真のカバラの鍵 3-11

ページ名:真のカバラの鍵 3-11

ステップ 11 神名と霊的存在のカバラの使用


 様々な鍵とその同等物と類似についてこれまで説明したので、私は今度はカバリストに――その霊を深めるのを意図して――カバラの最も深遠な秘密の1つ、神名と存在のカバラの使用についてを明かそうと思う。詳細を述べる前に、カバリストは大いなるカバラの原理、すなわちエレメンツ、電磁気流といったような諸力、ある程度はアカシャ原理ですら、量によって測る事ができ、それらは質と混同してはならない事について気づく必要がある。存在する力として表される万物は物理的なものである。その最も微細な形態であるが、それでも物質と見做されるべきである。


 力、徳、性質、能力は質であり、諸力と混同してはならない。カバリストは、過ちを犯さないためには、この違いについて知らねばならない。残念ながらカバラの多くの学徒がこの間違いを犯している。そのため、文字のカバラの使用でこの基本原理は決して混同してはならない。


 あらゆる種類の量、つまり力は、それがエレメンツにせよ流体にせよ、ここでの議論の対象である。これらは常にある種の物質である。術式を働かせる際には、この原理は非常に重要であり、ある力を用いて、アカシャ原理、メンタル界、アストラル界、物理世界で――ボルトの形態や振動などにより――増減させるのと、同じ諸力を自らや他者のメンタル体、アストラル体、肉体に植え付けるかは、常に違った事である。


 様々な種類の力、徳、性質、能力、それらがアカシャ原理、メンタル界、アストラル界、物理世界のいずれで用いられようとも、力の濃縮化、物質化をせずとも機能するだろう。つまり、これらは無意識のうちに量となる。この場合、キャパシティーの増大が起きる傾向があり、それによりこれらの類似の力の特定の量が自動的に使われる。この進行は、メンタル体、アストラル体、肉体の関連する生命力がコストとして用いられる。時には運命がコストとなる事もある。


 ほとんどの宗教体系と、通常はいわゆる秘儀参入の体系でも、この原理は見落とされており、ほとんどは徳、性質、能力を、類似する量の形質、つまり、徳や能力を増大させる力の形質、命の形質を用いる事なく扱っている。


 この大きな本質的な過ちは、自然と悪しき結果を起こし、時には危険な不調和、失敗、実践者の健康への様々な障害となる事すらあり、これらはまた、様々な心理的な問題へと導く。そのため、カバリストが自らのメンタル体、アストラル体、肉体の1つや幾らかの能力を、カバラやある種の魔術作業、例えば儀式や示唆――無意識への影響――により、関連する諸能力に必要な力――力の放出――をせずに増大させるならば、遅かれ早かれ、自然と失敗や他の望まない影響へと導くであろう。


 しばしば様々な種類の付随する現象――体験――例えば幻視、幻覚、エクスタシーの恍惚境なども記録されて――特定の成熟性に到達したと誤って解釈される。多くの秘儀参入のロッジでは、その基礎とする体系にも関係なく、実際には特定の徳の増大にのみ到達している。この姿勢が間違っている事は、普遍的な諸法則を知り、熟達し、考え、正しく用いる正当なカバリストには、瞬時に明白となる。カバラの術式魔術師のあらゆる実践での使用では、片寄るのを避けるために、質と量の両方で用いなくてはならない。


 小さな例を挙げると、この質と量との違いについて理解する助けとなるだろう。強い筋肉質な人は、その力(筋肉の力)と照応する質を常に持つ必要は無い。一方で、ある弱々しい人がいて、偉大なヨーギのあらゆる姿勢――アーサナ――を取る事が出来て、(筋肉の)力を持つのを必要とはしない。この例は能力は諸力と混同すべきではないのを示すには充分であろう。


 そのため、カバリストはこれまでのステップでは、言葉の類似――術式――を、質と量の両方で用いる方法を教えられてきた。我が第1の書「Initiation into Hermetics」で記した前行は、集中の術、つまり濃縮の術を、諸力を量的に蓄積する術とは別に教えてきた。そしてこれらに熟達した後には、この量を質と一致させる術も行う。


