古今の秘密の教え 錬金術の理論と実践2

ページ名:古今の秘密の教え 錬金術の理論と実践2

錬金術の理論と実践

その2


 全ての真の自然やヘルメース学の哲学者らは、自らの作業を、宇宙の至高の錬金術師に、大いなる作業の達成を助ける恵みを与えてくれるよう祈る事から始めている。何世紀も前に無名の達人によりドイツ語方言で書かれた以下の祈りの言葉が典型である。「聖なる三位一体よ、不可分にして三重の統一よ! 御身の限界無き永遠の炎の深淵へと我を沈めたまえ。この火によってのみ、人の死すべき定めの自然は僅かな塵へと変わり、塩の新しい体が光の下で統一するゆえに。我を御身の聖なる火で溶かし変容させたまえ。それにより、御身が聖霊の火的な水により我を闇の塵から引き出して、新たな誕生を我に与え、御身の息とともに生きるようにせん。また、御身の子の謙遜なる人間性を通じて我を高め、その助けにより我を塵と灰から引き上げ、透明で水晶のような楽園の金のように、虹色の純粋な霊的な体に変えたまえ。それにより、目の前にあるガラスと瓶の中にあるエレメンツのように、我の性質も贖罪され浄化されんことを。我が永遠なるソロモン王のワイン貯蔵庫の中にいるかのように、我を生命の水の中に満たしたまえ。御身の愛の火がここに受け取り、どのような嵐も消さない炎とならんことを。この神の火の助けを通じて、我が義の啓明へと呼ばれる価値ある者とならんことを。そして我が新世界の光の下へと封じられ、また、もはや光と闇の変転無き不死と栄光を達成せんことを。アーメン。」


錬金術の形式の起源


 見たところ、中世の錬金術師らのうち、補助無しに大いなる奥義を見つけた者はごく僅かのようである。ある著者らは、師や教師の支え無しに望んだ目的に達成できた者は誰もいなかったと宣言している。あらゆる場合において、これらの師らの正体は慎重に隠されてきた。中世においてすら、それらに関する憶測が流れた。そのような啓明された賢者らを達人と呼ぶのはこの世界の習慣である。この称号には、変容と増殖の真の秘密を保有する者らであるのを示している。これらの達人は神出鬼没の個人で、予想もせずに現れては再び消え、彼らの所在を掴ませなかった。彼らの間では、ある程度の組織があったのを示している。最も強力な錬金術師らの組織は、薔薇十字団、イルミナティ、アラビアとシリアの一部の諸宗派である。


 これらに関する文書では、彼らは「同胞」や「兄弟」として引用されている。これらは実際に大いなる作業を達成した者らが、暗号文と秘密のサインや象徴により、お互いに集い、お互いに知り合っていたのを意味する。これらの啓明された達人らの幾らかはアラビア半島に住んでいたようである。なぜなら、偉大なヨーロッパの錬金術師らの幾らかは、小アジアで秘儀参入を受けているからである。錬金術の学徒が至高の秘密を学んだら、彼はそれを用心して守り、誰にも彼の値を付けられない宝を明らかにはしなかった。彼はそれを家族にすら明らかにするのを許されなかった。


 時が過ぎ去るにつれ、秘密を見つけた者――より正確に言うならば、秘密を明らかにされた者――はこの公式を託すに値する若者を探した。この者、そしてこの者のみに、ルールとして、哲学者が奥義を明らかにするのを許されていた。この若者は老賢者の「哲学者の息子」となり、彼に賢者は秘密を伝えていった。だが時には、達人が真摯で真面目な探求者を見つけ、この術の本質的な原理を伝授する事もあった。そして弟子が継続して努力していたら、弟子はこの同胞の尊厳ある友愛団への秘儀参入を静かに受けられた。このような方法では、錬金術のプロセスは保持されるものの、それらを知る者は急速に増大する事は無かった。


 16、17、18世紀では、考慮に値する数の錬金術の達人らが、ヨーロッパ中を旅しており、意識して現れたり消えたりしていたようである。人気のある言い伝えでは、これらの達人らは不死であり、錬金術の大志の目的の一つであった神秘的な薬により、自らの生を保ってきたとされた。ある者らは数百年生きていて、エリクサー以外の食事を摂らず、その数滴により長い間若さを保てたと力説された。これらの神秘的な人物らの実在は、信頼できる証人の数からほとんど確実である。


 さらに、彼らと接触したと称する者らによると、現在でも彼らは実在すると確言する。類は友を呼び、弟子が達人が受け入れられるだけの徳と統合を開発したら、彼の前に現れ、このような助けが無ければ見つけられない秘密のプロセスの一部を明らかにしたと哲学者らは教える。「知恵は花のようなもので、それぞれの自然に応じて、蜂はそこから蜜を作り、蜘蛛は毒を作る」(未知の達人による)


