古今の秘密の教え クラウディウスの錬金術図

ページ名:古今の秘密の教え クラウディウスの錬金術図

ドミニコ会士クラウディウス チェレンターノ ヴァッリス ノヴィの

ヘルメース学と錬金術の図

1606年にナポリで書かれ彩飾された文書より



 象徴哲学の密儀を求める探究者が、この「王の術」に入門するのに、錬金術師が実際に書いた文書を読む以上に良い方法は無い。本文書の文と図表は同様に謎めいているが、この両者の深淵な意味合いについて瞑想し、神秘主義に深く取り組む者には、やがては全てが明らかとなるだろう。この文書をかつて保有していた、ある未知の人物は、こう書いている。


「この絵により示されたものにより、この文書は薔薇十字団と現在のフリーメイソン結社にとって極めて重要なものである。まず第一に、絵の大半はヘルメース哲学を扱っており、その教えと教義を説明している。それらには偉大な教師らと、ヘマをする者とその誤った観点の風刺的な表現の肖像が散りばめられている。系統的に配置された部分は、錬金術のプロセスの青・金色から黒となり、そして白と薔薇色となる色の開発を素晴らしく明白に示している。「本文書全体は、金の製造ではなく、人の変化を扱っている。」黒の段階(新たな創造が可能となる混沌への帰還)からニオファイトの段階、新たな誕生が続き、それらは透明性の増大とともに、しばしば繰り返される。黒い段階は火を通じて通常は起きる。この未公開で未出版の文書は、薔薇十字団とフリーメイソンリーの最も重要な教戒書と文書に属している。ドイツの多くの博物館と図書館を通じての探索でも、似たような性質の文書すら見つける事が出来なかった。」


 ここで複製した26ページの文書に加えて、10のボトルあるいは蒸留器の絵もあり、それぞれには様々な色の形質で半分満たされていた。これらのボトルは容易に説明できるので、ここで絵を複製する必要は無い。第1のボトル(その口から黄金の低木と3つの花弁が生えている)には青みがかった灰色の液体が含まれ、その絵全体は「我らがクイックシルバー」と呼ばれている。この瓶の下には、以下の言葉の文がある。「彼は黒のための白い衣を持ち、やがて赤となるだろう。」第2のボトル(その口から黄金の花が咲いている)にも、クイックシルバーと名付けられている青みがかった灰色の液体が含まれる。ボトルの下には「肉体からスピリットを、粗雑な物質から恵みを作れ。それにより、物質的なものは霊的なものとなろう」という訓戒がある。


 第3のボトルは、黄金の樹の幹を除いて完全に黒い。幹は6つの枝が切り落とされ、5つの枝はこぶとなって終わり、ボトルの首から生えている。この形質の状態は「カラスの頭を通じて示される黒」と名付けられている。ボトルの下には、「哲学者のチンキは人間の肉体の中の魂のように風に隠されている」という文がある。第4のボトルも黒いもので、「カラスの頭」と呼ばれる。この瓶の首からは何も生えていない。なぜなら、地(この内容)は「混沌に浸される」と記されているからである。第5のボトルの底には、青みがかった灰色のまだらな液体で、上部には煉瓦色の形質で満たされている。その上には「第6のカラスの頭」という言葉がある。その下には、「この瓶の底に、ウジ虫は生まれる」が加えられている。


 第6のボトルの底には青みがかった灰色で上半分は黒く、全体の絵は「第7のカラスの頭」と名付けられている。ボトルの横には子供が座っていて、それには「新生児、この黒い息子はエリクサーと呼ばれ、やがて完全な白となるだろう」という説明がついている。第7のボトルは下半分が黒く、上半分は赤い斑点がある黒である。よってこのプロセスは「黒よりも黒い。なぜならそこから多くの色が現れるだろうからだ。これらの黒い雲は元から来た肉体へと降りていき、肉体、魂、霊の接合は完成し、全ては灰となるだろう」と記される。


