を、その血に含まれた生命エネルギーのために襲っていたという。


魔術の剣

レヴィの「魔術儀礼」より


 エリファス レヴィは魔術の剣の準備について以下の様に記している。刀身は火星の時間に新しい道具により造る。柄頭は中空の銀で作り、その中には水銀が含まれなくてはならず、また水星と月の象徴と天使ガブリエルとサマエルの署名も刻まれなくてはならない。柄はスズによって包まれ、木星の象徴と天使ミカエルの署名も刻む。柄から両側の刀身には銅の小さな三角形が伸び、それらには水星と金星の象徴を刻む。示すように握り手には5つのセフィロトが刻まれなくてはならない。刀身そのものは、片方にはマルクトが、もう片方にはクィス ウト デウス(神の如き者)の言葉を描く。剣は日曜日に聖別されなくてはならない。


魔術の円

「魔術学の完全な書(未出版)」より


 上記の図は、中世の妖術師らが霊の召喚に用いていた魔術円の完全にして忠実な再現である。魔術師は助手とともに、MAGISTERと記された十字の中心に立つ。円の周囲にある言葉は、不可視の知性体らの名前であり、小さな十字架のある場所では、特定の祈りと招聘が唱えられていた。外側の小さな円は、召喚される霊の場所であり、実際の使用時には三角形の中に望む知性体の印章が置かれていた。


霊の召喚の方法


 以下の古文書からの濃縮された引用は、儀式魔術の儀式の典型として再現している。この引用は、未出版の文書(原書は大英博物館にある)の魔術学の完全な書からで、色付きのペンタクルとともに、フランシス バレットの「マグス」で記述されている。


「開始の祈り」


「全能にして永遠なる神よ、御身の誉れと栄光のため、人の救いのために、万物を創造された方よ、我は御身に、木星の序列の霊らの一体、御身が今のこの星の支配者として命じたザドキエルの使者の一体を我がもとへ送り、この霊が最も誠実で心から我が尋ね命じた事柄に応じるよう真摯に懇願する。ともあれ、最も聖なる神よ、我が意志ではなく御身の意志が、御独り子で我らの主イエス キリストを通じてなされますように。アーメン」



「召喚」


(適切に聖別された衣と道具を身に着け、魔術円により守護された魔術師は、次に霊が現れ彼の要求に応じるように呼びかける)


「我が援助を求める霊よ、この印と全能の神の聖なる御名を見よ。この我らがペンタクルの力に従い、汝の隠れた洞窟と闇の場所から出てきて、汝が終わり無く苛む不幸な死者らへ懲罰を止めて、神の善意が我らのために作り出したこの場所へと来たれ。そして我が命に耳を傾け、我が要求を知れ。汝の抵抗が我が作業を止める事になるとは信じるなかれ。汝が我に従う事を免じるものは無い。我は汝にエロヘー アグラ エロヒム アドナイ ギボルトの神秘の御名によって命ずる。アーメン」


「我は父と子と聖霊の聖なる三位一体の語られざる統一の御名によって、汝を呼ばん」


「我は汝、ザドキエルを招聘し懇願する。エロヘー エル エロヒム エリオン ツァバオト エスケレヒエ ヤー アドナイ テトラグラマトンの聖なる御名によって、本日我が用いた言葉と呪文に今耳を傾けたまえ」


「我はハギオス オー テオス イスキュロス アタナトス パラクレトゥス アグラ オン アルパ エト オメガ イオト アグランブロト アビエル アナティエル テトラグラマトンのこれらの聖なる御名により、汝霊ザドキエルを召喚し、祓わん。そしてその他全ての偉大にして栄光に満ちて聖なる畏れ多き神秘的で力強く強力で不可知の神の御名により、我が口からの言葉を汝は聞き入れ、我が元に汝の配下パビエルか他の配下の霊らを送りたまえ。そしてこの霊は我が要求するものを示さん。父と子と聖霊の御名によって。アーメン」