 錬金術の形式と記章は、主に寓意的な象徴として取られるものだと読者は常に心に留めておく必要がある。それらの秘教的な意味合いを理解しない限り、これらの文字通りの解釈には価値が無い。ほとんど全ての錬金術の形式は、一つのエレメントが意図的に省かれている。中世の哲学者らによりそれらは定められており、自らの知性により失われた部分やプロセスを見つけられない者には、人類の大半を支配し、自然のエレメンツの諸力を意のままにする力を与える、これらの秘密を任せられる条件には無いとされた。


エジプト人による錬金術の鍵

キルヒャーの「エジプトのオイディプス」より


 エジプトの神官らは、スカラベ(コガネムシ)を再生の象徴としてのみならず、その習性の中に、卑金属を金へと変えられる秘密のプロセスの多くの類推を発見していた。彼らはコガネムシの卵を、金属の種子と見て、上記の図はこの種子が様々な惑星を通過し、最終的に中央へと到達し、完成した後に元の源へと帰還するのを示している。上の小さな渦巻にある文は、「世俗の霊の渦巻の進歩」と読める。図の低位の渦巻の中央への旅を終えた後、コガネムシは上位の世界へと帰還するが、その道には、「統一の中央への霊の帰還」という文字が書いてある。


ヘルメースのエメラルド板


 錬金術の術式の中でも最古で最も崇められているのは、ヘルメースの聖なるエメラルド板である。この板の正統性を斯界の権威らは認めておらず、ある者らはこれはキリスト教時代以後に作られた贋作と宣言する。だが、その著者はともかく、この板が非常に古くからある多くの証拠がある。エメラルド板の象徴には、特別なメイソン的な重要性がある――ヒラムの人格性と関連している――ものの、まず最初に本質的にはこれは錬金術の形式であり、卑金属の錬金術と、人間の再生の神的な錬金術の両方と関連している。


 シギスムンド バクストロム博士の錬金術文書全集では、古代にはタブラ スマラグディナと呼ばれたこの驚くべき板の翻訳と解釈に専念された箇所がある。バクストロム博士はモーリシャス諸島で、自らをチャザイ伯爵と名乗る未知の達人から薔薇十字友愛団へと秘儀参入を受けた。バクストロム博士のエメラルド板の翻訳と注記は以下に記す。


「カルデアの最古の不朽のエメラルド板はラピス ピロソポルム(哲学者の石)について扱っている。
 エメラルド板はヒラム王の寓話的な歴史の起源を与える。カルデア人、エジプト人、へフライ人らはヒラムに関する彼らの知識を一つの同じ泉、ヘルメースから受け取っていた。彼はこの歴史を違った方法で起源から従い、その後にウェルギリウスがヘルメースに従い、ヘーシオドスがこの主題を彼の「神統記」に受け取り、同様にそこから、オウィディウスが「変容」の小説でこの主題を用いた。この自然の秘密の知識の作業は古代の著書ら全ての主要なテーマを構成したが、無知な者らはこれを骨抜きにし、外的でヴェールを被せられた神話となさしめ、低級階級の大衆を偶像崇拝へと向けさせたのだ。」

「オリジナルの古代カルデア碑文からの正当な翻訳は以下の通りである。」

「(2つの最初の大文字は、秘密の作業を意味する)」

「(2行目には、大文字で「本質は1つで様相が3つの普遍的な動者ヒラム」と読める)」

「これは虚偽なく真実であり、確実で最も真理である。真に驚異の作業に影響するために、上なるものは下なるものに同意し、そして、下なるものは上なるものに同意する。唯一者の意志に、万物の存在は拠っているように、万物はその起源も唯一者、最も隠され、真の神の取り決めに拠っている。唯一のものの父は「太陽」で、その母は「月」である。「風」は子宮にそれを孕み、霊的な「地」はそれを養う。この唯一のものは(神の次に)宇宙の万物の父である。霊的な地と合一した後には、その力は完全である。」

「(プロセス――第一の蒸留)この霊的な地を濃く粗雑なものから、注意深く温和な熱により分離せよ。」

「(最後の消化)大いなる手段により、それは地から天へと昇り、再び降り、地で再生し、全ての上なるもの下なるものは力を増大する。」(アゾットは地、ガラス瓶の底から上昇し、気体となってから再び地へと降下する。この周期を繰り返す中でアゾットは洗練されていき、気体化した太陽、その粒子を運ぶ中で、やがては太陽のアゾットとなる。つまり、我々の第三にして正当な哲学の水銀となる。そしてこの太陽のアゾットの周回は、自らがやめ、地がその全てを吸収するまで続けなくてはならない。それが沈んだ時、黒いタール状の物質、ヒキガエルとなる(錬金術の蒸留器の中にある形質で、人の体の中の低位のエレメンツでもある)。これは腐敗の完成、あるいは構成物の死として記されている。)

