アブラメリン 2-20

ページ名:アブラメリン 2-20

第20章 どのようにして作業を実行するか


 主に対して千の舌を以てしても賛美と感謝を捧げるには足りぬ。汝の守護天使を称え感謝するのもだ。汝が見つけたこの偉大な宝を良く使うのだ。汝はどのようにして、このような計り知れない宝を使うかを知るのだ。さもなければ、汝は被害を受けるだろう。あたかも片手に持つ剣のように、善にも悪にも使える。汝は主とその天使らとの絆を切り捨て、自らの命を失う事すらあるのだ。
 この天使の出現は汝の敵、すなわち悪魔を乗り越えるのにも使え、汝の支配下に置くのがこの作業の目的だ。私はさらにもう少しだけ必要な教授を与えたい。
 霊達の召喚と誓いを立てさせてから、安息日と続く日々について考慮せよ。次の安息日までは特別な日々であり、主への賛美と感謝を捧げるのだ。この間、従者の仕事をしてはならぬ。8日の間、仮庵の祭のように喜びとともにあれ。この期間にどんな霊も呼んではならない。
 8日が過ぎたら、謙遜と用心とともに始めよ。以下の助言で幾つかどうすべきかを記すとしよう。
 以前において私は仮庵の祭、過ぎ越しの祭や他の祭について話した。今では、汝が秘儀伝授を受けたので、全ての日で実践可能となる。


1. 残りの一生涯、安息日(土曜日)に霊を呼んだり命じたりしない。これは主に対しての休息と犠牲の日だ。
2. 他人に対して守護天使が何を話したかを語るのに、永遠の炎に対してのように恐れよ。例外は、この術を教えた人物と、汝の父よりも深い感謝のある人物だ。
3. この知恵を隣人の危害のために使うなかれ。この知恵は主を称えるため、主の被造物への利益のためにあるのだ。また、私は汝に主を真似て、隣人を許す事を助言する。この世には他人を許す以上に立派な行動は無いのだ。
4. (聖守護天使に)尋ねずに何も始めてはならない。汝の守護天使の助言に反対する事柄から己を守れ。
5. 善霊にせよ、未贖罪の霊に対してにせよ、半可通の言葉を使わない。汝がそれをしたら、天使達は汝をプライドが高く傲慢と見做し、未贖罪の霊達は汝を馬鹿と見做し、誰も汝を尊敬しないだろう。
6. 妖術、その書、悪魔の術に対して己を守れ。どれだけ魅力的であろうともだ。これらは全て悪魔の発明品だ。汝の守護天使の助言と許可無しには、これらの妖術を試みようと考える事すらしてはならぬ。
7. この方陣を事故や悪運のために使うのは、守護天使への侮辱である。
8. 常に身と衣服を綺麗にしておけ。特に心臓に対してだ。ここは霊達にとって重要なのだ。
9. 汝が知恵を用いて不幸や不適切な事柄に関して他人を助ける時には、慎重に考えよ。しばしば、他者への奉仕は自らに反する奉仕となるからだ。
10. 絶望的に必要な時にのみ守護天使を呼べ。天使達は汝よりもはるかに上にあり、自らと彼らとを比較するのは無分別だと理解せよ。
11. 従者の霊達は、隣人が必要な時にのみ使え。従者を他人に渡したら、その従者は汝に対しても使われる事もあるのを忘れるな。
12. 従者の霊達の仕事に他の霊達を含ませない。例外は、彼らが忙しい時や、他人へ貸している時だ。
13. 大言壮語で汝を説得しようとする従者の霊達に注意せよ。彼らとの関係を形式的なレベルに留めよ。
14. 従者の霊達は言葉による命令のみを行え。唯一の例外は、第3の書の第5章で書いた方陣だ。
15. 1日に多くの事を同時にやろうとするな。熟練するまでは、始めは1つずつ行うようにする。そうでなければ、難しくなりすぎるからだ。
16. 充分な理由がある時のみ魔王達や公爵達を呼ぶ。彼らから距離を取っておくほうが良い。
17. 可能な限り少数の霊のみを使い、その霊は不可視のままにしておく方が良い。重要な事は、彼らが汝の要求どおりに行うことだ。
18. 3日目で語るべき事全てを、柔らかい声音や、曖昧、微かにもぐもぐ言ったり、大声だったりすべきでない。自然な声音で語られねばならない。
19. 毎週の安息日では、祈りの部屋は綺麗に掃除する。18ヶ月の間もその後も行う。最初の2度の半年では、朝の祈りの後も行う。3度目の半年では、正午の後と夜と翌日の朝に行う。
20. 夜にどんな重要な魔術の作業もしない。
21. 秘儀伝授の後、汝はパンと水のみの断食を、毎年の過ぎ越しの祭と仮庵の祭の後から次の安息日まで行う。
22. 残りの人生全体で、適度な食事のみにする。さらに重要な事は、酒酔いを避ける。
23. 毎年、汝の秘儀伝授の日を思い出し、仮庵の祭のように祝う。
24. 未贖罪の霊達から誓いを受けた3日間は、野菜と水のみを食べる。その後は、普通の食事に戻す。
25. 18ヶ月と、それに続く3年間は、血を流すのを避ける。例外は自然に起きた場合である。
26. 18ヶ月の期間と翌年は、死体や死んだ獣に触れない。自らで何も殺さないようにする。
27. 同様の期間で、生であろうとも焼こうとも血や肉を食べない。これは主や汝の天使には残酷なのだ。
28. 自らの血で死んだり窒息した動物は食べない。それが鳥であろうと四本足の獣であろうともだ*1