 第8のボトルは、黄金のバンドにより水平に分割されている。その上にあるのは、黄金の幹で末端は5つの葉があり、ボトルの首から突き出ている。この瓶の中身は透明で、説明は「黒い雲は過去となり、大いなる白は完成した」とある。第9のボトル(その首から、黄金の白薔薇が生える)も部分的に透明な液体で満たされている。この薔薇には「私を白くする者は、私を赤くする」と説明されている。第10で最後のボトルは、大いなる作業の完成を表している。瓶の低位の半分は血のように赤いエリクサーがあり、首からは多くの花弁があり、とても美しい赤薔薇が生えている。この偉大な作業には全ての惑星がそこにいると宣言した後、この文書の著者は「私は、師(霊)に決して貧しくならないだけの銀と金を与えた」と結論する。


 献辞において、この文書の著者と画家は大いなる作業の全ての作業をここで明らかにしたと宣言する。彼は諸学の中でも最も高貴な学を追求する者が増えて、常に正しい道を整えられるようにと聖霊に祈る。彼自身の個人的研究を除けば、彼の情報の主な源は聖トマス アクィナス、ライモンドゥス ルルス、ヴィッラ ノヴァのアルナルドゥスの書だと述べる。


 横暴な教会の弾圧から身を守るために、中世の錬金術師らは彼らの哲学をキリスト教の用語で言い表していた。もっとも、この術の偉大な秘密は主にエジプトやアラビアの達人らからもたらされていたが。イスラーム教徒はヘルメースの諸秘密の熟達者であり、かのパラケルススすら、彼の知識の大半を彼らから学んでいた。薔薇十字団の宣言文でもまた、彼らの秘密の教義がアラビア起源であるのを示している。そのため、錬金術の教えと聖書の象徴との関連は、便宜上のジェスチャーだと心に留めておく必要がある。イスラエルの奥義のための聖書の研究において、カバリストらは聖書の錬金術的解釈を大いに実証していった。なぜなら錬金術の魂は、カバラの魂でもあるからである。両学派は見た目ではそれらの象徴主義は一致しなくても、人間の再生の密儀に関する同じ目的を共有していた。


 この文書の公表により、学徒はヘルメースの術の最も深遠な秘密を得る事になる。暗号解読の最初の作業は希望が無いように思え、迷信深い者には、このような不便な方法で永続させる真の知識の可能性について、嘲笑う誘惑に駆られるだろう。嘲笑者はこの文書の目的の一つは嘲笑いを喚起させる事そのものにあり、それにより冒涜者から奥義をより効果的に守る事にあるのに気付いていない。幾つかのページ(ここで複製したもの)は世界の乙女が着けるヴェールを剥ぐのに自らを捧げる者の生涯の作業を表している。何年もの研究と実験、絶え間ない労働の昼と、祈りと瞑想の夜を過ごした後、ついには達成の現実化が来るのだ! これは古びた虫食いのページに丹念に描かれたグロテスクな絵により語られた現実の物語である。存在の大いなる現実を垣間見た者は、生の本質的な真理は物理的な象徴を通じての不完全な表現によってのみから見つけられるのを悟る。霊的な誕生の陣痛を通過した者のみが、知る者の心の中に留める必要のあるこの知識を他者のために描画するこの痛ましい努力を、適切に理解し崇敬する事が出来る。



 第1ページ。最上部には「我らの最初期の薬は自然物から作られた。」と読める。王と王妃の絵があり、さらに父に似て世界のいずれとも並ぶ者の無い息子は「二本のつるの樹の中で」生まれるという文もあった。瓶には「緑と白」「この瓶は緑の花の色で燃える」「我らが水、我らが銀」と書かれている。これらの行の下には「哲学者の石の形質は、かように重く粘性のある水であり、熱や冷たさで凝固される。これは硫黄の熱とともに自然土で焼かれ、沸騰され濃くされた水銀であり、諸金属の第一原質と呼ばれる。暗い洞窟と禁じられた山脈で、自然が作り出した石が千年前に見つけられていたら、それは彼に問題を引き起こしただろう。我が全ての文を慎重に聞くのだ。私はそれらをヴェールや騙し無しに語っている。」と読める。



