明かされたカバラ 序説3

ページ名:明かされたカバラ 序説3

71. そして「地と常命の人の神秘は、天の不死の御方の神秘の後に来る」。ゆえに、神の像は地の上に造られた。そのため肉体の形態の中にテトラグラマトンは見つけられる。頭はI、両腕と肩はH、体はV、足は最後のHで表される。それゆえ、人間の外形はテトラグラマトンと関連しているので、それらで働く魂も10の天のセフィロトと関連している。これらの究極の表現を、王冠、王、王妃の3つ組の中に見つけられる。ここに魂の主要な3つの分割がある。第1は、NShMH、ネシェマー、であり、存在の最高の状態であり、王冠(ケテル)と関連し、知性界と呼ばれるセフィロトの至高の3つ組を表す。第2はRVCH、ルアフ、善悪の座で、倫理界、ティフェレトと関連する。そして第3はNPSh、ネフェシュ、動物の生と欲望で、イェソド、物質、感覚界と関連する。全ての魂は流出の世界では両性具有として存在していたが、地上へと降りる際に、これらは男と女に分離し、違った体の中に住むようになった。それゆえ、日常で男の半身が女の半身と出会うと、強く惹きつけ合い、結婚により分離された半身同士は再び繋がると言われる。そして魂の隠された形態は、ケルビムと同種である。


72. だが魂の3つの分割は、知的、倫理的、物理的な3つ組の形態によってのみ相応しいものとなる。だがこの偉大なカバラの概念を見過ごさないようにせよ。すなわち3つ組は4つ組によって、そしてその中に自らを見つけられた時にのみ完成する。IHVはIHVHの中に完成し現実化する。IHVHは3つ組の――

王冠王妃
聖霊
絶対形成現実化

が、4つ組の――

絶対な方父と母息子花嫁
マクロプロソプス、広大な顔父と母ミクロプロソプス、小さな顔マルクト、王妃にして花嫁
アツィルト界ブリアー界イェツィラー界アシヤー界
原型創造形成物質

によって完成する。

 そして、以下の4つの形態によって魂は応える。――アツィルト界ではハイア、ブリアー界へのネシェマー、イェツィラー界へのルアフ、アシヤー界へのネフェシュ。以下のテトラグラマトンと四界、魂の間の類推の図を参照せよ。


図6 テトラグラマトンの文字と四界と魂の間の類似の絵

  • アティルト ギブル界、神の無限にして畏れ多き概念と関連する世界からの至高の形態ハイアは、ゆえに原型の世界であり、この中では大いなる絶対的な魂が住まい、広大な顔と関連している。
  • ブリアー界、創造の概念、大望からのネシェマー、第2の形態は、IHの文字と類似し、広大な顔の父、畏れ多き御方が支配する創造界を繋ぐ。それゆえ、このブリアー界の魂で広大な顔と小さな顔、天の母とが共存する。
  • 精神、善と悪の思索の力、力と条件よりルアフ、第3の形態がある。それゆえ、イェツィラー界、限界の定義の知識を持つ形成界から来る。ここに住む魂らは文字V、小さな顔の息子と関連する。
  • 物質界、魂の全ての力の完成、性欲、食欲よりネフェシュ、第4の形態がくる。最後のH文字、アシヤー界からの子羊の花嫁に類似する。万物の現実化と物質化と関連し、それゆえ全ての小さな顔と啓示のHの文字と関連する。

73. ハイアは魂の中では、広大な顔と対応する原型の形態である。一方ではネシェマー、ルアフ、ネフェシュはこれら自身により、テトラグラマトンとして表されている。ハイアは除外されているが、これ自身も魂の「I、ヨドの上にある点」として象徴化されている。広大な顔が、IHVHのI、ヨドの至高の点として象徴化されるようにである。これは「日の老いたる者のヨドは隠される」と述べられている通りである。


74. 私はエリファス レヴィの「密儀の鍵」と関連する図表より魂の性質に関するカバラの教えの摘要を以下に選んだ。これらからラビ モーセス コルドゥエロとラビ イツハク ルーリアの持っていた考えの要点が読めよう。

