召喚魔術の実践 1-19

ページ名:召喚魔術の実践 1-19

霊の使い魔、従者の霊


 ほとんどのグリモアや他の召喚魔術を扱う書では、しばしば従者の霊、いわゆるスピリトゥス ファミリアリス(霊の使い魔)について語っている。これらの書によれば、従者の霊は高次の存在、特に悪魔の大公らにより、魔術師の個人的な保有物として与えられる。それにより、どうでもいい事でいちいち悪魔の大公らが召喚されるのを避けるためである。これらの書はさらに、そのような従者霊は通常は契約を結んだ頭領や悪魔の大公から魔術師に、あるいはより可能性が高いのは妖術師に与えられると述べている。アンコルの方法により、従者霊は与える頭領と同じ種類の力や能力などを持つ。魔術師は望む結果が、頭領自身によるものか、彼に仕える霊によるものかは気にしない。だが一つだけ重要な事は、カルマの責任は常に魔術師か妖術師の側にある。様々な契約に関する章で既に述べてきたように、魔術師は物理世界での契約が終わった後には、悪魔の大公らの圏へと従い、行われた事に対する報いを払わなくてはならない。この報いとは勿論、物理的な金銭によるものではなく、霊的なものである。


 ヘルメース学的観点からは、従者霊は古代の原始的な人々のいわゆる家族霊として受け取るべきではない。これらの家族霊らは、ほとんどの場合は、部族の死者ら、英雄、先祖霊である。これらの死者との永久的な契約により、より原始的な降霊術の類が行われてきた。この種の降霊術は、我々の時代の心霊主義と比べられよう。あらゆる秘儀参入者はこの実践、崇拝の作業で、先祖霊、家族霊との接触を得るのが必要な事などについてなどは知っているだろうから、私はこの主題についてはこれ以上は述べない事にする。それぞれの家族は家族霊や家の霊のみを持っているのではなく、数えきれない部族が自らの精霊を持つのも、歴史においてよく知られている。真の魔術師はヘルメース学的観点から、実際の使い魔の霊と、家族や先祖霊の違いについて語る事が出来る。


 正当な魔術師が頭領、つまり高次の存在や高次の知性体との接触を図ろうとする態度は、妖術師や黒魔術師が行う者とは大きく違っている。後者の者らは、特別な努力をせずに、適切な前行や魔術開発無しで、霊的存在を彼に仕えさせ、自らの願望を満たすために、自らの力の下で保有したいと望む。だがそうする事で、この者は自らのカルマの借金をしており、自らの進化のコスト、さらに何よりも、彼の魔術開発のコストで行っているのを、不幸にも妖術師は忘れていることが多い。妖術師に仕える霊的存在は報酬無しには何も働かない。物質的な観点からは、そのようなサービスはローンとしてのみ見做されよう。実際には妖術師は契約が終わった後は、関連する存在の奴隷となる。既に先に述べたように、妖術師は行った事全ての償いをしなくてはならないのである。霊的存在はこれらの事実を完全に気づいており、それらの魔術師への献身についても、妖術師は自らに常に仕えて、願望を叶えてくれると確信させ、彼はこの霊的存在らのマスターになったと、しばしば誤解させる。彼の願望、これらの霊的存在への要求は、この盟約の中で増大していき、妖術師はいずれは貪欲へと陥る。この契約が切れる寸前になってようやく妖術師は、今までに何をしてきたか、どれだけのカルマの重荷を背負っているかの現実に気づく。だが通常は、この時にはもう手遅れなのであり、この契約の束縛を破ると称する全ての助言と教授は、ヘルメース学的見地からは無駄であり、実践可能では無く、真の魔術師の目からは全く馬鹿げているのである。始まりだした否定的な効果は、原因と結果の法により、どうあろうとも返済を行おうとする。これに対抗できるのは、神の摂理が、その愛と慈悲の様相により、ある場合には例外となれるのである。


 原因は常に関連した結果が伴い、さもなければカルマの法、応報の法、宇宙全体の法は真実では無いというのは幻想であるのを正当な魔術師は知る。つまり、最も称賛に値する正しさによる最も正当な法が行われるのは、ここで強調する必要は無い。神の愛と慈悲は、善行などの他の全ての様相とともに、ここで働き、この時に人は自らが今まで悩ませてきた苦しみの原因であると悟り、この知識は彼に重荷をより容易に運ばせるようになる。正しい普遍的な観点からは、神の摂理と、その愛や慈悲などの様相を、それ以上は介在出来ない。あらゆる経験のある魔術師はこの普遍的な法を知り、これを正当に見つけている。そのため、あらゆる正当な魔術師は、彼の個人的な魔術的開発と進化を止めるような契約を結ばないよう心に留める必要がある。真の秘儀参入者は、高次の良き頭領らとすら、どれだけ多くの利益があったとしても、契約を結ぶ誘惑には陥らないだろう。霊的存在と、その圏とに自らを縛るのは、自らの考えと行いの自由を失う事を意味する。


 では召喚魔術を扱うのはなぜ必要なのかと、読者の中には尋ねる者もいよう。自らの個人的な開発に専念して、霊的存在はそのまま放っておいたほうが良いのではないか? この質問の答えは、正当な魔術師は望むならば、どのような霊的存在とも、肯定的でも否定的なものにせよ、接触ができよう。そしてこの真の召喚魔術の実践を自らの使命とすら見做そう。だがこの魔術師はどの霊的存在からも自らを縛り付ける誘惑には陥らない。魔術師はこの接触により、様々な圏の彼の知識を広げ、そのような諸圏の法則を学び、召喚の作業の間にそれらの存在への自らの魔術的権威を確立する。疑い無くそのような存在は、望むあらゆる情報を与えるのみならず、喜んで仕えるだろう。なぜなら、彼らがマスターとする正当な魔術師は、忠実に仕える者への真の秘儀伝授者となるからである。魔術の真の秘儀参入を受け、それにより完成に到達した正当な魔術師に、霊的存在は契約を結ぼうと心に抱いて近づこうとすらしないだろう。魔術師は必要ならば、ある圏や他の圏から従者霊を用いる事も出来ようが、自らがそれらに何も負っていないのをよく知っている。なぜなら、それらが行う何にせよ、その体系的な開発により自らの力でも行えるからである。魔術師は霊的存在を用いるのは、第1に自らの仲間を助ける場合で、第2には自らの開発のための貴重な時間を無駄にしないためである。これは正しい態度であり、容易に見る事が出来るが、これと妖術師の態度を比較できない。魔術師は常に召喚魔術の実践をする必要は無いが、必要が起きた時にいつでもこの実践を成功裏に行えるようにしておく必要がある。真の召喚魔術の正確な知識は、自らの知恵と宇宙の存在への力を増大させ、この方法によりその魔術的権威を強めるだろう。これにより真の魔術師はあらゆる面で完成へと至るに違いない。この者の魔術開発の間、霊的存在の正確な階層に注意を払い、以下の順番に作業をする事になろう。


 1. エレメンツとそれらの存在の頭領らと接触を得る。また必要ならば、それらの従者霊、家臣らも。
 2. 地球帯と、その全ての頭領らと家臣らも同様である。
 3. 階層に従って、月の霊的存在らを扱う。
 4. 水星の帯の頭領らを扱う。
 5. それから金星の帯に注意を向ける。
 6. 太陽の帯に。
 7. 火星の帯に。
 8. 木星の帯に。
 9. 土星の帯に。



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