 第2ページ。最上部には哲学者の石の構成に関する聖トマス アクィナスからの引用がある。それは純粋な透明なもので、全てのエレメンツの形態が中にあり、それらの不一致は目に見えると記されてある。聖トマス アクィナスの絵の下には短い説明があり、そこでは哲学者の石の素晴らしさを称え、1つの形質から3つに分ける事が出来て、さらにそこから2つに分けられると宣言していた。聖トマス アクィナスの右側には、ライモンドゥス ルルスと思えし人物が彼の庵の扉に座っている。彼の足元には、この高名な錬金術師からの引用が書かれていて、「哲学者の石とは何か?」という質問から始まっている。それが、赤い固体の水銀と宣言した後、ルルスは全能の神に誓って、これらは真実であり、それ以上述べるのは禁じられていると述べた(オリジナルの文書はここでは短縮させられている)。



 第3ページ。最上部には「土星の死、水星の生」と読める。土星の形質の使用に関する説明の後、プロセスの鍵は以下で描かれている。文章は「この石は四大エレメンツにより作られている。これは全ての自然の真理である。これを取ると輝き、勤勉かつ非常に慎重に、これを全てとしっかりと結びつけよ。それにより、火が警告となるだろう」と読める。人間の絵の上には「土星はほとんど死んでいる」と書いてある。飲み込もうとする蛇の右には、アルベルトゥス マグヌスの「土星と水星はこの石の第一の原理である」という宣言がある。また、自然は賢明にエレメンツの組み合わせを与えており、地はその乾燥により火と交流し、火はその熱により風と、風はその湿気により水と、水はその冷たさにより地と行うと宣言している(オリジナルでは、この文章は判別しにくくなっている)。



 第4ページ。最上部には「全てが可能であると信じよ。この術は儚く、輝き、稀なものであり、愚者によっては信じられない。」太陽と月の間にある言葉は「それは隠されている」と読める。そして肉体を横切っているパネルの上には「生命の書と世界の真の宝庫」とある。人物の左のパネルでは、「ほとんど全てを動かせ。そして肉体の魂は逃れていた場所へと帰り、7か9ヶ月熟成させれば、王冠をかぶった王が現れよう。」と述べている。右側のパネルでは、「水銀には3つの種類、動物、植物、鉱物がある。」と告げる。その下の文は暗号的すぎて、翻訳はほとんど不可能である。この象徴的人物の足元で火を点ければ、それから太陽と月を取り出すのは可能であり、それにより人間の肉体はその頭を超えた威厳へと高められるのを示すと宣言する。



 第5ページ。最上部では、太陽の鳥が地の蛇と戦い、蛇は自らの内臓を引きちぎり、それらを鳥へと与えると述べている。霊に命が与えられ、ラザロ*1は喜びとともに死者から蘇る。鳥の上には「これは鳥からの太陽である。」と記されている。そして竜の上には、「これは鳥を飲み込もうとする竜である。第一の作業である。」左下のパネルの文を要約すると「我々の精液(クイックシルバー)が、エレメンツの母(土)と混ぜられると、この行動は性交と呼ばれる。地により僅かのクイックシルバーが拘留されるのは、受胎と呼ばれる。地が育ち増やす作業は、受精と呼ばれる。地が水により白くなり、統一された色と見た目となったら、それは誕生と呼ばれ、王は火より生まれる。」と読める。右下の文は、明らかな秘密を隠すために、意図的に分断されている。



 第6ページ。この絵は大いなる石の秘密全てを示している。中央には過越の乙女が立っている。彼女の髪は主な美徳であり、泉の周囲に育つハーブとして記されている。彼女の手には霊的、物質的なエレメンツの象徴が握られる。左上の文では、エレメンツと呼ばれる2つの顔のある4つの霊らの効果について書かれている。右上には、「火は風の中で生き、風は水の中で、水は地の中で、よって石は平和裏に全ての純粋なエレメンツの中で生きる」と記されている。太陽の下には「夏」の言葉があり、月の下には「秋」がある。左の樹には目らがあり、そこには「汝の目を火から遠ざけよ。空間がある。」右の樹では、「汝の目を火に開け。時がある。」下のパネルは「私は世界の円らの上へと高められた。」という文から始まる。



