召喚魔術の実践 1-4

ページ名:召喚魔術の実践 1-4

魔術の三角形


 魔術の三角形は、無限、境界無き、神との繋がり、アルファとオメガを象徴化した魔術の円と対照的に、発現の象徴であり、創造された全てや今までに創造された全てを表す。魔術の三角形や他の補助道具の、象徴主義の知識が無ければ、儀式や儀礼の作業は可能とはならないだろう。全てのグリモアやエクソシズムの儀式は一般的に、魔術の三角形を使う魔術師が、招聘した霊、霊的存在、諸力が発現するのを見るのを求めている。三角形の中での存在――霊――の発現は、儀式魔術の一つの様相に過ぎず、魔術師が魔術の三角形の象徴主義全体を理解しない限り、どの霊的存在も完全に現れる事は無いだろう。この象徴主義の正しい考えを得るには、魔術師はある程度はカバラに熟達し、3の数の秘密の知識を完全に理解する必要がある。神秘の数3の類推をより知るごとに、描いた三角形の象徴主義をより深く理解するようになり、霊的存在を発現させるのが容易となるだろう。


 現状で3の数の密儀とその類推についての全てを語るのは早すぎるだろう。私は導きの原理として魔術師に役立つわずかなヒントのみを与える事が出来る。まず重要なことは、三角形は我々が知る3次元世界、つまりメンタル、アストラル、物理世界を表す図形である。この物理界へ投射すべき諸力は上記の3界を通らねばならない。この三角形は頂点を上向きにしなくてはならない。それにより、それにより、2つの力は上の頂点から左と右の頂点へと行き、線を形成する。この2つは宇宙の対立する力、プラスとマイナス、電気と磁気を表し、それが底の線によって統一される。この原因界の発現の象徴化は、占星学の視点からは、土星、すなわち3の数の密儀と同等である。メンタル界においては、意志、知性、感覚を象徴化し、アストラル界においては、力、正当性、生命を象徴化し、物理界では先に既に述べたように、プラス、マイナス、中立を象徴化する。この類似の三角形はそれゆえ全ての界での万物を反映している。創造された万物の起源であり、包括される万物の原因である。3の数の密儀、すなわち三角形の象徴主義は、我々もよく知るように、あらゆる宗教において重要な役割を演じてきた。キリスト教においては、例えば三位一体、父なる神、子なる神、聖霊なる神がある。ヒンドゥー教においては、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ、すなわち創造者、維持者、破壊者があるなどである。他の宗教の中にも何百もの象徴的な類推を見つける事が出来るだろう。だが、その象徴と類推の詳細の探究は魔術師に任せよう。知るべき最も重要な事は、正三角形は魔術師にとっては、魔術円に続いて重要な普遍的な象徴であることである。


 魔術師は魔術の三角形の助け無しには、特定の力や霊的存在を円へと導く事は決して出来ないだろう。円は我々が今では知るように、無限の象徴であり、発現の象徴では無いからである。いかなる魔術師もこの事を忘れてはならない。ある魔術師はもちろん三角形無しに霊的存在や力を呼ぶ事が出来るだろう。だが通常それらは低位の霊らであり、高い諸力や高位の存在と対処するなら、魔術師は関連する図形、すなわち円を描いた直後に作った三角形を使わない限り決して作業は出来ない。魔術師は今や知るだろう。円は限界の無い最初の図形であり、三角形は限界のある最初の図形である。そして力や霊的存在を投射する空間の象徴である事に。


 召喚魔術において、三角形は中に力や霊的存在が召喚や投射されるだけの充分な広さが無くてはならない。力や存在は決して三角形より大きくてはならないからである。魔術師は彼が呼ぼうとする力や霊的存在は完全な制御下にあるように、すなわち円の中央に立つ彼が至高の力、普遍的、神性の理想を表しているようにしなくてはならない。それゆえ、三角形の中に呼び出された霊的存在は、魔術師の許可、あるいは魔術の用語でいる「放棄」をしない限り、去る事が出来ないのである。三角形の形について言えば、それは正三角形か鋭角になる。三角形は円と同じ素材を用いて描かれる。


 野外で作業する際には、三角形は剣や短剣といった魔術武器を用いて描かれる。円が布の上に描かれている場合、三角形もそこに描かれねばならない。三角形の作成は、魔術的に行われねばならない。魔術師の物理的な手で描くのではなく、魔術の円を作った時と同じく、メンタルとアストラルの手も完全に意識して描かれねばならない。さもなければ三角形には何の力も無く、招聘された力や霊的存在に何の影響も無いであろう。三角形を至高の象徴として、望んだ存在や力に影響するよう魔術師は瞑想しなくてはならない。


 魔術師は魔術の三角形の象徴主義について知れば知るほど、召喚する力や霊的存在への影響力が強くなっていく事にすぐに気づくだろう。さらに、この三角形を描いている時には既に魔術師の意識は瞑想や想像力により神と繋がっており、自らが描いているのではなく、魔術師に入った神が行っていると知るのは大きな利益となるだろう。儀式を行うたびに、三角形と魔術師の意識の中の類推を再活性化させるため、古い三角形を先に記した魔術武器で再描画するのは非常に有益である。三角形が布に描かれている場合は、魔術師は武器でやさしく線に従う。魔術武器を一切使わない儀式の場合は、魔術の杖か指のみを使って線を追う。霊的存在の印(シール)や護符(タリズマン)は、象徴的な意味を表現するために、通常は三角形の中央へと置く。私はどのように印や護符を作るかについては、後の章で詳しく述べよう。良く修練した魔術師は関連する流体コンデンサーを印の代わりに三角形の中央に置いた平たい容器、俗に言う魔術の杯の中へと浸す。または、吸い取り紙を使い、関連する流体コンデンサーを浸す事も出来る。上記の2つの方法のどちらを使うかは、本質的には魔術師の好みに拠る。場合によっては、これらの詳細は魔術師の意志により召喚し発現させようといる諸力、霊的存在の性質に拠る。


 私は最初の書「Initiation into Hermetics」にて既に、流体コンデンサーについては液体、固体、シンプル、複合のタイプ全てについて扱っている。魔術師はシンプルなものか複合した流体コンデンサーを、その目的には最適な方を使うことが出来るだろう。


 魔術の三角形は私がこれまで述べてきた事でもわかる通り、主に魔術師が使役するのを望む諸力や霊的存在と接触するのを手助けする図形である。これは特定の目的のために、あるいは場合によっては1つ以上の目的のために仕えるだろう。その主な目的はまず第1に魔術師が望む諸力や霊的存在と接触するためであり、第2には大宇宙から特定の存在を物質世界へ呼ぶためであり、第3には我々の物理世界に特定の効果をもたらすまでに、この存在の濃度を高める事である。これら全ては魔術の意志により方向付けられる。魔術師により召喚された存在や力は彼が望むメンタル界、アストラル界、物質世界のいずれかに影響を与える。


 以下の諸原理は魔術師の間では良く知られているが、それぞれの力や存在は、呼ばれて濃度を高められた圏の中でのみ効果がある。これは例を上げると、メンタル圏へと投射された存在は、物理世界には自然と影響を与えられず、メンタル界にのみ効果的となるだろう。同様にアストラル界や物理世界にも当てはまる。読者は後の章で一つの圏から別の圏への濃縮や物質化の密儀について、より詳細を得られるだろう。


召喚魔術の実践 1-5
↑ 召喚魔術の実践