召喚魔術の実践 1-5

ページ名:召喚魔術の実践 1-5

魔術の香炉


 多くの人々は、ただ香炉や召喚状を運ぶだけで望む霊的存在や力が現れるに違いないと間違って考えている。そして結果として部分的な成功や全く成功しないのに彼らはとても失望する。ある場合には、さらに悪いことに、彼らは自らの想像力や様々な種類の幻覚の犠牲者となる。そのため私は読者に、魔術の香炉の大いなる密儀と象徴的意味合いについて明かす事にしよう。


 香炉の象徴には何よりも、望む霊的存在や力の物質化や濃縮化の密儀を隠している。この事実はごく少数の秘儀参入者のみが知るので、霊的存在を実体化させようとする多くの召喚は誤った方向へと導かれている。これが何を意味するかの良い例として、魚を空気の中でも生きていけるという誤った考えから、彼らのエレメント、海から出すようなものである。すぐに魚が死んでいても驚く事ではない。これは霊的存在や諸力を呼ぶ場合でも同じである。


 霊的存在が不可視の世界からこの世界に呼ばれるには、存在が同意できる環境を作る必要がある。これは人間の肉体が適切な方法を取らない限り、微細な世界に入れないのと似ている。強い意志と信念とともに適切な配置をするならば、自らの小宇宙の中に霊的存在が同意できる振動を作り出せる。それによって存在と接触する事が可能となるが、これらは「Initiation into Hermetics」の魔術の鏡の章で記したのと似た方法となる。にもかかわらず、霊的存在は、この場合はどのような影響を与えるためにも、物理世界へと自らを転換する事は出来ない。高い知性体(霊的存在)のみが物理世界の法則に精通しており、高い秘儀参入としてこれらを用いる方法を知り、我々の物理界の外側にある諸圏の法則を知り制御し、自らで発現のために場所――我々の場合には三角形――を準備出来るのである。だがこの場合には、魔術師は霊的存在が自らで放出するための条件を作り出すよう用いたり命じたりは出来ないし、自らの中に神々の姿を形成する事すら出来ないだろう。霊的存在は真の魔術の権威とは決して認めないし、それどころか慎重に騙そうとしたり、服従するのを拒否したりする羽目になろう。この種の自らで必要な環境を作る召喚は、不幸なことに妖術師らも実践しており、彼らの魔術の進歩の不完全さや無知から、これらの存在のための、いわゆる魔術の空間を準備することが出来ない。


 この方法により妖術師に呼ばれた霊的存在は、ほとんどの場合、従うのに拒否したり、妖術師を騙そうとしたり、契約に従うよう強制したりする事すらある。そのような妖術師が向き合うだろう悪意や多くの危険については言うまでも無い。ファウスト博士とメフィストフェレスの民話は著名な例である。私は本書の後にこれらについて、もう少し詳しく説明しようと思う。人類の歴史に似たような事が何百もあったことは疑う余地が無い。だがほとんどの場合は、知られてはいない。


 儀式魔術での全ての準備を整え、全ての相応しい類推を考慮している正当な秘儀参入者は、そのような悲劇を恐れる必要は無い。そのために、魔術師が霊的存在と諸力を完全に支配するために、全ての魔術の手助けとなる道具の象徴主義を知り、理解するのは不可欠である。


 香炉は先に私が述べたように、霊的存在の物質化の象徴として仕える。魔術師は自らが召喚しようとする霊的存在に必要な環境を作る義務がある。霊的存在にそれを行わせる事は出来ない。なぜなら、それは自らの望みに相応しい環境を作り出すか、あるいは魔術師はその存在の影響の下に完全に陥る危険があるだろうからである。


 この主題について知り得る最も古い密儀によれば、望むどのようなランクの霊的存在のための環境の創造も、魔術空間の調整として理解されていた。現在まで様々な方法が用いられてきた。魔術空間に必要な集中をもたらす方法の教授を与える古代エジプトのパピルスがあるが、それらの象徴は誤解されてきているので、これらは用いられないか、完全に間違って使われている。


 霊的存在の物質化のための空間の準備は香炉の象徴に属する。まず最初に空間は香で満たされる必要がある。私はすでに「Initiation into Hermetics」の中で、自らや他者の使用のために空間を満たす方法については説明しており、どれだけこれが重要であるかも指し示している。この望む存在や力のための魔術空間の集中は、それ自身が香炉の準備となる。空間の充満させる性質は、召喚される力や存在のタイプに拠る。火のエレメントを呼ぼうとする時に、確実に誰も地の原理で空間を充満させようとはしない等である。これはナンセンスなだけでなく、法に対立してもいるだろう。例えば、魔術師がエレメンツの存在と作業していたら、彼はその存在のエレメントが物質化するように空間を満たす必要がある。ノームや他の地の精霊らは、地のエレメントで満たされている空間にのみ現れ、水の霊らは、水のエレメントで満たされている空間のみに現れ、風の霊らは風のメンタル・アストラルエレメントが優勢の場所にのみ発現し、サラマンダーや火の霊らは火のエレメントで満たされている空間に現れる。高い存在と知性体(Intelligences)には光に満ちた空間で、この光は惑星と関連する色でなければならない。外惑星存在は清らかな白い光に満ちた空間にのみ現れる。


