Goetia 1-10

ページ名:Goetia 1-10

レメゲトン


ソロモンの小鍵


善と悪の霊達に命令する儀式の術の詳細



ゴエティアの術について



ソロモン王により呼ばれ制約された72*1の地獄の霊らについて


1:バエル ( נאל )*2

 第1の主要な霊は東を支配する王バエル*3と呼ばれる。この霊は人々を不可視にし、66の地獄の霊達の軍団を率いる。時には猫のように、ある時はカエル*4のように、またある時は人のように、ある時はこれら全てが同時に三つの首がある姿で現れる。また非常に甲高く喋る。
 これがこの霊の印章*5であり、霊の前でラメン*6として身に纏わねばならない。さもなければ、汝の命令を聞くことはないだろう。




2:アガレス (אגאר)

 第2の霊はアガレスと呼ばれる公爵である。この霊は東の王の支配下にあり、ワニに乗り、手に大鷹を乗せた老人の姿で現れる。この霊は立っている者たちを走らせ、走り去った者たちを戻らせる。また現在の全ての言語を教え、超自然と自然の権勢を破壊する。地震を引き起こす事もできる。この霊はかつては力天使ヴァーチュースの位階にあった。そして31の軍団を率いている。これがラメンとして身に付けるべき印あるいは印章である。




3:ヴァッサーゴ (ושאגו)*7

 第3の霊は、力ある大公*8であり、アガレスと同じ性質を持つ存在であり、ヴァッサーゴと呼ばれる。この霊は良き気質を持ち、その権能は過去、現在、未来の事柄を述べ、失われたり隠された全ての物事を見つける。また26の霊の軍団を率いる。これがその印である。




4:ガミギン (גמיגין)

 第4の霊は偉大な侯爵ガミギン*9と呼ばれ、小さな馬やロバの姿で現れ、マスターの要求により人の姿へと変わる。だが声は馬の鳴き声のようである。この霊は全ての自由諸学*10を教え、罪により死んだ死者の霊を与える。また30の地獄の霊の軍団を率いる。この霊を召喚する際には魔術師により身に着けられる印はこれである。




5:マルバス(מארב)  

 第5の霊は偉大な議長マルバス*11と呼ばれ、最初は大いなる獅子の姿で現れるが、マスターの要求により人の姿へと変わる。この霊は隠されていたり秘密の事柄を正直に答える。また病を起こしたり、それを癒したりする。さらに機械工学の術の偉大な知恵と知識を与え、人を他の姿へと変える。この霊は36の霊の軍団を率いる。その印はこれである。




6:ヴァレファル (ואלפר)

 第6の霊は力ある公爵ヴァレファル*12と呼ばれ、荒れ狂う人の頭をした獅子の姿で現れる。この霊は良き使い魔であるが、主のものを盗む癖がある。また霊の10の軍団を率いている。これがその印であり、この霊との友誼を望むならば、常に身に着けておく。さもなければ得られないであろう。




7:アモン (אמון)

 第7の霊は偉大な力ある侯爵、最も強力なアモン*13と呼ばれ、最初は口からは炎を吐き、尻尾が蛇となった狼として現れるが、魔術師の命令により犬の牙を持つカラスの頭の人の姿へと変わる。この霊はすべての過去、現在、未来について教え、友人や敵との間に愛を作ったり*14仲直りをさせる。また40の霊の軍団を率いている。先に述べたように身に付ける印はこれである。




8:バルバトス (ברבטוש)

 第8の霊は偉大な侯爵バルバトスと呼ばれ、太陽が人馬宮に入った時に4人の高貴な王達と大いなる軍勢とともに現れる。この霊は鳥の鳴き声や犬が吠えるような他の生き物の声を理解させる。また魔術師の呪文により隠された宝箱を開ける。この霊はかつては力天使ヴァーチュースの位階にあり、今なお一部はその支配下にある。また過去、現在、未来の全ての事柄を知り、友や権力者と和解させる。また30の霊の軍団を率いている。目の前に示すようにする服従の印はこれである。