「それにより汝は、世界全ての栄光に参加する。」(疑い無く、この黒いタール状の物質は、白と赤となるだろうし、ならねばならない。そしてこの赤は、完成へと導かれ、金属への薬となり、生涯において肉体を癒す精神の健康を保持できるようにする。また、無限に増殖する事が出来るので、我々の資源を枯渇させる事無く、寛容に寄付できるようにし、我々に多くの方法を約束する。そのため、これは世界全ての栄光と呼べよう。L.P.(ラピス ピロソポルム。哲学者の石)の真の研究と黙想として、神の真理と調和し、心を我々の創造主であり慈悲深き父である神へと引き上げる。そして神がこれを保有するのを許すならば、貪欲、嫉妬、悪しき傾向の大原理を除去させ、我々の心を、かくも寛大な神の感謝へ向けて溶け込ませる! そのため哲学者らは、L.P.は善人を見つけるか、それを作るという偉大な真理を語っている。)

「そして闇は汝から去ろう。」(魂の器官を活性化させ、外的なものとの交流のために用いて、魂は考えるのみならず保持においても偉大な力を獲得する。そのため、我々がなおも知識を得ようと望むならば、肉体の生の器官と秘密の機能は、驚異的に強められ活性化され、魂は考えと保持の新たな諸力を獲得するだろう。特に我らが神へ知識を祈り、その信仰により我らの祈りが確言されるなら、全ての障害は取り払われるだろう。もっとも、これは全ての石の保有者が得るわけではない。彼ら自身の欠陥により、ただ金属の変容のみを望むのに満足している場合にはそうである。)

「(用いる事で)これは全ての力の中の力である。」(これは非常に強力な形態であり、L.P.は自然に隠されている全ての諸力を明白に保有しているのを示す。それらは自然の三つの機能の中でも、物質の破壊ではなく、高めて再生させるものである。)

「これとともに、汝は万物に打ち勝ち、全ての良きもの(太陽と月*1)と、悪しきもの(木星、土星、金星、火星、水星など)を変えられる。」(これはあらゆる微細なものを征服するだろう。無論、これは最も微細な酸素を自らの火的な性質を再生させ、それにより万物の力と貫通と徳を10倍強め、増殖させ、毎回それらはより短い期間で行えるようになる。やがては、それらの力は測り知れなくなり、増幅された力も、征服不能な金や銀といったあらゆる固体を貫くようになり、他の場合には変化不能な水銀、水晶、ガラスを流動化させ、それにより自然の硬度と柔軟性を与えられる。これらはジョージ スターキーが証言しており、そして我が父の時代にウィーンのリヒテンシュタイン公が保有していた、5百万ドゥカートの価値があった、哲学者の石により作られた人工的なダイヤモンドにより証明されている。)

「この方法により世界は創造された。この道に従う手筈は隠されている。この理由から、我はヒラム テラト メハソト、本質は一つで三つの様相のあるヒラムと呼ばれる。この三位一体の中に、世界全体の知恵(すなわちヒラムの中に、その使用法)は隠される。」(ヘルメースはモーセやゾロアスターと同一人物と考えられてきた。他の場合、ヘルメースは蛇で表されており、この蛇は知識あるいは知恵の紋章として使われてきた。この蛇は、翼のある球、太陽と月、竜とグリフィンと同様に、古代エジプトのヒエログリフのあちこちに現れており、古代エジプト人らは哲学者の石の深淵な知識をこの蛇により表わし、スーダ辞典*2によると、聖書やデノンにもそれらの仄めかしはあり、そこでは古代エジプトの神殿らの聖域について彼は語っている)。

「ゆえに、私が述べてきた「太陽」の効果は、これにて終わる。エメラルドの板はかく終わりき。」(太陽の作業で私が述べ教えた事は、今終わりき。完全な種子は、増殖のために適応した。)

(これらが、正当なヘルメースのエメラルドの板として私が知る限り、認められているものである)