 この僅かに脱線した話は、非常に重要であった。なぜなら、真のカバリストは質と量の両方で働くからである。


 全ての神名、全ての天使、大天使、頭領、守護神らの記録されてきた名前は、量の力と質の力――個人的な性質、能力、徳など――を持ち、それらは真のカバラの方法により、つまり口承によるものか、個人的な経験によりカバリストは得てきた。これらの諸原理は神名のカバラの使用でも、カバリストが他の多くの者らの過ちを繰り返したくなければ、常に用いる必要がある。すなわち、神名――または天使や守護神などの名前――を、能力、作業の圏などを身に着けた、人格化された霊的存在として想像する必要がある。


 だが、特定の術式、つまり文字の特定の数を完全なコンプレックスとして、人格化された霊的存在を表すものとして想像する習慣も、魔術の観点からは確実に正しい。諸力と能力の完全なコンプレックスは、特有の形の類似であり、そのため人格化された存在と同一だからである。他の場合、存在は表す事が出来なかっただろう。何の形も力も能力も無いものは、創造全体で存在できないからである。だが、カバリストはまた、霊的存在を表している文字の組み合わせは同時に、それぞれ関連する人格化された存在の諸力、質、説明と関連する類似を持つカバラの術式である事も知っている。


 実践カバリストは、これらをよく考慮する必要がある。霊的存在を呼ぶ魔術師は、完全なコンプレックス、つまり関連した諸力と能力、すなわち質と量を表している完全な形態を呼ぶからだ。そのため召喚魔術師は霊的存在を完全な名前――完全なコンプレックス、質と量で呼ぶ――そして霊的存在は質と量を表す外面の姿で現れる。私は第2の書「The Practice of Magical Evocation」の中で、個々の存在の質の説明で、それらの質に従ってこれらは象徴的に現われると述べてきた。そのため諸存在の違った形態が存在し、それらは違った性質の類似だからである。


 普遍的な諸法則とその類似を知る魔術師やカバリストは、その霊的存在の見た目から瞬時に、類似、象徴的表現を決めるだろう。これはまた、例えば金星の存在は金星と同等の類似であり、土星の存在の象徴的な見た目と見做すべきではない理由である。


 そのため、カバリストが神名でカバラ的に作業したいと望む場合、つまりこの神名の類似する諸力や徳を、自らの質と量で用いた場合、御名全体を同時に用いる事はしないだろう。これは完全な鍵、存在全体を呼ぶのを意味するからである。その代わりに、このカバリストは御名を、完全なコンプレックスとして順に文字を用いていくだろう。


 例えば、カバリストが天使ガブリエルの名前を選んだとしよう。この一般的な使用では、カバリストはその完全なコンプレックスとして同時に全てをカバラ的に招聘したりはせず、その文字へと分割するだろう。


 このカバリストが作業する鍵に拠って、つまり単独、2つ、3つ、4つの鍵のいずれかによって、カバリストは私がエレメンタルの術式を扱った章で述べたように行うだろう。まず名前の部分、1文字か2文字を、アカシャ原理へと転移させ、残りの文字はメンタル界、アストラル界、物理世界へと送る。これはカバリストが質か量により、名前を送る各界が、選んだ名前の質や量の意図したカバラの使用に拠るならば、1から3文字を転移できるのを意味する。


 この鍵を手に持ち、カバリストは名前を文字により質と量により分割でき、カバラ的に用いられる。これらを考慮すると、それぞれの界の霊的存在の力の圏は、その名前の類似であるのを悟る。存在の名前の説明と、望ましい界――メンタル界、アストラル界、物理世界――への転移、存在の名前の個々の文字の使用は、「神名の正当なカバラの使用」と呼ばれる。


 魔術師とカバリストの違いは、魔術師は諸力と能力の完全なコンプレックスと、つまり存在全体の質と量で作業する。一方でカバリストは、存在の名前を分析し、様々な鍵によって、アカシャ原理、メンタル界、アストラル界、物理世界で質と量により用いる。そうする事でカバリストは、完全なコンプレックス、つまり存在の形態と接触する必要も無く、その諸力を量的に、能力、徳を質的に、自らのために用いる事ができる。


 これは魔術とカバラを区別する本質的な規則である。魔術師は望んだ諸力や効果を得るために、望んだ存在を呼んだり、自らをその圏へと移したり、受容的な方法により接触しようとしたりする。一方でカバリストは、カバラの助けにより、存在の名前をキーワードとして、完全なコンプレックスとして招聘した存在がもたらせる事を自らに相応しく用いて、そのため同じ結果を得るのである。


