アブラメリン 2-7

ページ名:アブラメリン 2-7

第7章 この術を学ぶときに、最初の半年*1は何をすべきか


 今から知遇のための適切な準備と交渉の始まりに入ろう。これらの事柄は重要かつ危険なので、私はあらゆる寄り道を避けて要点へと率直に語ろう。
 過ぎ越しの祭の翌日に、沐浴し肉体を清めて、新しい服を着る。太陽が昇る30分前に、祈りの部屋へ向かい、東の窓を開け、祭壇の前で跪け。窓へと向き、主の御名を誠実に祈り、幼い頃から汝に慈悲を注いでくれたことに感謝を捧げよ。懺悔を通じて謙虚となり、主にこれからも汝に祝福を与え、彼の聖なる天使を送ってくれることを懇願せよ。この守護天使により、汝は護られ、導かれ、無意識にも罪へ落ちる事が無いようにされる。
 これは最初の朝の祈りだ。これを半年毎朝続ける。だが、我が息子よ、おそらく汝は私に尋ねるだろう。「父上、なぜ私の為に祈りの言葉と形式を書いてくれないのですか? どうやって私は祈ればいいのでしょう。私は自分で決められるほど賢くないし」我が息子よ、聞きなさい。汝が祈る事が出来ないなら問題がある。そうなら、この交渉の儀式すらすべきではない。汝が祈る事も出来ないなら、なぜ神は知恵と祝福を汝に与えよう? 祈りは汝の心から来なくてはならない*2。考え、献身、理解なく、形だけの祈りを繰り返すべきでない。無神論者どもがやるように、形だけ読むのもだ。祈りは心全体から注意と理解とともに来るものだ。
 これがなぜ、我が息子よ、祈りの形式を汝に与えない理由だ。なのでこれは書き写すべきではない。汝は自らにより主への祈りと招きを学ばねばならない。汝は強力な祈りと賛美に満ちた聖書を持っているではないか。それらを学習し、祈りを学ぶのだ。ガイダンスが無いわけではないのだ。最初のうちは汝の祈りは単純で弱々しくても、それは問題ではない。重要なことは、汝の心が神へと向かっているかだ。神は汝に聖霊を通じて影響を与え、時ともに汝にアドバイスし、祈りと懇願の術を高めてくれるだろう。
 祈りが終わったら、窓を閉じて部屋を去り、ドアを閉める。それにより、日没まで誰も出入りする事が出来なくなる。日没後には、朝と同様に祈りを繰り返せ。翌日からも、同じようにする。


祈りの部屋


 ここに私は汝に祈りの部屋の詳細を与える。部屋は掃除され、香で清められ、ベッドは清潔にされるべきだ。一般に、全てのベッドは清潔にし綺麗にされる。主は不潔さを嫌悪されているのだ。
 ベッドルームとリビングルームは祈りの部屋の近くであるべきだ。妻を除いて、汝は他の者とベッドを共にすべきでない。妻が生理日ならば、彼女はベッドで寝ることも祈りの部屋に入る事も禁じなくてはならない。安息日の前日にはベッドを掃除し、ベッドのシーツを取り替える。部屋を香で清めて、子供やペットの動物が住まないようにし、部屋は清潔にする。


性行と節制


 結婚の最初の1年目は特に主から祝福されており、この年に作業を始めるのは良い事で相応しい。それが可能でないならば、妻について気にしない。彼女が夫婦喧嘩や不潔さにより汝の作業に介入しない事のみが重要だ。子を作るための性行は、神への畏れとともに汝のベッドでのみ行える。汝は全ての性的淫らさと乱交からは離れているべきだ。主はそれらを嫌悪しているからだ。
 もちろん、汝が完全に女を断つのが最良である。汝が子供を持っているなら、作業を始める前に彼らを外へと預けよ。彼らが家に住まないようにする。例外は初子と、乳飲み子だ。


