アブラメリン 2-19 マサースの注記

ページ名:アブラメリン 2-19 マサースの注記

先の霊らの名前のリストについての注記


S.L.マクレガー マサース著


 私はこれらの霊らの名前の意味合いについて、可能な限りにおいて読者に与えるのが良いと考えた。これらの殆んどはヘブライ語かカルデア語から来たものだが、ギリシア語、ラテン語、コプト語*1などから来たものもある。


四方の魔王


 LUCIFER――ラテン語のLux(光)とFero(運ぶ者)、すなわち光を運ぶ者からである。また、「Lucifuge」の名前もたまに用いられる事もあるが、これはLux(光)とFugio(そこから逃れる)、すなわち光を避ける者の意味がある。


 LEVIATAN――ヘブライ語のLVIThN(通常、レヴィアタンではなく、レヴィアサンと書かれる)からであり、曲がった、あるいは貫く蛇あるいは竜の意味がある。


 SATAN――ヘブライ語のShTN(敵対者)からである。


 BELIAL――ヘブライ語のBILIOL(呪われた者)からである。


8体の公爵


 ASTAROT――ヘブライ語のOShThRVTh(群衆や集会)からである。また、女神のアスタルテやイシュタルも、同じ語源から来ている。


 MAGOT――おそらく、ヘブライ語のMOVTh(小石)か、MG(陣営や場所を変える)か、ギリシア語のMAGOS(魔術師)から来ている。通常はMguthと書く。フランス語の「Magot」(醜人の類や、醜い小人)と比較せよ。この表現は、おとぎ話で意地悪なドワーフやエルフを表すのによく用いられる。この霊は隠された宝を司ると見做されてきた。(百科事典編者の)ラルースは、この名前は、古代フランスかドイツ語から来ていると考えていた。


 ASMODEE――通常はアスモデウス(Asmodeus)と書かれるが、時にはアスモダイ(Chashmodai)とも書かれる。この名前はヘブライ語のASAMOD(破壊する、絶滅させる)から来ているという説と、ペルシア語の動詞AZMONDEN(誘惑する、試みる)から来ている説がある。一部のラビは、アスモデウスは(創世記に出てくる鍛冶の祖)トバルカインとその妹ナアマとの間の近親相姦の子だと述べている。他の説では、この霊は不純のデーモンだという。また別の説では、アスモデウスはソロモン王にエルサレムの神殿を建てるのに用いられた者だが、その後にソロモン王を押しのけて自らが王となろうとしたが、ソロモン王はアスモデウスを破り、天使ガブリエルによってエジプトへと追われ、そこで洞窟に封印されたという。一部のラビらが言うには、アスモデウスが神殿を建てるべく働いてた頃、金属の道具は用いずに、代わりにダイヤモンドがガラスを切るように、特殊な石で通常の石を切っていたという。


 BELZEBUD――また、よく「ベルゼブブ(Beelzebub)」「バアルゼブブ(Baalzebub)」「ベルゼビュート(Beelzebuth)」「ベルゼボウル(Beelzeboul)」とも書かれる。この名前はヘブライ語のBOL(主)と、ZBVB(蠅)、蠅の主から来ている。別の説としては、シリア語のBEEL D'BOBO(中傷の主)から来ているともいい、ギリシア語のDIABOLOSとほとんど同じ意味合いがあるが、こちらは現代フランス語の「Diable」、英語の「Devil」の語源となっている。


 ORIENS――オリエンス、パイモン、アリトン、アマイモンの4体の名前は、通常は世界の東西南北の四方の魔王に割り当てられている。Oriensはラテン語のORIENS(日の出る方角、東方)から来ている。またこの名前は、Uriensとも書かれて、この場合はラテン語のURO(燃やされる、炎に食い尽くされる)から来ている。このUriensから、中世の悪魔の称号の1つの「Sir Urien」が作られた可能性が高い。またこの名前は、時には「Urieus」とも書かれるが、これはラテン語のURIOS(ユーピテル神の風を司る者の称号)から来ている。Urieusはまた、ギリシア語の形容詞のEURUS、EUREIA、EURU(巨大な、広大な)からも来てる。また一部のラビらは、この霊をSMAL(サマエル)とも呼び、これはヘブライ語の語源のSML(偶像)から来ている。この名前はカバラでは、悪霊らの頭の1体に当てられている。


 PAIMON――はよく「Paymon」とも書かれるが、時には「Paimonia」とも書かれる。この名前はヘブライ語のPOMN(小さな鈴の音)から来ている可能性が高い。これもまたヘブライ語の語源のPOM(刺激する、押す、前に叩く)から来ている。このPOMNの言葉は、「出エジプト記」の第28章33-34節と第39章25節で用いられている。またパイモンは、一部のラビからOZAZL(アザゼル)の称号でも呼ばれ、これは「レビ記」ではスケープゴート(贖罪の山羊)を表わすものとして用いられている。この名前はOZ(山羊)とAZL(放つ)から来ている。この言葉は単にスケープゴートを表すのか、それともこの動物が表されるデーモンを意味するかは、激しく議論されている。だがラビの悪魔学では、これは常にデーモンらの頭の1体として用いられている。


 ARITON――これもまた、よく「Egyn」や「Egin」とも呼ばれている。この名前はおそらくは、ヘブライ語の語源のORH(裸で横たわる)から来ているかもしれない。またギリシア語のARHRETON(善悪いずれの意味でも、秘密、神秘)から来ている可能性もある。Eginは、ヘブライ語のOGN(遅らせる、防ぐ)から来ているかもしれない。またギリシア語のAIX、AIGOS(山羊)との繋がりもある。この霊はまた、一部のラビからはOZAL(アザエル)とも呼ばれており、これは語源のOZ(山羊、また活力、熱烈な力)から来ており、そのため部分的には「アザゼル」と語源を同じにしている。


 AMAIMON――も、よく「Amaymon」とも書かれる。おそらく、ギリシア語のMAIMAOの現在形のMAIMONと、強調の接頭辞のAから来ている。そのため、AMAIMONは、「恐るべき暴力と熱烈さ」を意味するであろう。この霊は一部のラビからは、MHZAL(マハザエル)とも呼ばれ、これはおそらく語源のMZ(食い尽くす)から来ているのだろう。アマイモンは、様々な中世の魔術書で非常に力ある霊として述べられており、この霊を召喚した際には、致命的で烈火で毒のある息を防ぐために、その口に向かって、魔術の印を彫った指輪を向ける事を勧めている。


(以下略)


アブラメリン 2-20
↑ アブラメリンの書


*1 エジプトのキリスト教少数民族が使う言語。