真のカバラの鍵 1-8

ページ名:真のカバラの鍵 1-8

タントラ


 西洋でカバラと呼ばれるものは、東洋、特にインド、チベットなどではタントラの学である。白人がこの学を完全に理解するには、自らを完全に東洋の考え方、行動に当てはめた場合のみであろうが、それはほとんどあり得そうに無い。東洋の秘儀参入者らは、これらの秘密を慎重に隠しており、白色人種には非常に無口であるからだ。ある秘儀参入者と出会ったとしても、この人物は通常はその秘密について一切言わないか、最良の場合でも、象徴的に表現し、ごく稀には小さなヒントを述べるに留める。そして西洋人が東洋の秘儀参入者から、アンクルやアビシェーカすらも与えられる事は非常に稀である。だが、その場合にもタントラの知識よりもヨーガの学が白人に与えられる事の方が多い。特にその実践での行法は、秘儀参入者らにより厳密に隠されている。なぜなら、タントラ ヨーガは最も秘密の学であり、その経典はアシュラムと呼ばれる修道院の中におかれ、公からは隠されているからである。歴史の中で、タントラの学についての数千の経典が、これらの修道院の中に集められている。だが学徒はごく稀にのみ、困難な成熟性の試練の後にそれらを読むのを許されるであろう。


 私は本書では実践カバラについて述べるので、タントラの学についての詳細を扱うのは、技術的な問題から不可能であり、タントラについて幾つかの原理について述べるのみに留めよう。だが経験を積んだカバリストは、タントラの学に特別に興味があったとしたら、その類似の法則やテトラグラマトンの鍵の知識により、東洋のタントラ行者らと同じように実践の結果に到達できるであろう。だが、タントラ学の学習への基礎が無く、宗教、哲学などの東洋の考え方が異質であるならば、カバリストはタントラの学に乗り出すべきではない。いずれにせよ、タントラ行者がタントラにより到達できることは、経験を積んだカバリストは同様にカバラにより到達できる。これらには何の違いも無い。


 だが東洋、特に例えばチベットのような仏教のタントラ学派(密教)では、タントラにてテトラグラマトンの鍵を用いている事は注記する価値がある。よって私が先に述べた四極磁石は、ここでも用いられている。五大如来とは、5つのエレメンツとその諸原理との関連性以外の何物でもない。密教の行者は曼陀羅を描き、それにより各仏をタントラ的に知る。つまり、各仏の象徴は1つのエレメントと、そのエレメンツの類似による、仏の抽象的な1つや複数の概念を表している。密教では、各エレメンツのための特別なタントラの術式があり、行者はそれによりエレメンツで作業をするのを知る。仏教でのいわゆるヴァイローチャナ マントラ(ア・ヴァ・ラ・ハ・カ)は、四極、すなわちテトラグラマトンである。アは地に、ヴァは水に、ラは火に、ハは風に、カはエーテルに割り当てられている。


 インドのタンドラでは、エレメンツは以下のタントラの術式を持つ。ラム = 地、ヴァム = 水、パム = 風、ラム = 火、ハム = アカシャ。


 タントラの学徒は経験を積んだタントラのグルから、全ての界と圏での普遍的なタントラの四極の使用法を教えられるであろう。そのようなグルのみが、真のアビシェーカ、つまり正当に伝授できるのである。


 カバラの教授の説明を短くしないために、私はここでタントラ ヨーガでのアビシェーカの詳細の説明をするのを避ける必要がある。


 いずれはカバリストはこれらの全てのヒントから、テトラグラマトンの鍵は、あらゆる場所、奥秘の密儀においてすら、非常に重要な役割を演じる事を悟るであろう。さらにこれは、全ての体系でも当てはまり、それゆえ正当な達成への絶対的な鍵である。