日々の生活


 今度は汝の社会的立場について考えよう。汝は独立しているか? 可能な限り、全ての商取引、集団、会話から離れるようにする。汝は怒りや強情、生意気、貪欲、傲慢、刺々しさ、だらしがないか? 全ての付き合いを避けよ。神への畏れとともに静かで単純な生活にせよ。これは重要な点であると覚えておけ。これがアブラハム、ヤコブ、モーセ、ダビデ、エリヤ、キリスト、ヨハネ、アブラメリン、その他すべての賢者が知恵を獲得するまで隠遁し、砂漠などで孤独な生活をしていた道なのだ。
 人々がいるところ、騒動と罪が付きまとう。これらは神の霊達を侮辱し、立ち去らせ、知恵の扉は閉ざされたままになる。なので可能な限り仲間達から離れ、神が汝に祝福を与えるまで孤独を求めよ。
 仕え人は、仕事の関係であらゆる機会を使えない。そのような人は適切に祈り充分な節制の実践をするのに注意する必要がある。彼は自らの環境を調整して、孤独になれるようにする。また神への責任があるかのように忠実で共同的で、良く働くべきだ。一般的に、仲間付き合いや怒りを招く状況を避けるべきだ。好奇心の強い人が情報を尋ねてきたら、親切で簡潔に答えよ。汝の上司のためや汝自身のために人々に尋ねる必要があれば、会話ははっきりと短くする。従者や契約労働者はこれら全ての必要を満たすのは難しいだろうから、問題を休ませる方が良い。
 特に、売り買い――これらはしばしば罪の原因となる――は避けるべきだ。損失を受け入れる方が、ややこしい問題に関わるよりもマシである。
 毎日、2時間を割いて、1時間は朝に、1時間は午後に、旧約聖書やタルムード、関連する書を学ぶのだ。時とともに、汝は敬虔になり、祈りをよく学ぶようになり、神を認識する準備が整っていくだろう。更なる活動については、第10章の説明に譲ろう。


食事、飲み物、睡眠


 飲食はわずかにし、農民の祭りや大食、豪華な食事を避けよ。神が与えたものを部屋で1人か妻とともに食べる。愛と喜びとともに食べよ。寛大な主への感謝を捧げる。昼間に寝ないようにする。だが朝の祈りの後に短い間は休むことはできる。汝は偶然に日の出の前に起きられなかったとしても、(悪しき意図で行ったのではないので)大きな問題では無く、いつもの朝の祈りを行うのだ*3。だが怠惰であるよりも、早起きして神の祈る方が常に良い。


衣服と使用人


 汝の子供たちは身だしなみが良く清潔で、礼儀正しく正直にする。汝が住む場所と同様にだ。汝と、妻、家族はあらゆる傲慢さを避けるべきだ。
 安息日で衣服を替えよ。少なくとも2つの衣服のセットを持っておく。1週間は1つ目を着て、残りは翌週に着る。着る前に香で浄化せよ。
 わずかな使用人を家に持つ方が良い。汝に使用人がいれば、彼は正直で穏やか、つまり騒ぎを起こさず、身だしなみが良く綺麗な衣服を着る。また姦通をしない人物であるべきだ。彼を汝のリビングルームに入らせないようにする。もちろん、誰であろうとも祈りの部屋には入らせない。


 これらが学徒がすべき事である。つねに律法の書を目の前に置き、人生を通じて汝の旅のガイドとする。これらを可能な限り行うのだ。仮庵の祭になるまでこの生活を続けて、安息日に応じる。汝はこの祭を環境が許す限りの強い祈りとともに祝うべきだ。祝祭と、父祖に与えられた伝統全ては祝うべきだ。汝は神の祝福が許す限り、施し物を与え、善行をなせ。ただし、その事を他人には語るなかれ。
 最初の半年のうちに神が汝を試して、病となり祈りの部屋へ向かう事も出来ないほど弱まっても、その理由から作業を止めるべきではない。可能な限り指示に従い、ベッドで祈り、神に作業を続けて完成させられるよう健康を懇願せよ。
 残りの半年の間に病が回復しなかったり、2番目や3番目の半年の間に病になったなら、これは汝が神聖な知恵を学ぶ時ではまだないという神の意志の徴だと見なせ。自ら謙虚になり、続けないようにする。


アブラメリン 2-8
↑ アブラメリンの書


*1 フランス版では2ヶ月。
*2 マサース注。これは全ての魔術儀式の学習での重要な点である。心と魂と信念全てから儀式をなさない限り、確かな結果を生み出せない。
*3 マサース注。これらの教授のほとんどの目的は、勿論、実践者のアストラルの圏を悪の影響から自由に保ち、純粋で聖なる考えに慣れさせ、意志力と自己制御の実践をさせる事にある。インドのタットワの行者は、日の出の時期での活動的な瞑想の価値を知るであろう。なぜなら、この時期は、昼のタットワの軌跡と、スワラの力の、アカシャの開始時点だからである。