R.C.(薔薇十字団)の兄弟らからの手紙


 トーマス ヴォーン*3は、自らが薔薇十字団の会員であったのを否定しているが、何年も彼は実際には団の首領だったと信じられている。「光の中の光、あるいは世界で発見され交流された新たな魔術の光」という題名の1651年にロンドンで出版された小著で、ヴォーンはおそらくは薔薇十字団から来たと思われる驚くべき手紙を記している。この手紙には、哲学者の石の製造プロセスと形式が象徴的な形で表された絵図が付記されていた。この手紙は、薔薇十字団の抽象的神学的な思弁と、具体的な化学形式との組み合わせの体系の、素晴らしい例である。この書の様々な場所で記されている道具の助けにより、学徒はこのヒエログリフに含まれている謎を解くことが出来るだろう。


「R.C.(薔薇十字団)の兄弟らからの、不可視の魔術の山と、そこに含まれる宝についての手紙」


「あらゆる者らは自然と卓越した者となり、金と銀(知性と魂)の宝を持ち、世界の目から偉大な者と見られるのを望む。無論、神は万物を人が用いるために作っており、彼はそれらを支配し、それらの中に神の善意と全能を見出し、神の慈悲に感謝し、神の誉れを称えるであろう。だが誰も、怠惰に過ごすばかりで、これらの事柄を求めようとしない。彼らはどのような前行も危険も無しに、それらを楽しめただろうに。彼らは神が置いた宝の場所を求めたりもしない。神は人がそれらを求めるのを期待し、求めた者に神は与えるだろう。だが、この場所を誰も探そうと努めずに、そのため、これらの富は見つけられない。そのため、この場所への道、そして場所そのものも、長い間未知のままであり、世界の大部分からは隠されてきた。この場所と道を見つけるのは難しく骨折るだろうが、それでも、この場所は見つけられなくてはならない。」


「だが、全てを隠すのは神の意志ではなく、そのため最後の審判が訪れる前の、この最後の時代に、万物は価値ある者には明らかにされねばならない。神自らが〈聖書の〉特定の場所で語ったように(もっとも曖昧にして、価値無き者に明らかにされないようにである)、開かれないよう閉ざされた物は無く、知られないように隠されたものも無い。そのため、我々は聖霊により動かされ、世界へ神の意志を宣言し、それらは既に様々な言語により出版されている。だがほとんどの者らは、我らの宣言(薔薇十字団の名声と信条)を悪口を言ったり侮辱したり、あるいは別の者らは聖霊を放棄し、彼らは我らからの提案により、直接的にこの術により金を生成するのを教えたり、充分な宝により彼らを豊かにすると期待している。それらにより、彼らは世間に対して尊大に生活し、自慢げにし、戦争を始めたり、高利貸しをしたり、大食家や酒飲みとなり、不貞な生活をし、自らの人生全体を様々な他の罪で汚して、それら全ては神の祝福された意志とは反するものである。それらの者らは、かの10人の乙女ら(そのうちに5人は愚かにもランプのために油を要求し、残りの5人らは賢明であった)の話*4から学び、この場合はどうなったかを学んでおくべきであった。」


「あらゆる者らは神の助けと彼自身の特別な探求と精励とともに、この宝のために労働をするのが得策である。だが、神の恵みと黙示により、我々は先に述べたような邪悪な者らの意図を理解し、我々は聴く耳を持たず、自らを雲の中に隠し、金を求めての無駄な叫びをする者らの喚きや呻き声を避けるのである。そして無論、我らに無限の中傷や悪口を言う者らも通過していくのだ。我らはこれらの者らに腹を立てたりはしないが、良き時にある神が彼らをそのために裁くであろう。だがその後、我々は汝が聖書を熟読し、神の真の知識を求める尊厳ある者であるのを、汝の書く内容から知り(もっとも我々は汝には未知なままであるが)認めた故に、我々は何千という者の上にあるが、汝には幾つかの解答をする価値があると考え、神の意志と聖霊の訓戒により、それらを大いに汝に知らせよう。」


「地上の中心、世界の中心には、ある山があり、それは小さいのと同時に大いなるものである。この山は柔らかく、同時に測りがたいほど固く石的である。それは遠くにあると同時に、手に取れる近くにある。だがこれは神の摂理により不可視である。その中には充分な宝が隠されており、それらは世界には価値を測る事が出来ない。この山は悪魔の妬みにより、悪魔は常に神の栄光と人の幸福に対立するゆえに、非常に残忍な獣らや、他の貪欲な鳥らで囲まれている。それにより、この山への道を進むのが難しく危険にしている。そのため、まだ時が来ていないので、この山への道はまだ見つけられていなかった。だが今や、万人の自己労働と探究の末に、ついに価値ある者らにより道は見つけられよう。」