9:パイモン (פאימון)

 第9の霊は偉大な王パイモンであり、ルシファーに非常に忠実である。この霊はヒトコブラクダに乗った人の姿で現れ、その頭には華麗な王冠をかぶっている。その前にはトランペットやシンバルやその他様々な楽器を持つ人のような霊達が従う。この霊は最初に現れた時には吠えるような大声を放つので、魔術師は彼を強制するまではその声が理解出来ない。この霊は全ての技芸と学問と、さらに他の秘密の事柄も教える。さらにどこに地、水、風があるかを見つけ、その他にも知りたい事を教える。また権勢と確信を与えたり、魔術師が望むならば人を服従させる。また良き使い魔を与え、全ての技芸を教える。この霊は北西の方角で観測される*15。かつては主天使ドミニオンズの位階にあり、200の霊の軍団を率いている。その一部は天使エンジェルズの位階にあり、他は能天使ポテンタテス*16である。汝が霊パイモンのみを呼びたいなら、供物を捧げなければならない。また、この霊には二人の王、ババルとアバラム*17が従い、また力天使ヴァーチュースの25の軍団を率いている。これらの霊すべてが彼の配下だからである。常に彼とともにいるわけではないが、魔術師が強制したら別である。これがその印、印章である。






10:ブエル (בואר)

 第10の霊は偉大な議長ブエルであり、太陽が人馬宮にある時に現れる。この霊は倫理と自然哲学と論理術、全ての薬草と植物の性質を教える。また人の全ての病を癒し*18、良き使い魔を与える。また50の霊の軍団を率いている。これがその服従の印であり、汝はこの霊を出現させるために呼ぶ際には身に着けなくてはならない。




Goetia 11-20
ゴエティア


*1 この72という数は、72の神名シェム ハ=メフォラシュから取られたのだろう。詳しくは、ヘブライ語の諸神名についての記事のシェムの項を参考。
*2 これらヘブライ文字は、ルッド博士版のゴエティアに掲載されていたものである。ヘブライ語としては間違っている部分が多々あるが、一応は加えておく。
*3 Sloane 2731では「Baell」、ヴァイヤーは「Baëll」。
*4 Harley 6483では犬。
*5 Characterは印章、Sealは印だが、どちらも相互変換可能な言葉としてこの書では使われている。霊はいずれも(天使も悪魔も)それぞれ独自の印を持っており、召喚する時にはそれを使わなくてはならないのは、グリモア魔術全体での共通認識であった。
*6 Lamenとは、胸までの長さの金属製のペンダントで、召喚する霊を支配したり、護符として使ったり、関連する魔術エネルギーを蓄積したりする。
*7 ヴァイヤーの原本にはいない悪魔である。
*8 Princeにはこの時代には王子の他に大公の意味もあり、こちらが正しいように思えるのでこの訳語で統一した。
*9 ヴァイヤーは「GamygynあるいはGamigin」、マサース版では「SamiginaあるいはGamigin」。
*10 中世の大学で教えていたリベラルアーツ、自由七科。文法、修辞、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽。
*11 ヴァイヤーとHarley 6483では、「またの名をBarbas」と加えられている。
*12 Sloane 3648とマサース版では「Valefor」、ヴァイヤーは「Valefarまたの名をMalapher」。スコット訳では「Valefar、またの名をMalephar」。
*13 ヴァイヤーは「Amon、あるいはAamon」。
*14 マサース版では「争いを引き起こしたり」。
*15 Sloane 2731では、余白に「西とある文書もある」とある。マサース版では西。
*16 パワーズの別名。
*17 マサース版では「Abalim」。
*18 アレイスター クロウリーが友であり師であるアラン ベネットの病を癒すためにこの悪魔を召喚したのは有名な話である。