ヘハロト ラバタイ

ページ名:ヘハロト ラバタイ


 旧約聖書のエゼキエル書 第1章4節から26節では、この預言者が幻視した、神が座る御座をケルビム(翼のある獣の姿の天使)らが引いているチャリオット「メルカバー」の記述がある。やがてはこのメルカバーを見る(すなわち神を直に見る)ための瞑想法も、紀元前1世紀から10世紀頃までユダヤ教の行者、ヨレド メルカバーの間で実践され、後にはこれらの実践行はメルカバー神秘主義と呼ばれるようになり、後の中世のカバラの実践の原型の1つとなった。
 言い伝えによると、この瞑想は体育座りの姿勢で顔を両膝の間に入れて行うよう、よく勧められていた。これは預言者エリヤがカルメル山で天から雨を降らせた時に取った姿勢から来ている。「しかしエリヤはカルメル山の頂に登り、地に伏して顔をひざの間に入れた」(列王記上 第18章42節)。この姿勢自身にもカバラの特別な意味合いがあるとされるが、ここでは割愛する。それから行者は、神やスリヤー(天使の王メタトロンの別名)を招聘する賛歌をマントラのように112回唱えると(この数は正確でなければならず、多かったり少なかったりすると、「頭が血まみれになる」と、本書では警告している。詳しくは第14章を参照)、古代のシャーマンのようにトランス状態に入る。この時に「アダムの子よ、立ちなさい」という天使の声が聞こえ、肉体は座ったままで魂のみが立ちあがり、一種の体外離脱に入る。それから天使の助けにより魂を天へと上昇し(奇妙にも「降りる」という言葉が使われていた)、7つの入れ子状になっている宮殿(あるいは部屋)を外側から通り抜けていき、その最奥部で神の御座、チャリオットに座る主と謁見するとされた。
 だがこの行はある種の危険があり、一般の実践は禁じられていた。タルムードの伝説では4人の賢者がこれで天の楽園へと行ったが、1人は死に、1人は発狂し、1人は冒涜者となり、ラビ アキバのみが無事に行き来する事が出来たとされている。古代では選ばれた信仰深く、優秀な弟子にのみ伝授され、行う許可がなされていたので、読者も興味本位で実践する事のないように願いたい。


エジプト先王朝時代の瞑想の姿勢の像より


 今回紹介する「ヘハロト ラバタイ」は、「マアセ メルカバー」などと並んで、これらを扱ったメルカバー文献の代表的な1冊であり、直訳すると「大いなる諸宮殿(あるいは神殿)」となる。著者は2世紀のラビ イシュマエルで、その降下の体験という形を取っている。このラビはラビ ネフニアー ベン ハ=カナー(バヒールの書の著者ともされている)の弟子で、ラビ ネフニアーはさらにラビ アキバの弟子であった。この3人ともヨレド メルカバーとして有名である。本書はメルカバー文献の中でも珍しく具体的な実践法が含まれているので、ここで紹介しよう。


ヘハロト ラバタイ 1 第1 - 4章 メルカバー行者の得る力と、降下のための歌
ヘハロト ラバタイ 2 第5 - 6章 ローマ帝国による10人のラビの迫害と、神の報復
ヘハロト ラバタイ 3 第1の災いの預言、ダヴィデ王との謁見
ヘハロト ラバタイ 4 第2、3の災いの預言、最終戦争とメシアの登場
ヘハロト ラバタイ 5 第7 - 10章 栄光の御座への賛歌
ヘハロト ラバタイ 6 第11 - 14章 メルカバー行者の8つの条件、降下の方法
ヘハロト ラバタイ 7 第15 - 23章 7つの宮殿の門番らの名前と、通過する方法
ヘハロト ラバタイ 8 第24 - 26章 主と栄光の御座への賛歌
ヘハロト ラバタイ 9 第27 - 30章 賛歌。律法の秘密、王冠と印について


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