 これは、魔術は確実により容易であるが、存在の完全なコンプレックスに拠る必要があるのを示している。一方でカバリストは霊的存在が達成できるだろう何であれ、その名前をキーワードあるいは術式としてカバラにより用いるならば、自らによりもたらせる。


 秘儀参入者はともあれ両方に熟達しており、通常は時間が無かったりして自らが対処できない場合にのみ霊的存在を用いて、その仕事を任せる。カバリストが霊的存在の能力や諸力を自らのものとして用いるのを望むならば、その存在の名前を術式として用いるであろう。


 私は本書では、我々の宇宙の10の諸圏の霊的存在らを記すのも避ける事にした。各霊的存在の質と量での諸力や能力を自ら用いるのを望むカバリストは、我が第2の著書「The Practice of Magical Evocation」で、その正確な進行を見い出すであろう。この書で私は、個々の圏や作業の諸圏での頭領、守護神らの名前を扱っている。


 そのため、カバリストが頭領の能力を自らのものとして用いたいならば、その頭領の名前をカバラの方法により、つまり、4つの鍵――現実化の鍵――に従い、メンタル界、アストラル界、物理世界で用いなくてはならない。


 私が我が第2の著書で述べなかった僅かな例外は、シェム ハ=メフォラシュ*1、水星の72の守護神らにより形成され、これは霊体と特定の繋がりを持つ。このシェム ハ=メフォラシュはまた、72文字で構成される神名の神秘を含んでおり、――ヘブライのカバラによれば――この神の最も長い名前は、神の表現の至高のモードとして同一視される。


 この水星の圏の72の守護神の名前により、これらの守護神の質は表現されるが、量、つまり物理世界での現実化に影響のある力の形質は無い。72の守護神の量は4つの鍵により表現されており、4文字で構成される神名により発現する。この量の形態、文字の組み合わせは、関連する守護神の上位の神名を常に示している。


 このシェム ハ=メフォラシュ、72の守護神らを扱った多くのカバラの書では、神の至高の御名として示しているが、その真の意味合いあるいは鍵は明かされてこなかった。私はそのため、量の鍵、つまり力の形質への鍵をここで明示するとしよう。これらは水星の圏の72の守護神の神名により、それぞれ表わされている。


 第1の守護神、ヴェフイアー(Vehuiah)には、JHVHの力の鍵の名前を持つ。そのため、この守護神のヴェフイアーの名前は、質的な形態の表現を与える。一方で、量の鍵、力の形質への鍵は、4つの鍵、ヨド・ヘー・ヴァウ・ヘーにより表現される。


 以下のリストでは、私は全ての72の守護神を、その最初の名前では質の鍵として、次の列では量の鍵、形質の力への鍵としての神名を、それぞれ明示しておいた*2


no質の鍵量の鍵古典的な綴りタロットカード

(白羊宮)

1VehuiahJod-He-Vau-HeVahaviah杖の5
2JelielAydiYelayel杖の5
3SitaelSchihaSaitel杖の6
4ElemiahAllaOlmiah杖の6
5MahasiahToth杖の7
6LelahelAbgd杖の7

(金牛宮)

7AchaiahDodoAkaiahペンタクルの8
8KahetelMootKehethelペンタクルの8
9AzielAgziHazayelペンタクルの9
10AladiahSipiAldiahペンタクルの9
11LauviahDeusLaviahペンタクルの10
12HahaiahZeusHihaayahペンタクルの10

(双児宮)

13JezalelBoogYezalel剣の2
14MebahelDios剣の2
15HarielIdioHarayel剣の3
16HakamiahDieuHoqmiah剣の3
17LanoiahGothLaviah剣の4
18KalielBoogKelial剣の4

(巨蟹宮)

19LeuviahBogiLyvoyah杯の5
20PahaliahTiosPehilyah杯の5
21NelekaelBuegNelokhiel杯の6
22JeiaelGoodYeyayel杯の6
23MelahelDiehMelchel杯の7
24HahuiahEsarChahaviah杯の7

(獅子宮)

25Nith-HaiahOrsiNithahiah杖の8
26HaaiahAgdiHaaeyah杖の8
27JerathelTeosYirthiel杖の9
28SeeiahAdadSahiah杖の9
29ReielZimiReyayel杖の10
30OmaelTusaAvamel杖の10

(処女宮)