 この章のこれら全ての警告に従うのだ。この本全体に慎重に従え。特に秘儀伝授の後の最初の1年はそうだ。


 以下の要点を例外なく考慮せよ


 決して君主にこの術を与えない。ソロモン王は悪用した最初の1人だ。汝がこれを犯したら、汝と君主両方ともが主の恵みを失うだろう。私は皇帝ジギスムント陛下に我が霊の中の最良の者を与えた事があるが、決して働く事は無かった。皇帝や王や他の高官へ渡すべきではないのだ。
 決してこの術を売ったりしない。無料で与えよ。
 町中でこの術を行うなら、視線を避けて家の中で行う。好奇心を避けよ。
 この術を与えた人物には誓いで制約を与えよ。決して無神論者や冒涜者へ渡してはならない。
 この作業を与える前に3日間の断食をする。受け取った者も後に3日間行う。この期間には、10ギルダー金貨を貧しい人々へ寄付せよ。その際に、貧しい人々に詩篇のミゼレーレ メイ デウス*2とデ プロフンディス*3を唱えさせよ。
 ダヴィデ王の詩篇全てを唱えたら、この作業は容易になるので良い事だ。これらには偉大な力と徳が含まれている。1週間に少なくとも2回は唱えよ。
 この期間には、汝はギャンブルを災厄のように避けねばならない。これは常に冒涜の機会なのだ。


第3の書へ向けて


 方陣を使うのは必要条件ではない。汝の自然な声で霊を呼ぶので充分だ。だが、人々が周りに居て、汝が話すことが出来ない場合、方陣を片手に持って周囲に動かす必要があろう。象徴(サイン)に汝の要求が示されてなかったら、2、3の言葉で示せ。
 単純な言葉で、汝は3つの言語を話すことが出来る。
 汝がこの方法で霊を呼ぶなら、汝は近くの人々に、霊が汝が彼らに何を望むか理解できるように話しかける事もできる。師なら、1つか2つの言葉で充分だ。
 霊は人間の心を読む事は出来ないが、鋭い知力と敏感さから、彼らは少しの象徴で召喚者が何を望むのかを理解する。
 夜に明日に必要とする霊達を1時間ほど呼ぶのは良い習慣だ。特定の儀式はせずに、明日に必要な事すべてを要求する。また方陣の言葉や手を振る仕草を説明しておく。これはエジプトのアブラメリンやパリのヨセフが行っていたことだ。


 方陣に従って霊がもたらす結果について、全ての霊が行える事を記すのは不可能だ。第3の書に書かれていない天使の働きの効果を望むなら、以下の方法で汝の守護天使に求めよ。
 前日に断食をして、翌朝に自らを沐浴してから祈りの部屋に入る。香炉を置いて、白ローブに着替えて、ランプと香を点ける。
 それから清潔な七面(あるいは七芒星)の黄金、銀、あるいは蝋のタブレットを用意する。これらは聖油に触れさせておき、祭壇の上の香炉の横に置く。
 それから跪き、主を呼ぶ。主の慈悲に感謝し、祝福と聖天使を送るよう懇願する。彼は物事を説明し、汝の要求の助けとなろう。
 また、汝の聖守護天使を呼び、現れたら自らの誉れを高めるべく尋ねよ。その為や、他の目的の為の方陣を理解し作れるよう助言を求めよ。祈りの部屋に汝の天使の光の放出を感じるまで祈りを続けよ。
 それから、熱心に注意を汝の守護天使へ向けよ。
 そして、タブレットへ近づくと、汝の要求に応じた霊の方陣と名前を見つけるだろう。汝は汗のように滲み出てきた霊とその上位者の公爵の名前を見つけるだろう。この時にタブレットに触れてはならない。象徴を書き写して、夜までタブレットはそのままにしておく。それから、いつもの祈りをして、感謝をしてから、タブレットをシルクの布でしまっておく。これを行う最良の日は安息日である。安息日を穢さないために、全ての準備は前日に行っておく。
 守護天使も象徴も現れなかったら、要求は良いものでもなく神がお許しにならなかったと確信できる。悪しき物のための方陣を得るのはより簡単である。


