召喚魔術の実践 1-15

ページ名:召喚魔術の実践 1-15

魔術の術式の書


 儀式魔術について書かれた全ての書、魔術書、魔術の術式の書、つまり霊的存在や霊を召喚したり命じたりする呪文が含まれた書は、召喚魔術で最も重要な部分を占めると見なされていた。だが、その内容はあまりにしばしば誤解されてきたので、私はヘルメース的観点からこれらを明らかにするよう努めようと思う。


 本を買って、そこに魔術の御守りと召喚の呪文を書き、魔術の術式を充分に学ぶのが、しなくてはならない全ての事で、それにより望む霊的存在を召喚できると信じるのは極めて悪い事だ。我々が現在に読む事の出来るグリモアは、古いものであれ新しいものであれ、術式の書の解釈について考えるならば、いずれも同じ間違いを含んでいる。真の秘儀参入者はこれらの神秘化に笑いを堪えられない。もっともそのような誤解を信じた人々が何の結果も出せない事を可哀想に思う。ある意味では、魔術の術式を神秘的に書いて、それらの秘密をあまりに容易には与えないのは、冒涜を避けるためには正しい事である。だが本書は高い倫理性とモラルの基準を持つ読者のために書かれており、成熟した人々のみがこの教授を成功裏に従え、真の秘儀参入について述べる事を理解し、真に獲得できるので、私はこれについても極めて大っぴらに語れるのである。


 まず最初に、術式の書は文字通りの意味合いで理解すべきではない。グリモアらで用いられる「魔術の呪文」や「魔術の術式」は特定の概念を覆い隠すために用いられる。他の場合には、野蛮な言葉、名前、表現により、魔術師の通常の意識状態を変容させる目的のためである。それによりエクスタシー状態に入った魔術師は、霊的存在に確実に影響を与えられるようになる。だが一般的に言って、魔術的に訓練されていない人物がこれらの方法で得られるものは、幻覚とファントムあるいは妄想、あるいは不完全で霊媒的な結果であり、ここではそれらを扱う必要は無い。通常そのような霊媒的な結果は、それらが正当なものであったとしても、その人物の無意識の延長の結果なのである。


 時にはこの人物がエレメンタルを放出する強い能力があり、エレメンタリーズが形成される事すらある。これらについては、正当な魔術師は既に「Initiation into Hermetics」で学んでいるだろう。これらのエレメンタリーズは召喚の目的である霊的存在と誤って考えられている。そしてアストラルの感覚を充分に開発していない人物は、その違いを区別したり状況を制御する事が出来ない。そのため、必要な訓練無しに儀式魔術を試みる事について読者に警告する。失望の他にも、その人物の霊と魂の障害は、その健康に最も後悔する結果となる可能性がある。だが自らの魔術訓練を完成させた正当な魔術師は、儀式魔術の実践においてどのような危険も無いであろう。この魔術の分野は、素人の実験には何の場所も無く、既に力を開発し成熟した魔術師が、魔術作業を容易にするための体系なのである。