 惑星の光の正確な色は想像力により影響される。例えば、土星の圏の霊的存在はあなたが土星の色であるスミレ色を作った場合にのみ現れるだろう。木星の霊的存在は、色の波動が青だったら自らを現すだろう。太陽の霊的存在は、黄金色の中に現れ、火星の存在は赤色の中に、金星の存在は緑色の中に、水星の圏の存在はオレンジ色の中に、月の存在は銀色の中に現れよう。肯定的な存在と作業する時、輝く光の中で個々の圏の色を付けるならば、非常に容易に現れる事が出来よう。色が暗くなるにつれ、善の存在が発現するのが難しくなっていく。否定的な存在と作業する時は、相応しい色は濃くて染み込んだものにしなくてはならない。肯定的な存在を暗い波動の色――例えそれが相応しい色だとしても――で染み込んだ空間に発現させようとするならば、関連する惑星の圏の否定的な存在が、呼ぼうとした肯定的な存在に変装して、肯定的な存在のフリをして騙そうとするだろう。現れる存在は、創造した色の性質があるのは規則である。低位の存在は暗い色、すなわち低い波動を必要とし、高位の存在は事実、透明な色でそれゆえに高い波動の色を持つ。


 屋外で作業する際には、想像力の助けにより特定の空間を指定させなくてはならない。室内で作業する際には、部屋全体が相応しいエレメントで満たされるのは不可欠である。充満の方法は、魔術師が肺と皮膚呼吸を通じて想像力の諸力を放出するか、純粋に想像力のみを用いて影響させる。相応しい色の光やエレメントを作るには、魔術師は自らの体を用いて、まず最初にエレメントや色のついた光を吸収し、次に空間へ向けて両手からや魔術の杖や極から直接放出して、招聘する存在や力のために満たし――すなわち、準備しなくてはならない。


 この招聘する存在や諸力のために魔術師の体から部屋へと色のついた光を転換する実践は、魔術師自身の目的のために仕える。だが、魔術師が自らの肉体、魂、霊――つまり自らの小宇宙――から惑星の類推に属する性質や諸力を強めて放出するのにも、同じ方法を用いられる。


 魔術師以外の人物のために霊的存在を仕えさせるための作業をする際には、充満はその想像力のみによって影響させ、空間の充満は、宇宙から直接影響されなくてはならない。望んだ諸力や存在は、この方法で準備された空間でのみ作業でき自らを強められよう。空間が充分に満たされたら、魔術師は魔術の三角形の中に特別な濃縮を作り、想像力の助けにより招聘する存在の姿を形成する。相応しいエレメントの濃縮あるいはダイナミクスの力は、霊的存在の効果的な発現が全般的に依拠するので非常に重要である。この濃縮を容易に行うためには、魔術師は軽い香を利用することも出来よう。だが、その香の材料は、呼び出す霊的存在の惑星の圏に相応しいものにしなくてはならない。


 魔術師が現実世界への効果に特別に強い影響を持たせたいならば、香を燃やし、存在の姿を作っている中に、相応しい濃縮された電気や磁気の流体も転換させる必要がある。また2つの流体のいずれかを払いのけるか、あるいは望むならば両方の流体――この場合、電磁流体と呼ばれる(「Initiation into Hermetics」の電磁ボルトの章を参照)――を流体コンデンサーへと入れるならば、霊的存在が物理的に効果的となるために用いられるだろう。だが魔術師が特定の形で霊的存在を物質化させるのを望んでなかったり、どんな姿でも現れなかったり、姿を存在に選ばせるのも気にしないならば、三角形の中に液体や固体の流体コンデンサーを置いて、相応しい電磁ボルトで充填させ、その間に魔術師はこの力を霊的存在が望む結果のために効果的に用いられるように、目的に集中する。


 読者は「Initiation into Hermetics」の電磁ボルトの章で、球状の中で内側が電気で外側が磁気のボルト充電の作成方法について、必要な教授を見つけられるだろう。ここでも、全ての法と同様に、例えば効果の期間なども決めておく必要がある。必要な材料による物理的な香は、電磁流体の創造を容易にするためにのみある。魔術師は初めに彼の集中を助けるのに必要ならば用いる事も出来よう。だが、これは不可欠ではない。そして全ての法を完全に自らの制御下に置いている良き魔術師は、確実に無くても行えるだろう。


 エクソシズムの多くの書で示唆している麻薬的な物質の使用は、真の魔術師は避けるべきである。そのような麻薬はその毒性の効果を別にしても、望む存在を招聘する助けには実際にはならず、ただ望む存在の妄想や似たような潜在意識の放出の原因にしかならない。そのため正当な魔術師は自らの健康をそのような、あるいは似たような経験でリスクに晒す事は決してしない。


 魔術師がアカシャ界やアストラル界の死者や他の生きている存在を目の前に現れさせたり、彼らを他の目的のために用いたいと意図するなら、空間に対して上で記した方法によりアカシャを満たし、充電のための電磁気流体を用いたり作ったりする必要がある。だが私はこの主題については、後の降霊術を扱う諸章で再び振り返り、より幅広い説明を与えようと思う。



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