Goetia 序文

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序文(Joseph Perterson編集 The Lesser Key of Solomonより一部引用)


 レメゲトンは17世紀*1の高名な妖術の手引書として知られていたもので、私がここに紹介するものとほぼ同じ内容である。だがそこにある内容の多くは、さらに過去の文書から集められたもので、中には14世紀の初期かさらに前*2にまで遡るものもある。1531年にハインリヒ コルネリウス アグリッパは、レメゲトンの中の3冊の書、アルマデルの術、パウロの術、ノトリアの術について記している*3。関連する節はテウルギア*4と名付けられた章で見出せ、さらに次の章はゴエティア*5と名付けられている。この「ゴエティア」と「テウルギア ゴエティア」はレメゲトンの書の中にも名前としては残っている。このリストはアグリッパの弟子のヨーハン ヴァイヤー(あるいはヴィエル、ヴィエルス)が1531年に繰り返し記している。レギナルド スコットもヴァイヤーにある程度依拠しつつ、同様に記している*6
 ヴァイヤーの書にはゴエティアと密接に関連する文書*7を含めており、それゆえこれらの内容は1531年の前にすでに存在した可能性がある。
 レメゲトンという題名は、おそらく編者のラテン語への無知から、素人的に造られたものだろう。彼あるいは彼女は「ソロモンの鍵」*8に親しんでいたのは間違いなく、この書の題名を「ソロモンの小鍵」としたかったのだろう。ゆえに、レメゲトン クラヴィクラ サロモニスとなったのである。
 この版で使った主な文書は大英図書館の文書集より用いた。そこに含まれるのは、Harley 6483文書、Sloane 2731、3825、3648文書である。


 Harley 6483文書は、悪霊の書と登録されている。その解説は以下のように読める。


 四つ折り本。ソロモン王が語った全ての霊らの名前と序列と権能が含まれている。それぞれの霊に属する印と印章もあり、それらを視覚的に強制的に現れさせる為の方法も記されている。これらの霊らのうちの一部は、前巻のエノクの図にあるが、本書にあるような、これらの印と印章と、出現させる方法については省かれている*9


 Harley 6483文書はおそらく、最も後期に書かれた文書で、多くの追加の内容が含まれており、また他の文書での第1の書に含まれた霊の召喚の内容は、アバノの「ヘプタメロン」の引用に変えられている。印章は良く描かれており、円で取り囲んでいる。ヘブライ文字は多くの場所にある*10。この文書は1712か1713年に書かれている。Harley文書はSloane 3648文書と多くの点で一致しているのに注意せよ。事実、両者は同一の書を起源としていると推測するのは妥当であろう。多くの他の文書と違っている部分から、Harley 6483文書はこれらの文書群の中でも最も信頼できないものである。
 Sloane 2731文書は、クラヴィクラ サロモニスと登録されている。この文書はSloane 3648文書を含めた様々な版からなるので重要である。この文書は不幸にも不完全である。独断的な再編や、多くの慎重さを欠いた間違いがあり、第5の書を完全に省いている。本文書の出版は1686年1月18日と記されている。
 Sloane 3825文書は、魔術の文献と登録されており、ヤヌア マギカ レセラタとクラヴィクラ ソロモニス、ソロモンの小鍵という2つの文書を含んでいる。慎重に書かれており読みやすい。また、より完全で、一貫した内容の文章になっている。本文書は文書群の中でも最も信頼できるものである。また興味深い事に、本書にはノトリィの術の短縮版を含んでおり、それらは他の部分と同様に、ロバート チューナーの翻訳に含まれている。
 Sloane 3648文書は、写本集であり、アグリッパとパラケルススの書の一部も含んでいる。この文書はまた17世紀に出版されており、Sloane 2731文書の著者によって使われたのは明白である。本文書はいい加減に書かれており、印章も下手に描かれている。
 私はSloane 3825文書を本書の基礎に用いる事にした。だがノトリアの術は別で、これは明らかにロバート チューナーの翻訳に依拠している。そのため、私はチューナーの1657年版を主要な基礎としている。私は文体を現代英語に修正したい欲求に抵抗した。