「セラフィム、ケルビム、スローンズ、ドミニオンズ、ウィットネス、パワーズ、プリンシパリティーズ、アークエンジェルズ、エンジェルズの天の霊らにより、オルファニエル、テトラ・ダギエル、サラムラ、アキモイ、パストル、ポティの聖なる偉大で栄光ある天使らにより、我は汝パビエルに懇願する。汝は速やかにここに来たりて、我が汝を見て、汝の声を聞け、我に語り、我が望みを満たすようにせよ。そして木星の汝の星により、天の全ての星座により、その他汝が従うものにより、また汝が与え、提案し、確認した汝の印により、我が全能の神のための祈りと懇願に従って我が願いを聞き入れ、我が元に配下の霊らを送り、それらは心から真に誠実に全ての我が望みを満たさせよ。そして汝はそれらの者らに、美しい天使の姿で、温和に丁重に愛想よく素直に現れ、我と対話するように命ぜよ。そして彼はあらゆる損害を与えるため、我を怯えさせるため、あるいは欺きをするために、いかなる悪霊らも来ることを許さないようにせよ。我らが主イエス キリストの徳を通じて、この主の御名によって我は汝の現れのために、ここに集い、待ちわび、期待せん。フィアット、フィアット、フィアット。アーメン、アーメン、アーメン」


「尋問」


(霊を彼の面前へと召喚したら、魔術師は以下の様に質問する)


「汝は父と子と聖霊の御名のもとに平和裏に来たりしか?」(そして霊はこう答える)「然り」
「よくぞ来た高貴な霊よ。我は歓迎する。汝の名は何か?」(そして霊はこう答える)「パビエルである」
「我はその名を天も地も地獄も従うナザレのイエスの御名によって汝を呼んだ。全ての舌は世にはイエスの御名に並ぶ名は無いと告白しなければならない。そしてイエスは我ら人に、その最も聖なる御名によって、たとえ主の救いを信じる者といえども、万物を縛ったり解放したりする力をお与えになられた」


「汝はザドキエルの使者か?」(そして霊は答える)「然り」


「今と以後において、全能の神の栄光を輝かせるために、我が知りたいと望む全ての事柄を明らかにし、我が知恵と知識を増やす方法を教え、魔術の技と全ての自由科学の全ての秘密を我に示すと汝は確言するか?」(そして霊は答える)「然り」


「ならば、我が今後はいつでも汝を呼べるようにするための印を汝は与え確言するよう祈らん。また汝がいつでも我が前に現れて、汝の報を常に受け取れる様にするために、汝は我は誓約を誓い、我は敬虔に全能の神への誓約を保持せん」


「退去の許可」


「汝が平和に静かに来て我が望みに答えた故に、我はその御名によって汝が来た全能の神への謙虚で心からの感謝を捧げ、今汝は我が命によりて平和裏に退去し、汝の誓いによって、汝が創造主から与えられた名前、階級、権能によって、我が呼んだ時にはいつでも来るようにせよ。神の力が我と汝と神が創りし全ての上にあらんことを。アーメン」


「栄光は父と子と聖霊に」


「(注記。)退去を唱えてから数分間は、召喚者は円の中に留まるのを勧める。そして作業した場所が野外だった場合は、円やその他の全ての軌跡を完全に破壊し、それから静かに家に帰る。だが、作業が廃屋などの中で行っていたならば、円は後の作業で再び使う為に残すこともできよう。だが、訪問者に見られないようにするために、部屋や建物の鍵は掛けておくようにする。」


 上記にあるような契約は純粋に儀式魔術のものである。黒魔術の場合、契約書に著名するのは魔術師であり悪魔ではない。黒魔術師がエレメンタルを配下に縛り付けたら、続いて知恵比べが起きるが、やがては悪魔が勝利する。魔術師は自らの血によって悪魔との契約書にサインをする。なぜなら、魔術の奥義において「他者の血を支配する者はその魂も支配する」と宣言しているからである。魔術師が生きている間は、エレメンタルは契約書の条項を満たそうとするだろうが、悪魔は可能な限りにおいて魔術師との契約を遂行しようとするのを避けようとするだろう。召喚者が円の中に入り、彼が支配を望む霊を召喚し、その意図を表明したら、霊は以下のような事を言うだろう。「50年後に汝が我が望み通りに行うようにするために自らの肉体と魂を我に与えない限り、我は汝の要求を同意し満たす事は出来ない。」


 魔術師がこれを拒否したなら、別の条項が議論され、霊はこう言うだろう。「汝が毎金曜日の朝に公道へ行き、ルシファーの名において施しをする限りにおいては、我は汝に仕え続けよう。汝が失敗した最初の日に、汝は我のものとなろう」