 第7ページ。最上部の文は「この石はかくも高貴で価値ある物であり、自然はこれを奥へと隠してきた。その魂は全て公正で純粋だが、それはこれは真の太陽だからである。私はこれを汝に伝えよう。これを〈粗雑なものから〉取り除き、分けて、分離させよ。汝が何の恩恵を求めても、罪も無く、喜びとともに、それは気前よく与えられるだろう。」左のハンマーを振るう座った人物の側には硬石を砕くべくと記され、右側の蒸留器をもつ人物には、「我々の補充の石を砕く」と読める。下の立っている人物らの間には「賢者よ、求めよ。さすれば汝は我が石を見つけよう!」とある。右下のバスケットを持ち手を伸ばす人物の下には、「底の姉妹(?)を引き出せ」という言葉がある。左下の人物がかき混ぜるプールの下には、シンプルな言葉「我らが癒しの水」とある。この4人の男の顔は良く描かれている。



 第8ページ。太陽、月、水銀の下には「三つと一つ」の言葉がある。これは三つは一つのものと推察できる。花梗の下にある言葉は、「灰の後に40日の白」と読める。花の下には、(左側は)「石の小さな時」と、(右側は)「選ばれた赤」と書かれている。中央の人物の腕の間には、「1ポンドの水銀を置け」とある。左側には、「読者がこの人物を知るならば、汝は石の学全体を得るだろう」と書かれている。右側には、「そして汝がこれを認識できないならば、汝は頑固で鈍くなるだろう」とある。右下の太陽の上には「父」の言葉があり、サチュロスの上には「発酵の作業」がある。左下の子供の側には、「この月の息子は、火――彼の母へと石を投げこもう」の文がある。燃えるバスケットの上には、「私は真の石である」と書かれている。中央の人物の下には「温和な火は、この作業のマスターである」の言葉がある。



 第9ページ。左上には、「月の光が無ければ、太陽は地を温めず、月に太陽はその果実を放射する」と書かれている。右上では哲学者の真のハーブが記されており、「それを信じる者は(霊的に)豊かとなるだろう」と宣言する。よってこのパネルの文は「汝が啓明を求めるならば、人の両手のいずれかに何を持つかを完全に理解せよ」と結論する。太陽の左上にある文は「太陽と月を完全に無いままに、染めて、分解し、凝結させ、自らで作り出すようにせよ」と読める。哲学者のハーブを持つ人の右の言葉には、大いなる作業の始め、中間、終わりの純化を宣言する。最後の文節では、「太陽と月から、同等の部分を作り出し、それらの結合により、神は哲学者の石を作るのを望もう」と読める。



 第10ページ。左上の短い2行の文は「ある者らは新しい石を取る」と読める。火星(鉄)の象徴の右の行には、学徒に自らの欲望を制御し、知識の蓄積に心がけるように忠告する。樹の上部を握る人の伸ばした腕の下にある言葉には、どの満足いく翻訳も見つけられなかった。低位のパネルには、以下の様に読める。「石が良く精練された後には、それは完全に全てを貫くように見えるだろう。この石はその水とともに瓶の中に入れておかねばならない。良く閉じてから弱火で温めて、自然の驚異を待つのだ。」葉の下半分で満たされる大きな赤い楕円形は、やがては賢者らの卵あるいは器となる。この樹は聖なる金属の生長の象徴である。なぜなら錬金術師らは、金属は植物に似て、岩の中で育ち、その枝(鉱脈)を裂け目を通じて広げていくと確言していたからである。



 第11ページ。この噴水は、それから二つの哲学者の水銀が取り出せると説明されている。左上には、白い水銀と記され、右上は赤い水銀である。泉の上にある文では、土星(鉛)は地の水と呼ばれる白い水銀を集め、地は天の水と呼ばれる赤い水銀を集めると宣言する。カエルの左側の文は「天と地を造った御方を通じて、我は哲学者の石であり、我が体の中に賢者が求める物を運ぶ。我からこのような魅惑あるものを取り出したなら、それは汝に甘く爽快なものとなろう。我は父と母を持つ動物で、父と母は創造された。そして我が体は四大エレメンツを含み、我は父と母の前にあり、毒のある生き物である」と読める。右側にある文では、蒸留と煆焼のプロセスが記されている。