「この山へ行くには、汝は特定の夜(それが来る時)に最も長く最も闇の中を進み、祈りにより自らを準備させて見えるようにせよ。この山へと導く道を強く求めよ。だが道の半ばにいるどの人物にも尋ねるなかれ。唯一、汝のガイドに従え。彼は汝に与えられ、道の最中で出会うだろうが、汝は彼を知らないだろう。このガイドは汝を深夜に山へと導くだろう。そこでは、全ては静まり闇に包まれている。汝自身が断固とした英雄的な勇気を持つのは不可欠である。さもなければ、汝はこれから起きる事に恐怖し、失敗するだろう。汝は剣や、他の体に帯びる武器も必要無く、ただ真摯に心から神を呼ぶ事のみが必要である。」


「汝がこの山を見つけた時、第一の奇跡がそこで現れるだろう。最も激しく、非常に大きな風が山を揺るがし、岩々を粉々にするだろう。汝はまた、獅子、竜、その他の恐るべき獣らとも出会うが、それらを恐れる必要は無い。断固として、汝は逃げないように心に留めよ。汝をここにもたらしたガイドは、汝がこれらの悪に傷つくことが無いようにするだろう。宝については、それはまだ見つけられないが、非常に近くにある。この風の後に、地震があり、それは風が残したものを転覆させ、全てを平らにするだろう。だが、汝はそれにより落ちる事が無いようにせよ。」


「地震が終わったら、火事が続き、世俗的なゴミを全て燃やし尽くし、その中から宝を見つけ出すだろう。だが、汝自身はまだ見る事が出来ない。これら全てが終わり、夜明けが近い頃に、大いなる静けさがあり、汝は明けの明星を見て、日の出が見えてくるだろう。そして汝は大いなる宝を知覚するだろう。その中でも主要で最も完全なものは、特定に高められたチンキであり、これにより世界は(それが神に仕え、そのような贈り物の価値あるならば)色づけられ、純粋な金に変えるだろう。」


「汝のガイドが教えるように、このチンキが使われたら、汝が年寄りならば若返らせ、汝の体のどの部分からも病を知覚しなくなるだろう。また、このチンキにより、汝は想像も出来ない素晴らしい真珠らを見つけるだろう。だが、汝の今ある力により、何にせよ自分のために不当に使うなかれ。その代わりにガイドが汝に伝えるもので満足するようにせよ。この贈り物に対して、神を永久に称えよ。そして汝自身の世俗のプライドのために、これを使うことの無いようにし、世俗に反する作業に用いるように、特別に注意せよ。正しくこれを用いて、汝がそれを持っていないかのように、それに満足せよ。温和な生活を送り、全ての罪に気を付けよ。さもなければ、汝のガイドは見放し、汝はこの幸福を失う事になるだろう。このチンキを悪用し、人々の模範として純粋で敬虔に生きないならば、この利益を彼は失い、その後に回復するあらゆる希望はほとんど無いのを真理と知れ。」


 超越主義者らが信じるように、薔薇十字友愛団への秘儀参入が、見える宇宙を取り囲み浸透する、不可視の諸世界へ入る道ならば、この寓話が錬金術の形式であると同時に秘儀参入儀礼の光であると考えるのも不可能では無い。


 先に述べたように、どのような錬金術の作業でも完全な形式を確保するのは難しい。ここで示したものは、可能な限りで最も完全に近いものである。滴へと沈殿させるとする天体の諸惑星の光線とエネルギーを集めるのは、パラケルススが大いに成功させたプロセスである。これらのプロセスは、この秘密の術を適切に教授された者のためにのみあるのは、常に心に留めておく必要がある。


不可視の魔術の山

ヴォーンの「光の中の光」より


 トーマス ヴォーンは「光の中の光」の24ページで、魔術の山を以下の様に説明している。

「これはタリアが不可視のギアナによりもたらした象徴的な魔術の類である。第一にして最も優れた部分は、月の山脈で表されている。哲学者らは一般的にこれらをインドの山脈と呼んでいる。それらの頂上には秘密にして有名なルナリア草が生えている。これは容易に見つけられるハーブであるが、実際には人々は見つけるには盲目であり、闇には真珠のように輝く。これらの山脈の土は非常に赤く、説明出来ないほどに柔らかい。結晶化した岩に満ちていて、それらは哲学者らはこれらのガラスや石と呼んでいる。鳥や魚(彼らが言うには)がそれらをもたらす。これらの山脈について、最も素晴らしく賢明な著者のアラビア人ハリがこう語っている。インドの山脈へ行け、我が息子よ。そして採石場か洞窟で我らが宝石を取るのだ。それらは水に溶ける性質がある。これらの神秘を明らかにするのが適法ならば、多くのことが語られよう。だが一つだけ私は汝に語らねばならぬ事がある。ここは夜になった後は非常に危険な場所なのだ。火や他の奇妙な表れ(私がマギから語られた事によると)が彷徨うからだ。ある霊らは、世界の精子らとともに、みだらな戯れをし、それらの想像力を植え付け、多くの幻想的で怪物的な生き物を生み出す。この場所へと難行とともに到達し、巡礼する方法は、兄弟R.C.により正確に厳然と説明されている。」(付属の手紙が加えられている)