「魂はヴェールを被せられた光である。この光は3つ組である。
 ネシェマー = 純粋な霊。
 ルアフ = 霊の魂。
 ネフェシュ = 柔軟な調停者。
 魂のヴェールは像の殻である。
 像は二重である。魂の善と悪の天使のようにそれらは反射するからである。
 ネフェシュは形態の破壊を通じて自らを再生させるので不死である。
 ルアフは考えの進化を通じて進んでいく。
 ネシェマーは忘れたり破壊することなく進んでいく。
 魂の3つの住居がある。
 1つは、生の深淵(アビス)、
 1つは、卓越したエデン、
 1つは、劣ったエデン。
 ツェレムの像は生の謎を投げかけるスフィンクスである。
 宿命の像(すなわち、外側に屈服する)はネフェシュに自らの属性を授ける。だがルアフは像をネシェマーの直観により征服されたものと取り換えられる。
 肉体はネフェシュのヴェールである。だがそのネフェシュはルアフのヴェールであり、ルアフはネシェマーを包むヴェールである。
 光は自らをヴェールで包む事で体現させる。そして体現はヴェールが完全な時にのみ安定する。
 地での完成は、地の普遍的な魂と関連する(すなわち、マクロコスム、大宇宙のものは、ミクロコスム、小宇宙、すなわち人でもある)。
 魂にとって3つの圏がある。
 第3の圏は他の世界の惑星的な引き寄せが始まる場所で終わる。
 この地で完成した魂は、別の地位へと赴く。
 これらの諸惑星を旅した後、彼らは太陽へと来る。そして彼らは別の世界へと上昇し、世界から世界へ、太陽から太陽へと彼らの惑星的な進化をやり直す。
 太陽の中で彼らは思い出し、諸惑星の中で彼らは忘れる。
 太陽の生は永遠の昼間の日々、惑星の生は夜のこれらの夢である。
 天使らは個人化した輝きを放出するが、それは三角形やヴェールによるものではなく、神の影響と反射による。
 天使らは人になるのを熱望する。完全な人間、神人はあらゆる天使らの上にあるからである。
 惑星の生はそれぞれ100年からなる10の夢で構成される。そして、それぞれの生は1,000年続く。それゆえ、1,000年は神の目からは1日と言われる。
 あらゆる週――すなわち、あらゆる14,000年――ごとに、魂は忘却の安息の夢の中で自らを清め休息する。
 そこから目覚めて、悪を忘れ、唯一、善のみを覚えている。」


図7 魂の形成の図(エリファス レヴィ ザヘドの神秘の鍵より)


75. 上記の魂の形成の図において、上の3つの円の部分に、ネシェマー、ルアフ、ネフェシュとして知られる3つの部分が表されている。ルアフとネフェシュより、ネシェマーの良き大望の影響を受けて、ミカエル、魂の良き天使が産まれる。これは良き考えの総合的なヒエログリフ、あるいは密教用語でいう人の「良きカルマ」である。ネフェシュよりルアフを通じて、だがネシェマーの良き大望の影響を受けなかったものは、サマエル、魂の悪しき天使を産み出す。これは悪しき考えの総合的なヒエログリフ、あるいは人の「悪しきカルマ」である。そしてツェレム、あるいは像は、ミカエルとサマエルの反映からなるダブルである。


76. 以下は、ジェリネク博士*1による、セフィロトの概念を、スピノザ*2のエチカに基づいての解析である。


1. 定義――万物の原因であり、支配する存在により、私はアイン ソフを理解した。それは、無限、限界無く、絶対的に自らと相似であり、自らの中に統一され、属性、意志、意図、欲望、思考、言葉、行いは無い。
2. 定義――セフィロトにより、私は絶対者から流出した諸能力を理解した。アイン ソフ、意志のように、その性質を変化させることなき性質により限界される全ての実在は、雑多なものとなる可能性のあるものを多様化させる。

I. 定理――世界の第一原因にして支配者はアイン ソフであり、内在性と超越性の双方を有する。
(a) 証明――あらゆる結果には原因があり、秩序とデザインのあるものには支配者がある。
(b) 証明――あらゆる見えるものには限界があり、限界のものは有限であり、有限のものは絶対的な同一ではない。世界の第一原因は不可視なので、それゆえ、限界は無く、無限で、絶対的に同一である。――よって、彼はアイン ソフである。
(c) 証明――世界の第一原因は無限なので、彼無しには何も存在出来ない。ゆえに、彼は内在的である。
注釈――アイン ソフは不可視で高き存在ゆえ、それは信仰と不信の双方の源となる。

II.定理――セフィロトは絶対者アイン ソフと現実世界の媒介となる。
証明――現実世界には限界があり完全でなく、アイン ソフから直接的に導かれる事は出来ない。だがアイン ソフはその上に影響を与え続けないといけない。さもなければ、彼の完全性は消え去る。ゆえに、セフィロトと密接に繋がるアイン ソフは完全であり、これらの分離は不完全なので、媒介物である必要がある。
注釈――全ての存在するものは、セフィロトの方法により作られているので、現実世界の高位、中位、低位がある(定理 VIを参照)。

III.定理――中間のセフィロトは十個ある。
証明――全ての体は3次元あり、それぞれには他のものを繰り返す(3 × 3)。それら全体の空間を加えると、我々は10の数を得る。セフィロトは限界のあるもの全ての能力である以上、それらは十でなければならない。
(a) 注釈―― 10の数はアイン ソフの絶対的な統一と矛盾しない。1の数は全ての数の基底であり、複数形は統一より進み、根源は進歩を含む。火や炎、火花、色は全て1つの基底であるが、それぞれが違うようにである。
(b) 注釈――考えや思考のように、思考物である精神も限界があり、具体的なものとなり、計測可能となる。アイン ソフから純粋な思考は導かれるものの、限界、計測可能性、具体性はセフィロトの属性である。