 第12ページ。最上部の3つの言葉は「これは自然である」と読める。ロバの上にある文は「これは哲学者の石の実践を起こそうと望む哲学者のロバである」と読める。動物の下にある3行は「カエルらは増殖により集められるが、この学は太陽と月から作られた清澄な水からなる」と訳せる。象徴的な鳥の下にある文は、以下の通りである。「これは二つの翼を持つ幸運である。これを持つ者は、その果実が作られるのを知る。ある偉大な哲学者は、この石は特定の白い太陽であり、見るためには望遠鏡を必要とすると示している。これを水に溶かすには、太陽と月を必要とし、200の望遠鏡を開き、肉体と魂を一つの形質へと置く必要がある。そしてここでは、その形質は失われる。他の賢者は、カエルらを焼いて、何も加えない。賢者の液体が出来れば、汝は喜ぶのを望むだろう。」古代ギリシアでは、カエルは転生と地上の湿気の両方の象徴だった。



 第13ページ。このページには2つの絵のみが含まれている。左側は哲学者のモリエヌスで、「火の中に住み育つ」サラマンダーへと向いている。モリエヌスは12世紀に生まれ、偉大なアラブ人錬金術師アドファルの弟子となり、ヘルメースの術を学んだ。モリエヌスはエジプトのスルタンのために哲学者のエリクサーを調合し、彼が貴重な形質を置いた瓶には、「全てを持つ者には、他は何もいらない」という言葉が彫られている。彼は長い間、イェルサレムの近くで隠者として過ごした。サラマンダーの下にある文は以下の通りである。「火が完全な赤色、地は白色に、水は透明になるようにせよ。それから、これらを哲学的な方法により混ぜて、水により何度も煆焼し、体が熱により白になるようにせよ。これらが行われたら、汝は世界で最も貴重な宝を得るだろう。」



 第14ページ。上の三つの言葉は、「掘る男」と訳される。鳥の上には「ヘルメースの雄鶏たち、二つの水銀のみが鋤を手に取る事ができ、その灌漑の後にのみ、大地は彼女の果実をもたらせる」と宣言する。座った男は、トレヴィーゾのベルナルド伯で、「水銀とともに地で働け」と述べた者である(「錬金術とその代表者達」の章を参照せよ)。伯爵の左側の3つの文は「水銀とともに火へと向かい、兄弟よ、一ヶ月私を待て。私が汝に与えた石を砕いて、私は火へと向かわねばならない。汝の死は我が命である。私は死なずに生き、この作業について語る、我が主よ」と読める。トレヴィーゾのベルナルドは、彼の錬金術の見解の書で、化学実験の本よりも大達人の書いたものを瞑想する必要性について強調している。彼は最後には「石」を見つけた。



 第15ページ。最初の文は「太陽の徳による、植物の果実、我が石」と読める。少年が持つ皿は「汝ら技芸家ら全てよ、ここで飲め。我に来たれ、水へと走れ。ここで値無しに飲め。そして汝の望むだけ飲め。汝の目を開き、地の驚異を見よ。彼らは、我が24の飲み物を学ぶ」と述べている。少年の下には、「始まりに神は天と地を造り、水により水を分けた。そして天の上にある水を祝福した」という言葉がある。下の円の絵には、「地は形無く虚無であった。星々より雨が来た」との文がある。左下のパネルには、錬金術のプロセスが含まれ、その最後には世俗の存在の苦悩を放棄するよう訓戒がある。その上には「アヴェマリア、恵みに満ちた方、主はあなたと共におられます。あなたの女のうちに祝福されています」より始まる、乙女マリアへの祈りがある。



 第16ページ。最初の文は「死体は残る。霊は肉体の死により自由となる。汝は大鎌、太陽、月、星々の光とともに、この死に乗るだろう」と読める。大鎌には、「太陽、月、アゾットに属し、作業を完成させよ」と書かれている。大鎌の刃にある4つの言葉は「人の頭、カラスの頭」と述べている。右側の3行は、「この絵はラトンと呼ばれているが、それは瓶の中ではこれは黒く見え、腐敗の始まりだからである」と解釈される。梯子の下にある文は「これは原初の物質の梯子であり、瓶の中に置いたら黒くなり、火の程度に従って、徐々に梯子の消化により白くなっていく」と告げる。ここでの梯子は、物質が真の霊的な状態を達成する前には、上昇する必要がある事を意味している。