「一般的に哲学者の石として知られる普遍的薬のための手作業の真の啓示。ライデン*5の高名な哲学者が、死に間際に子息らに残した証明として。西暦1662年。我が愛する従弟と息子へ、真のヘルメース学哲学者より――」


「愛する従弟と息子よ。私はこの古代の賢者らの秘密を、どの人物にも書き記す事は無かったが、汝らへの特別な愛情から、また近親ゆえに私は書き残すべきだと考えた。さらに私はもう長くはなく、この術は非常に闇であり、汝らはこの目的を望もうとはしないかもしれない――だが我が息子よ、この宝石は豚へ渡すには貴重すぎて、神の贈物はかくも大いなるゆえに、慎重にキリスト教徒的に扱わねばならない。そのため、汝らは以下の誓約をするように命じる。」


「私は、汝らに聖なる手と口とともに命じる。」

「まず第一に、汝らはこれを全ての邪悪で貪欲で犯罪的な者らから誠実に保持するようにせよ。」

「第二に、汝らはこれらを自らの富貴のために使ってはならない。」

「第三に、汝らは万物の創造主の誉れと隣人らの善を求めよ。主が最後の審判で汝らに文句を言うことの無いようにこれを保持せよ。私はこの中に天の王国の一部に属する内容を書いている。私自身がこの宝の作業をし、我が指によりそれを終わらせている。そのため、私はライデンの町の死の床で、この本書の全てに我が血により著名をしている。」


「プロセスは以下である――神の御名において、最も純粋で清澄な塩、海塩を手に入れよ。それは太陽自身により作られ、スペインから輸入されてくるようなものをだ(私は サン ウベール地方から来た塩を使っていた)。暖かい部屋の中で乾燥させ、石の碾き臼で砕いて、可能な限り粉末にせよ。それにより、露結水に容易に溶けるようになるだろう。この水は5月か6月に用意し、月が満月の時に、東か南風により滴るようにし、それらが地に落ちる時に、地面から1.5フィート(45センチ)まで棒を立てて、そのような棒の2、3本の上にガラスの正方形の板を置くなら、滴は容易にガラスの上に気体のように落ちるだろう。それからガラスの瓶を用意し、ガラス板の側面から滴を瓶の中へと注ぎ込め。充分な量までこれを行うのだ。満月は最も良い時期で、それ以降は難しくなるだろう。」


 太陽光線は、太陽から降りていき、太陽の硫黄――神の火を運ぶ。これらの光線は月の光線と接する事で結晶化する。また太陽光線は地上から立ち上る放出とも出会い、部分的に有形の形質へと結晶化し、それは純粋な水に溶けさせられる。この形質はR.C.の手紙で引用される「月の魔術の山」である。太陽と月の光線が水(滴)の中で結晶化されると、処女土――純粋で、不可視、物質によって汚染されていない形質を生み出す。この処女土の水晶が湿ると緑色の見た目となり、乾くと白色となる。


 フォン ウェリングは淀んだ水から太陽の生を摘出するのを提案をしている。だが彼は摘出するエッセンスの名前や、その力を増大させ洗練させるための様々なプロセスについて語るのを避けている。だが彼のヒントは価値があり、同時に一般的でないものである。


「清澄な淡水を巨大なボトルの中に入れるが、4分の1の空間は開けておけ。このボトルを太陽の下に数週間置き、腐り始め沈殿物が底に見え始めるまで続ける。この沈殿物を蒸留により適切に操作するなら、清澄で火的で燃える油を作り出す。この製造法と使用法は、賢者らのみが知る。」


 このライデンの哲学者は続ける。「次に、充分な滴を集めたら、ガラス瓶を厳密に締めるなら、それを汝が使うまで保持でき、そのスピリットは蒸発する事はあるまい。この蒸発は容易に起きるのである。そのため、これを暖かさがどこからも来ない冷たい場所へと置け。さもなければ、微細なスピリットは起き上がり去るだろう。だが汝が滴をガラス瓶の中に満タンまで満たして、蝋によりしっかりと閉じていたら、そう起きる事は無い。」