IV. 定理――セフィロトは流出であり、創造では無い。
1.証明――絶対者ゆえアイン ソフは完全であり、そこからセフィロトが導かれる以上、それらもまた完全でなければならず、ゆえに創造されたものではない。
2.証明――全ての被造物は抽象化により減少する。セフィロトはその活動が決して止まらないので減少する事は無い。ゆえに、これらは創造されたものではない。
注釈――第1セフィラはアイン ソフの中に、現実化する前の力として存在する。そして第2セフィラは知性界の能力として流出した。その後、他のセフィラも倫理と物理世界へと流出した。だが、これはアイン ソフの前後関係や段階的変化ではない。光により他に点火した光は、遅かれ早かれ輝き、多様性があるものの、全ては統一を含むのと同様である。

V.定理――セフィロトは活動性と受動性の両方である(MQBIL VMThQBL、マカヴィル ヴァ=メテカベル)。
証明――セフィロトはアイン ソフの統一を除外しないように、それぞれは先任者から受け取って後継者へと渡す――すなわち、受け取り分け与える存在である。

VI.定理――第1セフィラは探索不能な高み、RVM MOLH、ロム マアレー、第2は知恵、ChKMH、ホクマー、第3は知性、BINH、ビナー、第4は愛、ChSD、ヘセド、第5は正義、GBVRH、ゲブラー、第6は美、ThPARTh、ティフェレト、第7は堅固さ、NTZCh、ネツァフ、第8は壮麗さ、HVD、ホド、第9は世界の基底の正しさ、TzDIQ ISVD OVLM、ツェディク イェソド オラム、第10は正しさ、TzDQ、ツェデクと呼ばれる。
(a)注釈――最初の3つのセフィロトは思考の世界を、第2の3つは魂の世界を、最後の4つは肉体の世界を形成する。ゆえに、知性界、倫理界、物理界と照応する。
(b)注釈――第1セフィラは魂と関係し、ゆえに、統一、IChiDH、イェヒダーと呼ばれる。第2は、名付けられた生者、ChiH、ヒアー、第3は霊RVCh、ルアフと名付けられる。第4は、生命原理、NPSh、ネフェシュと呼ばれる。第5は名付けられた魂、NShMH、ネシュマーで、第6は血で、第7は骨で、第8は静脈で、第9は肉で、第10は肌で働く。
(c)注釈――第1セフィラは隠された光に似て、第2は空の青、第3は黄色、第4は白、第5は赤、第6は白と赤が半々、第7は白っぽい赤、第8は赤っぽい白、第9は白と赤、白っぽい赤、赤っぽい白で、第10は全ての色を反射する光である。


77. 私は次に、エリーク アンピンとザイル アンピン、マクロプロソプスとミクロプロソプス、広大と小さな顔について再び考えよう。広大な顔は、先に説明した通り、第1セフィラ、王冠ケテルである。小さな顔は6つのセフィロトにより構成される(以下の図を参照)。広大な顔では、全てが光と輝きである。だが小さな顔では、広大な顔からの光の反射としてのみ輝く。それゆえ、2つの三角形を組み合わせた六芒星はマクロコスム、大宇宙の印と呼ばれ、これらと相似である。ゾーハルの2つの顔はしかし、私が図にこれらのシンボルを置いたのはオカルト的な理由からのみではない。それは別の考えを典型的に表すためでもあるが、私はここではその説明は避ける。「隠された神秘の書」では、広大な顔と小さな顔の象徴主義について徹底的に議論している。それゆえ、これを読む前に、これらの類似性と違いについて知っておくべきである。1つは、AHIH、エヘイエー、もう1つはV、神名の4文字テトラグラマトンのヴァウである。最初の2つの文字、IとH、ヨドとヘーは、小さな顔の父と母であり、最後のHはその花嫁である。だが、これらの形態は峻厳と慈悲の均衡として表現される。峻厳さは2つのH、ヘー、母と花嫁により象徴される。だが特に後者による。過剰な慈悲は悪の傾向というより、特定の弱さの考えの表現であるが、力を望む、過剰な峻厳はレビアタンとして象徴される審判の処刑人、悪と弾圧する力を呼ぶ。それゆえ、「花嫁の両肩の背後に、その頭の背後に蛇(あるいは竜)がいる」と言われる。これは花嫁に対してであって、母では無い。彼女は上位のHであり、蛇の頭を潰す。「だがその頭は大いなる海の水により潰された」。この海はビナー、上位のH、母である。蛇は求心力で、楽園(セフィロト)を貫き、イヴ(花嫁)を誘惑すべく常に狙っている。それにより彼女は天のアダム(小さな顔)を今度は誘惑しよう。


 この象徴主義、特に本書の主題を形成するものを全般的に吟味するのは、この序説の守備範囲を完全に超えている。ゆえに、更なる説明のためには私は我が読者に実際のテキストを参照するようにしたい。この序説により、読者が本書にあるカバラの教えを良く理解し従えるようになれるよう期待したい。



ゾーハル 隠された神秘の書 1
↑ 明かされたカバラ


*1 "Beitrage zur Geschichte der Kabbalah, Erstes Heft." ライプツィヒ、1852年
*2 17世紀オランダの近世合理主義哲学者。主著「エチカ」では哲学にユークリッドの幾何学のような定義、公理、定理、証明を行う。