 第17ページ。ページの最上部の文は「この形質は固体化されるだけではなく、万物の中に入れるようにしなくてはならない。それにより、この物質は良く完成され、無限の徳を持つだろう。それから、これを厚くする事で、一度にこれは全て白くなり、白からの純化により、これは輝くようになる」と読める。太陽の上には「神と自然は無益な事はしない」という言葉がある。左側の男は偉大なエジプト哲学者ヘルメースの中世での概念である。右側の男はパリの哲学者クリストファーである。その上には「石が黒くても、それは無用では無い」と書かれている。蒸留器の上にある言葉は「風、火、水、地」で、その下には「体の分解は最初のステップである」が加えられている。この興味深い化学器具は、この作業の純粋に象徴的なものであり、著者自身が言うように、この「術」のヒントを与えるためのみに意図していると考えなくてはならない。



 第18ページ。左の本を持つ人物はアリストテレスで、全てのギリシア人の中で最も学んだ者と記されている。樹には太陽と月がついており、「この石が死んだら、水へと変わり、その中から花を生み出すだろう」という言葉も共にある。アリストテレスと樹が生えている倒れた人物の下には、これらの文、「天から地へ万物を下し、そして地から天へと上げる者は、石についての情報を与えている。この水銀の中に、賢者が求めている物があるが、白や赤の発酵無しには招聘すべからず」とある。この引用の最初の部分は、ヘルメースのエメラルド板からのものが基礎となっている。凡人には、霊は肉体により比喩的に吸収される。だが真の哲学者では、霊は力を大いに拡大しているので、自らにの中へと吸収し、人の肉体により養われる。



 第19ページ。最上部では「この絵について知るようになった者は、石の知識を持つだろう」と読める。座った男はおそらくはパラケルススを表している。彼の右側には「我は樹でも動物でも石でも植物でもなく、哲学者の石であり、人により踏みつけられ、我が父により火へと投げ込まれ、この火の中で我は喜ぶ」という言葉がある。左の4つの言葉は「乾燥の中に石はある」と述べる。この男の下にあるのは哲学者の卵であり、「この中に始まりが休む終わりである」という言葉を含んでいる。中央に書かれた大文字のTはチンキを意味する。右の文は「石が作られたら、ゲルベルが彼の書で詳細に書いているように、その性質の中には多くのものがあり、これは透明で生ける水へと変わり、人々を豊かに、満足させ、全ての雑事から自由にする力がある。そのため、自らの知恵により、この秘密を得た者らは、常に幸福となるだろう」と述べる。



 第20ページ。最上部には、「雨は6つの星々から作られる」と書かれている。逆さまの男の上の文は「新たな霊を受け取れ。目覚めよ。汝は眠っているからである」と読める。大きな人物の周囲にある2つの文は「水銀を忘れるな。汝は灰であり、灰へと汝は帰らねばならないからだ。我は渇き、死んでいる」と読める。左の七つの球の上には、「彼が乾いたなら、飲み物を与えよ。さすれば彼は生きるだろう」という警句がある。小さな人物の上には「哲学者らの父ヘルメース」と書かれている。ヘルメースが指す曲がった文には「飲む分量」と述べる。中央の台座の下には「我が目の光は、我が足元へのランタンである」とある。その下には「始まりが未知ならば、残りも未知である」と加えられている。火から起き上がる人物の上には、「新月の後に彼は蘇った」とある。そして鷲の下には「汝は我と共に遠くには飛ばないだろう」とある。



 第21ページ。最上部の行は「二つのもの二重のうち、一つが最終的には最初のものへと分解され、精子を作る」と読める。IAATの四つの大文字は、四大エレメンツのIgnis(火)、Aer(風)、Aqua(水)、Terra(地)の頭文字である。それらの下の文は「我らが火は水である。汝が火を火へ与えられたら、火と水銀は満ち足りる」と読める。腕の部分には「石の術は」の言葉が見える。そしてリボンの上には「迅速で簡潔で輝かしく稀である」とある。リボンの下の2行は「あらゆる手は鍵である。なぜなら、クサノオウと呼ばれるからである」と読める。太陽の下には「我は神の贈物」とある。その右の文章は「汝が全ての物質に満足し続けるならば、我は注意深く聞くだろう。我が体は裸で清澄で輝き、我は放たれようする油のように走り、純粋な金のように輝き、それからこの輝く小さな部屋(蒸留器)の中で病に倒れる」と読める。