「次に、神の御名により、滴水を汝が必要なだけ取り出し、清澄な融解用のガラス瓶の中に入れよ。それから先に述べた粉末状の塩を投げ込むと、その中に溶かせ。そして汝の滴水がそれ以上は溶かさなくなるまでか、塩が4日間、溶ける事無く留まるまで入れ続けよ。そして、充分になったら、汝の滴は適切な粉末が与えられよう。この複合された水を、汝が望むだけ取れ。私は1ポンド半ほど取ったが、それを短い首のある円形のガラス瓶の中に入れよ。充分に水で満たしたら良き泥で封泥せよ。完全に入り口を覆って栓をしたら、滴の微細で生けるスピリットは蒸発する事はあるまい。それが起きたら、塩の魂は決して刺激されなくなり、この作業は正しい目的に到達しないだろうからだ。この泥がよく乾燥するまで待ち、それから、浄化のためのB.M.の錬金炉の上に置く。とろ火で温めて、40日か50日は消化するに任せよ。そりから、水の蒸気は継続して瓶の中で回転し続け、汝はこの中に黒く増大した物質を見るだろう。これはその腐敗の徴である。」


「汝がこれを取ったら、錬金炉での乾燥の作業は終わる。この物質を入れたガラス瓶を凝固させるため、内なる球の中に置く。これをとろ火で温めて、12日から15日は同様に続けて、汝の物質がガラス瓶の周囲で灰色塩のように凝固し留まり始めたら、それは2日以内に汝は見るだろうが、火を弱めて、それがゆっくりと冷えるようにする。これで、先のように、腐敗の作業は終わる。汝のガラス瓶を配置し、前と同じ程度の火を与えよ。これを12日間置いておき、それから再び、物質が分解されると先の様に瓶を開く。だが汝はガラス瓶や泥が損傷しないように気を付けよ。そして汝がガラス瓶を腐敗用の錬金炉に置いたら、ガラス瓶の首に、木材か正確に当てはまるガラスストッパーで覆うように慎重にせよ。それで水蒸気が逃れる事は無いだろう。」


「汝が前の様に黒い物質が凝固し、さらにそれが灰色や白になり始めるのを見たなら、それを腐敗のために3回行い、凝固を5回行うなら、やがては汝の分解された水は清澄で透明となり、物質の方は雪の様に白い煆焼のようになる。この固体塩は熱い銀の板で蝋の様に溶けるよう準備される。だが、汝の塩を取り出す前に、それを再び腐敗の錬金炉に置き、自らから分解されるだろう。それから冷まして、ガラス瓶を開くなら、汝の物質は3分の1ほどに縮まっているのを見るだろう。だが、先の塩水に代わって、汝はとても甘く、非常に透明な水を見つけるだろう。これは哲学者らにより、非常に驚くべき名前を付けられている――これは全ての真の哲学者らの水銀であり、金と銀が来る水である。なぜなら、その父は金でその母は銀と言われるからである。よってこれらの光輝が混ざり合った、真にして正しい重さの水の力を汝は得る。」


「これは処方である。この水を5滴飲むならば、理解と記憶力を強め、最も驚異的で甘い事柄を開く。それらは誰も聞いた事が無く、私も神との誓約により、それ以上の事をここに書く事は出来ない。時とこの祝福された水の聖なる使用により、我々には教えられるだろう。汝がこの水を飲むとすぐに、汝の内側で全ての天と全ての星々がそれらの力とともに働き始めるかのように、そのような影響は汝に起きるだろう。全ての知識と秘密の諸術は、汝に夢の中のように明かされるだろう。だが何よりも偉大なのは、汝は万物のその性質について完全に正しく学び、それによって、我々や天と地の創造主、神の真の理解を、ダビデ王やソロモン王や神の全ての聖人らのように悟る。我々の生ける水の泉の知恵は、汝に、ソロモン王や我々の友愛団の仲間らのように教授するだろうからである。」


 彼の「塩、硫黄、水銀」の稀な論文において、フォン ウェリングは、一般に錬金術の書では明らかにされない秘密を露にしている。すなわち、錬金術師は金属の変容のみではなく、カバラを基にした完全な宇宙論的、哲学的な体系とも関連している事をである。


 フォン ウェリングによれぱ、この普遍的な塩(水に溶けた状態)は、人類の全ての病に対して肯定的な治療となる。それは全ての生き物の中にあるが、あるものは他のものよりもより容易に保持される。特に、処女土においてはである。これは普遍的な溶剤、アルカエストである。同著者はまた、この準備の第一の段階で、この塩は心臓のあらゆる病を癒すと述べている。このライデンの無名の哲学者は続けて言う。