 術式の書、時には霊の書と間違って呼ばれるものは、儀式魔術を実践する魔術師の正当な魔術日記であり、その目的に向かって、あらゆる重要な点を意識的に従えるように、彼の儀式の進行を一つ一つ記している。読者の一部には、御守りを増幅させる方法や、呪文のための術式などはどのように開発されるかを知りたいと願うだろう。古の時代より、魔術の秘密は上流階級、高聖職者、王らと高祭司らに制限され、その現実の真理、真の概念、霊的な諸事実を大衆の目から隠すために、多くの暗号の言葉や秘密の術式が用いられてきた。それらの解読は成熟した者らに取っておかれた。これらの暗号の鍵は、口伝により成熟した人物らによってのみ伝えられ、それらを一般に漏らすのは死をもって罰せられた。これは、この学が現在まで秘密にされてきて、たとえ一般に出版されても、なおもオカルトで神秘的な学に留まるであろう理由である。なぜなら、未熟で世俗の人物はこれを妄想や幻想的なナンセンスと見做して、その成熟と霊的感受性の度合いに応じて、この学について個人的な解釈や観点を持つだろうからである。よって、この最も秘密の事柄は、そのオカルト伝統を失うことは無く、それらから利益を得るのは常に少数者のみとなろう。秘儀参入を受けていない者が、このような魔術の術式の書を手に取り、その鍵について知らないならば、彼は特定の言葉や術式は魔術師の記憶の助けのためにのみあり、真の魔術師の儀式作業のための概要的レイアウトであるのを知らずに、その全てを文字通りに解釈するだろう。これは、なぜ時には最もナンセンスな言葉が、特定の存在を召喚するための魔術の御守りとして使われてきたかを明らかにしよう。術式の書は適切なノートブックであり、その中に正当な魔術師は自らの魔術の作業の進行を始まりから終わりまで書く。魔術師が自らの書が他人の手に渡る事が決して無いと確信が持てないならば、逐一に暗号の言葉を使わねばならないだろう。私はここでは少数の教授のみを与えられる。だがこれらは魔術師に自身の好みと考えに従って作るのを可能とするだろう。


 1. 作業の目的
 2. 召喚される霊的存在、諸力、圏など
 3. 魔術作業のために選ぶ場所
 4. 作業に必要な全ての魔術道具の準備
 5. 実際の魔術作業
 6. 霊的存在を支配する神の姿を取る。つまり、関連する神、その特性、機能などと繋がる
 7. 魔術師が繋がっている神に従って魔術の円を描く。リネンや布といったものに魔術円が縫られているなら、それは再描画されなくてはならない
 8. 魔術の三角形を描く
 9. 正しい場所に香炉を置く。ここでは必要ならば、香の方法も書く
 10. 魔術のランプを灯す。ここには、直観と啓明を起こす瞑想的態度についても含まれる
 11. 望む霊的存在の印章、ペンタクル、ラメンを充填する
 12. 特別な目的に応じた魔術の鏡をそれぞれ充填する
 13. 魔術の衣を身に着ける事と、それらの保護、浄化などを起こす瞑想的態度を取る
 14. 魔術のヘッドギア――王冠、帽子、魔術師のバンドを身に着け、神とのコンタクトをもたらす瞑想をする
 15. 全ての諸力、特にエレメンツを制御する魔術師の力をもたらす正しい態度とともに、魔術のベルトを身に着ける
 16. 絶対的勝利の瞑想的態度とともに、魔術の剣をベルトに差し込む。さらに魔術師の絶対的意志は現実化するという考えに正しく集中し、魔術の杖を再充填する
 17. 魔術の円に入り、同時に小宇宙と大宇宙の象徴を感じる
 18. 魔術の空間を聖別する。つまり、時間と空間の概念を完全に取り除く
 19. 魔術師の神と再び接触する
 20. 魔術師の人格全体を自らの道具全てとともに、関連するメンタル圏へと置く
 21. その圏の霊的存在か諸力を召喚し、三角形か魔術の鏡の中に存在か諸力が形を形成して現れるように命令を与える
 22. 作業室へと意識を戻す
 23. 霊に対して対話をしたり、必要な圏で特定の仕事をするよう命ずる
 24. 作業の最後で霊的存在を意識的に召喚してきた圏へと退去させる。そして感謝の祈りを唱えて作業を終わらせる
 25. 魔術円などを含めた全ての魔術の道具を片付ける
 26. 作業全体について、必要だった時間、成功したかどうかなどを、術式の書に記す


 正当な魔術師は自らの術式の書をこれや似たような方法により完成させ、それにより進行させなくてはならない。またカバラの知識も得ていたら、その意識が特定の圏へと赴いた時に関連する神名を使うことも出来よう。だが、これは助けの一つで、記憶を支えるためにすぎず、真の魔術師はこれを使わなくても行えるだろう。最初の作業は多分少し不確実なものになろう。だが、時間とともに魔術師に必要なものを教えられ、遅かれ早かれ魔術の領域の完全な師となるだろう。艱難辛苦はその報酬をもたらすのである。


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