 香を焚いた後に、神へ祈り、汝の守護天使に対して謙虚になれ。白いシルクのローブを身に着けて、腰に紐でくくり、ヘッドバンドを頭につける。ワンドを手に取り、祭壇の近くであずまやに向いて立つ。12の公爵達を2日目に誓いを立てさせた時のように呼び、同じ姿で現れるよう求める。
 公爵達が現れたら、方陣と従者の名前を明らかにするまでは立ち去らないよう命ずる。すぐに、要求に関連する公爵が前に出て、砂の上に方陣と霊の名前を描くだろう。名前の霊とその部下達もここにいるが、不可視である。第15章の時のように公爵と従者に誓いを立てさせる。それから彼らを退去させる。この時に方陣を書き写すように注意せよ。これらは霊らが退去したら消えるからだ。終わったら、再び香で場を浄化する。
 これらは私は汝が望むために書いたのではなく、この術の全ての可能性のためだ。悪しき事を行う時には、善行を命じた時よりも、未贖罪の霊達は速やかで、より忠実で、より積極的に行う。


 何処であろうと何時であろうとも、方陣を描け。各方陣に属する要求を知っていれば、それで充分だ。目録に汝が描けるもの全てを載せている。最も一般的、そして最良のものは、作業の始まりに描いて、祭壇の中に置いておく。
 霊達が方陣に誓いをしたら、これらを他の人々の目から安全に隠すようにせよ。この方陣を見た人々は危険になるからだ。


 第3の書の以下の章の方陣は、守護天使により与えられたものである。
 第1、3、4、5、6、7、10、11、16、18、25、28章。


 以下の方陣は、部分的に守護天使、部分的に未贖罪の霊(悪霊)らより与えられたものである。天使の許可が無い限り、敬虔な者はこれらを使うことが許されない。
 第2、8、12、13、14、15、17、19、20、24、26、29章。


 以下のものは全て、未贖罪の霊達から与えられた。
 第9、21、22、23、27、30章。


 各章の働きを司る公爵の名前は以下の通りである。


1. アスタロトとアスモダイ: 第6、7、16章を共に働く。


2. アスモダイとマゴト: 第15章を共に働く。


3. アスタロトとアリトン: 第16章で彼らの僕らを通じてだが、共には働かない。


4. オリエンス、パイモン、アリトン、アマイモン: 第1、2、3、4、5、13、17、27、29章で共通する僕らを通じて共に働く。


5. アマイモンとアリトンは、第26章で共に働く。


6. オリエンスは第28章で単独で働く。以下に述べるのも全てそうである。


7. パイモンは第25章で働く。


8. アリトンは第24章で働く。


9. アマイモンは第18章で働く。


10. アスタロトは第8と23章で働く。


11. マゴトは第10、11、14、21、30章で働く。


12. アスモダイは第12章で働く。


13. ベルゼブブは第9、20、22章で働く。


 また以下の各章は、従者の霊(使い魔)でも実行する事ができる。


 第2、4、12、19、20、26章。


 また、部分的に実行できるのは、


 第5、6、7、15、18、23、24、27、28、30章で全てである。


 もし霊が命令した事を実行する前に、言い訳をしていたら、何らかの障害がある事がある。これが起きたら、要求のためには他の霊を用いよ。さもなければ、これらに汝の要求を満たすように強制する必要がある。


アブラメリン 2-20-2
↑ アブラメリンの書


*1 これはレビ記にあるユダヤ教の有名な戒律である。
*2 「神よ、我を憐れみたまえ。」詩篇 第51篇。
*3 「深淵より。」詩篇 第130篇。