「汝がさらに、この祝福された水とともに、先に述べた金属のためのチンキの準備に進むなら、我が息子よ、よく聞くのだ――。」

「主の御名により、この楽園の水、水銀の天の水を、汝が望むだけ取り、分解のためのガラス瓶に入れて、生暖かい灰の中に置くのだ。それにより、赤いエリクサーのために金を、白いエリクサーのために銀を浄化する準備が整う。なぜなら、両者のプロセスは同じだからである。汝の金や銀を金箔のように薄く引き伸ばし、汝の祝福された水が入っている分解ガラス瓶の中に入れよ。初めに汝が塩でしたように、それは温かい水の中に氷が溶けるように、溶け込むだろう。そして、汝の金か銀が4日間置いたままでも溶けなくなるまで、この作業を続けよ。それにより、これはその重みを受け取る。そして、球状のガラス瓶の中へとこの分解したものを3分の2ほど入れて、先に述べたようにヘルメース学的に封じ、汝の封印が良く乾くのを待て。それから気化のための錬金炉に置いて、火で炙りつつ、先に行ったように40日間置いておく。すると、金や銀は完全に溶け込んで、世界で最も黒いものとなるだろう。汝がこれを見たならすぐに、乾燥のプロセスは完了する。」


「哲学者らは、スピリットの凝固のプロセス無しには、物質の真の溶解は無いと言う。なぜなら、これらは比率に従って相互に混ざり合っているからである。それにより、物質のエッセンスは自然を貫く霊的なものとなる。一方で、この理解しがたい霊的なエッセンスの性質もまた、火により物質化できる。なぜなら、これらの間には、天が地の底に作用し、世界の宝石や宝を作り出すように、緊切な関係あるいは友情があるからである。」


「支配者に知られる驚くべき自然の作業」

「この粉末により、汝はそれらを金属へ投入できるだろう。汝の作業に従い、良質の金や銀の5部を取り、坩堝の中で溶かせ。汝の医薬を蝋で包み、その中に投げ入れよ。1時間強火で温めて、それから、それらが煆焼したかのように坩堝から取り出せ。そして、10分の1の部分を不完全な金属へと投げ入れるなら、それらは即座に、鉱山からもたらされ、精錬されたものよりも純粋な金属へと変わるだろう。そして汝が分解と凝固により、この力と徳を強め、3日の間に5回自らを分解させ、24時間の間に凝固したなら、驚くべき最も透明な石あるいは赤く輝く燃える石炭となるだろう。白の作業においては、これは稲妻の白い奔流のようになるだろう。」


「この最後の凝固で、1部を取り、先の様に5000の溶けた金や銀へ投げ込めば、それらも完全な薬へと変わるだろう。その1部で、溶けた10万の不完全な金属を、非常に良質な金や銀に変える。そこまでは私は行ってきたが、その先には出来なくなった。なぜなら、私がこの物質を12時間の間に6回蒸留したら、これは非常に希薄となった。その結果、ほとんどの部分(いささか驚くべき見た目となった)はガラスを通り抜けるようになり、言葉に出来ないような良い香りもした。これが汝には起きないように気を付けよ。」


「この聖なる術について、さらに多くの驚異についても書き加えられよう。例えば、これにより、あらゆる種類の宝石や他の貴重なものを作る方法などである。だがそれらの全てを記すには大著が必要となるだろう。特に、この術は無限の可能性があり、一見により捕らえられないからである。そして我が目的は、愛する従弟と息子よ、汝らを自然の密儀とこの聖なる学へと導く事に捧げられ、私はそれを忠実に行ったのだ。」


 結論にて、この手紙は告げる。「私が汝らの前に行ったように、この作業へと進め。汝の魂の底から誠実に神を畏れ、隣人らを愛せ。それにより、この手作業により汝に全てが明かされ、そして汝が作業をするならば、我が仲間らの多くが、我らの聖なる団を個人的に汝に明らかにするだろう。私は祈りと自然の探求によって、永遠の神が書いた真理を我が目により見て、我が手によって摘出したのだ。そのため、我が最後の死の床で、この遺言を我が親族に与える。ライデン。1662年3月27日。」


古今の秘密の教え クラウディウスの錬金術図
↑ 古今の秘密の教え


*1 あるいは金と銀。悪しきものは、スズ、鉛、銅、鉄、水銀。
*2 東ローマ帝国の辞典。
*3 1621年 - 1666年。ウェールズ人の哲学者、錬金術師。筆名はエウゲニウス ピラレテス。
*4 マタイによる福音書 第25章1-13節。愚かな5人は油を用意しておらずに、買いに行っている最中に門が閉ざされたイエスの例え話。常に善を用意しておくようにとの結論。
*5 オランダ西部の街。