 インドでは、エレメンツは神々として象徴的に教えられる。またマハースワリ、マハーカーリー、マハーラクシュミー、マハーサラスワティーの女神らも、エレメンツら表す特定の様相の概念の普遍的、抽象的な象徴である。テトラグラマトンの鍵と関連する様々な神々の各象徴の詳細については、興味のあるカバリストは東洋の聖像学の書で見い出せるであろう。結果としてタントラとはカバラ、つまり様々な界での文字、その法則、類似の実践的な使用と同じものである。カバラと同様にタントラ ヨーガには、単純なものと複合的なタントラがあり、その原因と結果を考慮して、全ての界で用い、実践に当てはめられる。よってタントラの術式には、メンタル、アストラル、物理的な諸力を召喚したり、他の魔術の作業のための原因を造り出したりするものがあるが、その詳細については、本書の守備範囲を超えている。高次の存在、神々などのそれぞれの真の名には――その性質、概念、効果について考慮した――そのタントラ、カバラの類似があり、通常は神画により象徴的に表現されている。そのため、ある女神が幾らかの腕を持ち、それぞれの手にその性質の象徴的な表現物を持つのを、あなたは見るであろう。例えば、マハーラクシュミー女神は、4本の腕を持ち、それぞれの手にはこの女神に相応しい概念の表現物を持つ。この女神の右手の1つは、蓮華の花を持ち、それはこの女神の純粋性、美、愛、神の知識を象徴している。前面の右手は祝福のしぐさを示し、それは守護の象徴であるが、同時に意志力や力も表す。左手の1つでは麦の束を持ち、それは豊穣の概念を表現している。4つ目の手では、金貨の入った袋を持ち、豊かさと富を象徴的に表現している。神々のタントラの名は、正当なグルによりタントラの学徒にのみ明かされる。これはアビシェーカによって、秘密の誓いの下で行われている。タントラの助けにより、タントラ学徒は選んだ神や女神と繋がり、彼女に割り当てられた諸力と実践的に作業できるようになろう。


 学徒が真の魔力を得るのを望むならば、タントラの行法を数年かけて行ずる必要がある。やがては学徒はタントラを実践的に用いれるよう熟達し、望んだ魔術の効果をもたらせるようになる。


 東洋全体で、ごく少数のヨーギのみが正当にタントラの学を伝授できる。一方、多くの詐欺がなされ、偽りの神秘主義がタントラで横行している。タントラ ヨーガを伝授された者のみが、学徒に関連する概念の全ての類似を得させ、完全な霊的意識とともにタントラを正確に発音する方法を徐々に教える事で、タントラを完全に説明できる。この師は弟子に、カバリストがなすのと同じ事、つまりタントラを四極的に用いる方法を教える。それぞれのタントラの熟練者は、それが東洋だろうと西洋だろうとも、タントラを自らの霊の4つの本質的な性質、つまり意志、知性、フィーリング、意識で、「発音する」――関連する概念に気づく事が出来なくてはならない。東洋の宗教や哲学に従わない読者に、どのようにカバラ的に発音すべきかは、本書で詳細に説明されるであろう。


 東洋では、強く宗教に傾倒し軽信する人々がよく騙されている。多くの自称の師らがいて、彼らはタントラやヨーガの熟達者と称しているが、実際には真の諸法則やその類似について何も知らず、この高次の学を貶めているのである。多くのヨーロッパ人が、これらの神秘化に欺かれ、象徴的な意味しかない全てのものを文字通りに取る事で大きな間違いに導かれている。本来、象徴的に理解すべき東洋のそのような教授が、後に(欧米の)知的言語に注釈やアビシェーカも無しに訳され、大きな過ちが引き起こされた。それはヘルメース学の歴史で多くの詐欺がなされたようにである。それゆえ、正当な東洋の書では、各学徒にグル無しには自らの霊性開発の道を進まないようにと正しく警告している。真のグルのみが、学徒にヨーガ体系とタントラの行法の秘密の意味合いについて説明できる立場にあるからである。


真のカバラの鍵 1-9
↑ 真のカバラの鍵