31LekabelTeliペンタクルの2
32VasariahAnotVeshariahペンタクルの2
33JehuiahAgadYechavahペンタクルの3
34LehahiahAnebLehachiahペンタクルの3
35KevakiahAnupKeveqiahペンタクルの4
36MenadelAllaMendialペンタクルの4

(天秤宮)

37AnielAbda剣の5
38HaamiahAglaChaamiah剣の5
39RehaelGootRehaayal剣の6
40IeiazelGoedYeyeziel剣の6
41HahahelGudiHahihel剣の7
42MikaelBiudMichael剣の7

(天蝎宮)

43VeubiahSoluVavaliah杯の8
44IelahiahBosaYelahiah杯の8
45SealiahHobaSaliah杯の9
46ArielPiurOriel杯の9
47AsaliahKanaOsliah杯の10
48MihaelZacaMihal杯の10

(人馬宮)

49VehuelMoraVehooel杖の2
50DanielPolaDeneyal杖の2
51HahasiahBilaHechasiah杖の3
52ImamiahAbagOmamiah杖の3
53NanaelObra杖の4
54NitahelBoraNithal杖の4

(磨羯宮)

55MebaiahAlaiMibahiahペンタクルの5
56PoielIlliPooyalペンタクルの5
57NemamiahPopaペンタクルの6
58JeialelParaYeyelalペンタクルの6
59HarahelEllaHeochielペンタクルの7
60MizraelGenaMitzraelペンタクルの7

(宝瓶宮)

61UmabelSilaVemibael剣の8
62Jah-HelSunaYehohel剣の8
63AmianuelMiriOneval剣の9
64MehielAlliMochayel剣の9
65DamabiahTaraDembayah剣の10
66ManakelPoraMenqal剣の10

(双魚宮)

67EiaielBogoAyoel杯の2
68HabuiahDeosChabooyah杯の2
69RochelDeosRahael杯の3
70JabamiahArisYebomayah杯の3
71HaielZeutHayayel杯の4
72MumiahKaloMevamayah杯の4

 召喚魔術では、霊的存在――守護神、頭領など――は、完全なコンプレックスとして、我が召喚魔術の第2の著書で述べたように呼ばれる。だがカバラでの使用では、名前の最後の2文字、つまり「el」や「ah」は無視される。これらの2つの文字が御名に加えられた理由は、それらの神の性質をより良く表現するためである。カバラの観点からは、第1の守護神はVehuiahではなく、単にVehuiと、第2の守護神はJelielではなく、Jeliとのみ、第3の守護神はSitaelではなく、Sitaと、以後も同様に呼ぶべきなのである。多くのカバラの書に書かれているような、関連した守護神の召喚として詩篇を唱えるのは、カバラとしての価値はなく、招聘、祈り、瞑想のマントラの術式としての価値がある。


 「地球を取り巻く帯」から土星までの他の霊的存在は、それらの名前の個々の文字に、それらの質的、量的な性質を含んでいる。そのため、我が第2の著書「The Practice of Magical Evocation」では、それらの詳細については与えておらず、本書でも他の諸圏を明示するのを避ける事にする。


 霊的存在の名前の幾らかの文字ずつに、アカシャ原理、メンタル界、アストラル界、物理世界へと、その現実化の望みに拠り、転移する。それらはカバリストの選択に委ねられている。


 この第3のタロットカードの説明は、個々の鍵についての明示であり、個々の技法を明かすものではない。我が第2の著書も実践してきたカバリストは、このカバラの鍵を多彩に用いられる立場にある。この者は全ての神名、天使らの名前などをカバラ的に文字ごとに分析でき、4つのカバラの鍵として望むように術式に用いられるだろう。それにより、作業の広大な領域を与えられ、その研究はこの面で尽きる事はあるまい。


 この今終わる第11のステップで、私はカバリストに、神名、天使の名前、守護神や頭領の名前などを、実践において普遍的な言語として用いる方法について示した。


真のカバラの鍵 3-12
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*1 バードンは原書で、Schem-Ham-Phorasと書いているが、正しい区分にしておいた。
*2 編注。Paul Mによれば、バードンはこの72の神名を、アタナシウス キルヒャーの「エジプトのオイディプス」(1652年)に描かれた絵から取って、「The Practice of Magical Evocation」で水星の圏の72の守護神の「質(力)の鍵」として用いている。水星の霊らの量の鍵(名前)は、聖書の出エジプト記 第14章19-21節に隠されている。