真のカバラの鍵 1-1

ページ名:真のカバラの鍵 1-1

第一部

理論篇


カバラ


 カバラは文字の学、言葉の学、そして言語の学、といっても知的言語ではなく――よく聞くのだ――普遍的言語の学である。「カバラ」という言葉は、ヘブライ語から来ているが、他の様々な宗教体系が、この学について違った言葉を当てている。よって例えば、インドやチベットでは、この学は「タントラ」の名で呼ばれている。さらに他の宗教体系では、「術式」として述べられる、などである。


 我が本書では、「カバラ」の言葉を用いる事にする。カバラ的に語るとは、文字から言葉、普遍的な法則に従った、あれこれの概念と類似する言葉を形成する事である。そして、カバラの言語を用いるのは、実践により訓練する必要がある。そのため、カバラは万物がそれにより創造された普遍的な言語であり、単独か複数の神の概念の顕れである。カバラ、つまり普遍的な言語により、神は万物を造ったのである。福音記者の聖ヨハネは、聖書で「始めに言葉があった。そして言葉は神と共にあった」と述べた際に、このカバラを指していたのである。そのため、神が世界を創造するために、言葉を用いて、それにより自ら造っているのを、聖ヨハネは明白に述べている。


 普遍的な法則に従って語る事により、神のように自らの内なる神性の物質化を真に行える者こそが、真のカバリストと見做されよう。それゆえ、実践カバリストはテウルギスト、神の化身であり、大宇宙で神がなすように、普遍的法則を用いれる者である。


 秘儀参入を受けた後、完成への個人的開発を進める魔術師が、自らの内なる神との繋がりを悟り、今やそれに従って行動するのは、カバリストも同様に行える。唯一の違いは、カバリストが自らの神の霊を外側へと表現する際に、神の言葉を用いる事である。普遍的な法則の命を受けた全ての真の魔術師は、実践カバラの知識を自らに当てはめる事でカバリストとなれる。カバラの構造については、数えきれない書で述べられており、この諸原理の概念を得ようと望む理論家には確実に適しているが、言葉の諸力の正しい応用を約束する実践には、確実に不十分である。


 これは完成したカバリストは、神と繋がった人、自らの内なる神を悟った人、神の化身である者、普遍的言語を用いて、発言した事はその瞬間に物質化する者であるのを、明らかに示している。どの圏であろうとも、この者が自らの言語で物質化させたい事を述べたら、物質化するであろう。例えばインドでは、述べる事で何でも物質化できる人は、「ワグ(Wag)」と呼ばれる。クンダリニー ヨーガでは、この力と能力はヴィシュッダ チャクラと関連づけられている。完成したカバリストは、小宇宙と大宇宙の言葉の全ての規則、創造の法則、その言葉の意味合いを知る。また、真のハーモニーとは何かも知る。正当なカバリストはハーモニーの諸法則を犯す事は無い。なぜなら、この人物は神の化身――小宇宙の言語により――だからである。この人物がハーモニーの諸法則に反して行動するならば、正当なカバリストではなく混沌の者であろう。ヘルメース学の観点からは、カバリスト、テウルギストは、我々の地球での大宇宙の神であるように、自らの体での神である。この人物が原初の言葉を神の化身として喋るならば、なされよう。創造主、神が持つのと同じ力を持つからである。


 カバラの秘儀参入のこの成熟と高みへと到達するためには、テウルギストはまず最初に、子供のように文字を学ぶ必要がある。やがては、言葉や文を造れるようになり、やがては普遍的言語を述べられるようになる。このための実践は、本書の実践篇にて扱っている。


 真のカバラの理論と実践は、誰でもどの宗教体系に従っていようとも行える。よって、カバラの学は、ヘブライ(ユダヤ)の宗教体系を信仰する人々の特権では無い。ヘブライ人は、カバラはヘブライが起源であると主張しているが、カバラのヘブライ神秘主義の知識は、古代エジプトを起源としている。ヘブライカバラの歴史、その起源、発展などは、この主題を扱った専門書で見つけられる。この分野については多くの事が既に書かれているからである。


 本書では、カバラの総体については、実践で絶対的に必要な場合にのみ扱う。私はカバラ哲学の歴史や他の構造の全ての不要な重荷を読者に負わせるのを避ける事にしている。


 「カバラ」の言葉は、数遊び、ホロスコープ判断、名前占い、その他の様々な占い目的へと貶められ、しばしば悪用されている。確かにカバラでは数は文字と特有の関係があり、読者は本書の実践篇からそれらの情報を得られようが、それはカバラの最底辺の様相の1つであり、ここではそれは扱うつもりはない。真のカバラは未来を語れると称する占術とは何の関係も無く、占星術のホロスコープの解釈を楽にするものでもなく、未来予知を可能とすると称する名前のつづり換えとも関係ない。


 真のカバラは、正確に用いるならば、普遍的な法則を表すので、普遍的な類似によるハーモニーの関連する類似を知るのも、ある程度は可能である。だがここで述べている一般の占い師は、普遍的言語のこの真の学とは全く関係ない。


 この学は最も聖なるものであり、この普遍的法則を平凡な占い目的を満たすために堕落させてはならないと、読者は同意するであろう。各宗教体系は自らの正当なカバラを持っていたが、宗教体系の様々な改革が起きる中で、徐々に失われていき、それらが完全に保たれているのは東洋のみである。古代ケルトのドルイド教も、その正当なカバラを持っており、よく知られていた。ドルイド神官らによるルーン魔術の実践的使用は、彼らのカバラの古代の知識から来ている*1。今日では残念ながら、ごく少数のみが古代ドルイドのルーンカバラについて理解しており、実践で用いる事ができる。実践的なルーンカバラは、歴史が進むにつれて完全に失われたのである。


真のカバラの鍵 1-2
↑ 真のカバラの鍵


*1 言うまでも無いが、古代ケルト文化圏では北欧・ドイツのルーン文字は使われていない。ルーン文字自身、比較的新しい文字である。