レメゲトンの各部の説明


ゴエティア


 ゴエティアは古典ギリシア語で魔術とほぼ同義語で用いられてきたが、より高尚なテウルギア(神動術)と比べて否定的な意味合いを含んでいる。レメゲトンの編者は明らかにこの区別をよく知っていた。第1の書「ゴエティア」は、ヨーハン ヴァイヤーの1563年の「悪魔の幻惑について」の補講「悪魔の偽王国」にある悪魔のカタログと類似している。ヴァイヤーはその書の情報源を、「霊の権能の書、あるいは創造について述べる書。ソロモン王の悪魔の王らや大公らとの対話」としている。本書には多くの悪魔の名前の変形が含まれており、ヴァイヤーが得た時代よりも過去からあるのを示している。ゆえに1563年よりも遥かに古い起源があるだろう。ヴァイヤーの文書には、悪魔の印章は無く、悪魔はレメゲトンにあるような洗練された儀式では無く、シンプルな呪文によって呼ばれる。
 ヴァイヤーの文書とゴエティアの最大の違いは、霊らの順番である。なぜ違った順番にしたかの説明はどこにも無い。ほとんどトランプカードをランダムに混ぜたようである。またゴエティアに加えられヴァイヤーに無い霊らもある(3番目のヴァッサーゴや、最後の3体セエレ、ダンタリオン、アンドロマリウス)。
 他の違いは、おそらくより重要であろう。ヴァイヤーの4番目の霊プルフラス(あるいはブファス)はレギナルド スコットの英訳でうっかり書き忘れてしまったか、あるいは既にスコットが用いていた悪魔の偽王国の原本(1570年の文書)から失われていた。これはヴァイヤーのリストでレメゲトンに無い唯一の霊でもある。もしもこの欠陥を始めた特別な版が見つかったら、ゴエティアが現代の形となった正確な年代を測定する助けとなるだろう。
 ゴエティアは事実、スコットの翻訳に大いに依拠しており、しばしば行った誤訳、追加した詳細、省いた部分をそのままコピーしている。たとえば、6番目の霊ヴァレファルはヴァイヤーのラテン語では「capite latronis(強盗団の首領)」とあり、ゴエティアはこれを「荒れ狂う人の頭」と描画している。スコットはこれを「盗賊の頭」と読んでいる。補講2の「悪魔の偽王国」の全文を参照せよ。
 私はゴエティアを構成するために利用された他の2つの情報源を見つけている。1つ目はアグリッパのオカルト哲学三部作である。真鍮の壺のヘブライ文字は、明らかにアグリッパの「7の数とその表について」の章から取られている。同様に、魔術の円はアグリッパの「10の数とその表について」の章を基礎としている。他の用いられた情報源は、アバノのピエトロの「ヘプタメロンあるいは魔術の要素」からである。これはゴエティアの儀式の基礎として使われたようである。


Goetia 1-10
↑ ゴエティア


*1 原注。文書の中には1641年と記されているものもあり、おそらくその頃に現れたのを示している。
*2 原注。この頃にはソロモン文献群の中の重要な文書、ユーラートゥスの書、あるいはホノリウスの誓いの書があり、それらは本書と重要な繋がりがある。
*3 原注。「この学派には、アルマデルの術、ノトリィの術、パウロの術、黙示の術や、その他の多くの似たような迷信があり、それらはどれだけ彼らが神的なものを知らないかを示す有害なものである」
*4 原注。アグリッパはこれらの3冊の魔術書を、良き天使らや神を通じて働く魔術「テウルギア」のカテゴリーに入れている。
*5 原注。アグリッパによれば、ゴエティアは儀式魔術の他の魔術のカテゴリーである。アグリッパはゴエティアは「不浄な霊ら」を通じて働くと信じていた。
*6 原注。レギナルド スコット著「魔女術の発見」(1584年)第16の書の31章と42章。
*7 原注。ヴァイヤー著「悪魔の偽王国」。スコットの「魔女術の発見」の第16の書の2章に英訳したものが含まれている。
*8 原注。ソロモンの鍵のラテン語版は、大英図書館 Additional 10862文書(17世紀)とSloane 2383文書を参照。英訳版は、リデル マクレガー マサースによる「The Key of Solomon the King」を参照。
*9 原注。大英博物館文書部、A Catalogue of the Herleian Manuscripts in the British Museum vol.III(ロンドン。G. Eyre & A.Strahan、1808-12)369ページ。
*10 原注。補講3を参照。マサースはこれらを「綴りとしては明らかに間違っているが、しかしとりあえず入れておいた」と評している。