 第22ページ。最上部の文は「この集団は、月、太陽、水銀の三つの石により構成される。月とは白い硫黄であり、太陽は赤い硫黄、水銀は両者、つまり白と赤である。そしてこれは全ての教授の力である」とある。左のボトルの中には「分解、焼成、純化で、この教授は完成する」の言葉がある。そして底では、「洗い、凝結させ、凝固させよ」とある。中央の塔の下には「だが金属の塩は一つの文字により隠されている」と書かれている。赤い円の底の周囲には「乾燥、冷たさ、湿気、熱、乾燥」の言葉がある。その下には、四大エレメンツの名前がある。4回現れているIAATの大文字は、既に述べたのと同じ意味である。哲学者の石の3つの力は、左上の端の円の中にあるケルブの頭らにより象徴される。



 第23ページ。左上にある文は主の祈りの要旨であり、さらに最後にはイエスとマリアの言葉が加えられている。旗の中の逆向きの言葉は「汝は我無しには何も行えない。なぜなら、神が『かくあれかし』と言い約束したからだ」と読める。天使の下にある文は「この病により、彼は死んだと知る者らに罵られよう。この黒い体に全ての冷たさはある。そしてこれを汝の最初の慰めとせよ。それから彼は焼成へと焼き尽されよう。我が彼をこの扉の中へと減らしたら、我がこの庭園を耕す方法を知るならば、我は祝福されるだろうと確実に知る」と読める。この絵の主な部分は、錬金術の道具の精巧で象徴的な描画に捧げられている。その下には、「蒸留、凝結、精溜、完成、固体化の錬金炉。哲学者らの精髄」の言葉がある。この「精髄」とは賢者の「第五エッセンス」と理解しなくてはならない。



 第24ページ。最上部の言葉は「我、鳥(達人)は太陽、月、アゾットから汝の耳に語る。この作業は僅かな労働により完成する」と読める。左のパネルは、原初の形質と哲学者の飲み物の性質について説明している。右の文は「これは我が見て愛する子。彼が復活したら、家に留まるだろう。この家にて、霊は魂と肉体と共にあろう。この水銀は太陽と月の子と呼ばれるからである」と読める。この子供の下には「彼が死なないならば、我は彼の母では無かっただろう。死の後に、我は彼を産み、彼は世界へと産まれた。我が足元の下にて、彼だったものを得た。そして我と我が子と我が足元の基盤より、哲学者の石は作られる」が加えられている。左下の石の3つの構成要素は、彼らの尊厳を示すために台座の上に置かれる。



 第25ページ。王妃の絵の上の3行は、要約すると、書の始まりにて彼女について書かれている。彼女の母の胸により、彼女は太陽を養い、彼女を原初の形質へと変換できる者は、稀な技量を持つ。王妃の頭の反対側には「山脈の頂上に、この水がある」と「我は哲学者らの光である」という言葉がある。王妃の左には、彼女が産んだ息子を叩く事への警句がある。彼女は自らを「太陽の母、月の姉妹、水銀の従者にして妻」と呼んでいる。右側で彼女は「我が息子らが灰となるまでは、我は王冠をかぶれない」と宣言する。そのすぐ下に、息子らは示されている。王妃の下の文では、錬金術のプロセスが続いており、形質からの滲出を保全するための方法が記されている。



 第26ページ。秘密の作業の諸象徴を扱ったこのヘルメース文書の結論であるこのページでは、直接的に関連していない幾つかの象徴が含まれている。最上部は、王の頭――錬金術の絵では最も一般的なものである。王の右には、ヘルメースの印で封印された錬金術の瓶がある。その下には獰猛な鳥の頭があり、これはグリフォンを表している。王の左には頭の無い人物が太陽あるいは霊的な頭を持ちあげている。この人物は世界であり、頭が無いのでなければならない。なぜなら、頭は霊的で理性的な部分であり、それは物質ではなく、結果として不可視だからである。その下には、描写可能な物質が伴わない円がある。王の頭の直下には、花瓶があり、そこから哲学者らの黄金の植物が育っている。このページの一番下には、別の錬金術の道具があり、これもまたヘルメースの印と呼ばれている。



古今の秘密の教え 化学の結婚
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*1 ヨハネによる福音書 第11章でイエスが死者から復活させた人。