 魔術師が悪魔がこの契約を満たすのが不可能にしている事に気づいて、なおもこれも拒否したなら、別の条項も議論され、最終的には契約は同意される。それは以下の様に読まれよう。「我はゆえに、大いなる霊ルキフゲ、悪魔らの君主に、毎年汝を喜ばせるために我は人間の魂を提供するのを約束する。またその返答として、ルキフゲは地の宝を我に授け、我が生涯においてあらゆる望みを満たすようにする。上記で特定した毎年の生贄に我が失敗したなら、我が自らの魂が彼の代償となる。著名..........」(彼自身の血によりサインが描かれる)


ペンタグラム

レヴィの「超越魔術」より


 ペンタグラム、五芒星は小宇宙――人の魔術の形式の図である。4つの中から1つが起き上がっているその姿は、人の魂が動物の性質の束縛から起き上がっているのを表す。これは真理の光――「明けの明星」である。これは力の5つの神秘的なセンターの場所を表しており、それらの覚醒は白魔術の至高の秘密である。


木星の霊との契約書

「魔術学の完全な書」より


 上記の霊との契約書は、惑星の天使の印と印章とともに、処女羊皮紙の上に書かれねばならず、霊が現れたら、その前に置かねばならない。この時に、召喚者は動揺する事無く、忍耐強く、堅固で、勇敢で、辛抱強く、また彼は自己中心的な望みを求めずに、神の栄光と隣人らの善の観点から行わねばならない。この霊から望みを得たならば、召喚者はこの霊を退去させるだろう。


ペンタグラム


 象徴主義において、逆向きの図は常に歪んだ力を表す。一般人はペンタクルの象徴の中のオカルトの性質について疑いすらしない。この主題について偉大なパラケルススはこう記している。「私がこれらの書で記した、この印、これらの印章、これらの使用に対して多くの者らが嘲るのは疑いないだろう。なぜなら、既に死んでいる金属や印章に何らかの力や効果があるのは、途方も無い考えだからである。だが、我々が知るようなこれらの金属や印章が死んでいると誰も証明はしていない。塩、硫黄、金属の精髄は人間の命の至高の保存力があり、他の全ての物よりも遥かに上位にあるからである。」(ドイツ語の原書からの翻訳)


 黒魔術師は白魔術の象徴を用いる事は、その白魔術の諸力を自らに降ろさない限りは出来ず、さらにそれは彼に致命傷となるだろう。そのため、彼はこの図形を歪めなくてはならず、それによりその象徴が表す諸原理を彼自身により歪ませるのは、オカルトの事実の典型である。黒魔術は本質的な術ではなく、術の悪用である。そのため、それ自身の象徴は無く、単に白魔術の象徴的図形を盗んで逆向きにし、その意味合いをも逆向きにしているのである。


 この実践の良い例はペンタグラム、五芒星であり、五つの繋がった線によって作られた図形である。この図形は魔術の太古からの象徴であり、大いなる魔術の動者の五つの性質、人の五感、自然の五大エレメンツ、人間の体の四肢と頭を意味する。人の魂の中にあるペンタグラムにより、人は自らよりも低位の生き物全ての支配者となるだけではなく、自らよりも上位者にも、考慮するよう要求できよう。


 このペンタグラムは黒魔術でも多く使われているが、それらは常に3つの方法のうちの1つが違う風にして使われてきた。この星はどこかで一か所分断し、線が繋がらないようにする。また、二つの点が上で一つの点が下になるように逆向きにされることもあった。あるいは、長さが様々にする事で歪められた。黒魔術で使われる時には、ペンタグラムは「偶蹄の印」あるいは悪魔の足跡と呼ばれた。この二つの点が上向きの星は、「メンデスの山羊」とも呼ばれたが、この逆向きの星は山羊の頭の形と同じだったからである。頂点の星が底へと落ちる時、これは明けの明星の没落を意味した。


7惑星のペンタクルと、それらの惑星の天使らの印

「ある霊らの中世の書」(未出版)より


 7つの大きな円は諸惑星であり、それらの下に付いている2つの小さな円らは、その惑星を支配する知性体の印と印章である。


古今の秘密の教え 四大エレメンツとその住人たち
↑ 古今の秘密の教え