アブラメリン 3-1

ページ名:アブラメリン 3-1

魔術の象徴の以下の各章での注記


S.L. マクレガー マサース著


 第3の書の各章での以下の注記では、私は引用で大いに便利なように、様々な題の下で区分けをした。そして、これらの象徴で用いられている魔術の名前のほとんどの説明に加えて、オカルト学徒が各章の終わりを一瞥するだけで、ユダヤ人アブラハムにより本書の他の部分、特に第2の書の終わりにおいて引用している情報の内容を得る助けとなると考えている。


(a)の下では、各章の象徴は何の力により発現するかを私は述べている。
(b)の下では、望む効果の実行を特に司る悪霊の公爵らの名前である。
(c)の下では、その章での作業は「使い魔(従者の霊)」により行われるか否かである。
(d)の下では、アブラハムにより本書の他の部分で与えられている特別な教授の概要である。
(e)の下では、この方陣で用いられている名前のほとんどの意味合いを、可能な限り与えており、また必要に思えるならば追加の注記もしている。


 第3の書のこれらの魔術の象徴は、文字の正方形によってのみ構成されているが、大まかに4つの違った区分に分けられる。


(1)全てが文字で占められている正方形のもの。この形では、二重折句が特に目立っている。もっとも僅かな一部の例では、違った名前の挿入により少し違いがある。


(2)左側に偏っていて部分的な正方形のもの。これらの文字は幾何学ではグノモンと呼ばれるL字型に配置されている。


(3)正方形の中央部が欠けているもの。文字はこの欠けた部分を取り囲む形をしている。


(4)さらに不規則な配置のもの。一部の例では、正方形の空いている部分に単独の文字らが分離して置かれている。


 ほとんど全ての場合で、正方形に配置されているこれらの名前は、生み出す効果、言い方を変えれば、正方形を用いる結果についてのヘブライ語や他の言語による言葉を一般的に表しているのは、注記する価値があるであろう。各章の始めには、各象徴を用いる事で得られる効果のリストを置いている。それから方陣そのものを並べている*1


 元の文書では、これらの正方形は、各章の始めのリストと関連する数が与えられていた。インクの違いから後に行われているのは明らかであるが、筆跡は同じである。また幾らかの例では、これらの正方形と関連させた数が欠けているものもあり、また通常は1,2,3,4,5,6という風に自然な序列となっているが、例えば第5章にある3,4,5,6,1,2,7,8,9,10,11,12というように、不規則なものもたまにある。


 元の文書にある正方形らは、全て同じ大きさであるが、特別な場合にはさらに分割されている。だが、本書では印刷の都合で、同じ大きさで保つようになっている。ほとんどの例では、グノモンや中央が欠けた正方形は、欠けた部分から離しているが、元の文書ではこの規則は常に守られているとは限らなかった。正方形の文字はローマ字の大文字である。ごく僅かな例では、2つの文字が1つの小正方形、あるいは大正方形の副分割の中に入っている。


第1章


 神とその最も聖なる意志に直接に対立せずに、過去と未来のあらゆる事柄を知るには。


(マサースの注記)
(a)この章の各象徴は、天使らあるいは守護天使によってのみ発現する。
(b)オリエンス、パイモン、アリトン、アマイモンが、その共通の配下により、これらの作業を実行する。
(c)この章の作業は、使い魔では実行できない。
(d)この象徴を手に取り、帽子の下、あなたの頭頂の上に置く。それにより秘密裏に、あなたは望む事を実行する霊により答えられるであろう(この作業の方法は、明らかに他の多くの章でも行える)。


(1)一般的な過去や未来のあらゆる事柄を知るには


MILON
IRAGO
LAMAL
OGARI
NOLIM

(マサースの注釈)第1の方陣は25マスの正方形で、二重折句の完全なものである。
 MILONは、ギリシア語のように聴こえるが、果実や木を表すMILOSか、貴重なもの、価値ある品物を意味するMEILONから来たようには、あまり思えない。むしろ私はこれはヘブライ語のMLVN、ものや事柄を運ぶから来ているように思える。
 次のIRAGOは、おそらくギリシア語のEIRA(質問や問い合わせ)とAGO(品行や決断)、あるいはヘブライ語のRGO(中断させる、分析する)から来ていよう。
 LAMELは、おそらくは、カルデア語のMLA(満たす、完全にする)からである。
 OGARIは、ヘブライ語のOGR(飲み込む、素早く飛ぶもの)である。
 NOLIMは、ヘブライ語はNOLIM(隠されたもの)からである。
 これらから、この方陣の術式は以下の様に解釈されよう。「様々な質問は、慎重に隠されたものですら、速やかに、完全に調べ分析される」この規則は他の方陣の術式を見つける事においても用いられよう。


(2)未来に属する事柄を知るには


THIRAMA
HIGANAM
IGOGANA
RAGIGAR
ANAGOGI
MANAGIH
AMARIHT

(マサースの注釈)第2の方陣は49マスの正方形で、これもまた二重折句の完全なものである。
 THIRAMAは、カルデア語のTIRM(強く守られた場所、要塞)からである。
 HIGANAMは、ヘブライ語かカルデア語のGNNかGNM(守る)から来ている。
 IGOGANAは、おそらくヘブライ語のGG(屋根、あるいは上から覆う、守るもの)からだろう。
 RAGIGARも、おそらくはカルデア語のROO(壊す、破る)からであろう。また注意すべき事として、私はOをアイン(ע)の文字に用いているが、これはGh音も同様にある事である。これはオリエント学者でない者には会得するのが非常に難しい音である。
 ANAGOGIは、ギリシア語のANAGOGE(起き上がる、昇る)であろう。
 MANAGIHは、ヘブライ語のMNO(留まる、止まる、障害を置く、障害により抑えられる)である。
 AMARIHTは、ヘブライ語のAMRTh(言葉、発言)である。
 この術式の全体の概念は、場所や事柄への守備を固める事のように思える。


(3)同様


DOREH
ORIRE
RINIR
ERIRO
HEROD

(マサースの注釈)第3の方陣は25マスの正方形であり、これも二重折句の完全な形である。
 DOREHは、ヘブライ語のDVR(住居)からである。
 ORIREは、おそらくはラテン語のORIOR(起き上がる、生まれる)からである。
 RINIRも、おそらくはヘブライ語のNIR(刷新する)であろう。
 ERIROも、おそらくはARR(呪う)からであろう。
 HERODは、ヘブライ語のChRD(震える)からである。


(4)戦争で起きる事柄を知るには


NABHI
ADAIH
BAKAB
HIADA
IHBAN

(マサースの注釈)第4の方陣は25マスの正方形であり、これも二重折句の完全なものである。
 NABHIは、ヘブライ語のNBA(預言する)からである。
 ADAIHは、おそらくヘブライ語のDIH(鳥による予兆)である。
 BAKABは、ヘブライ語のKAB(困難の中にある)である。
 HIADAは、ヘブライ語のIDH(前へ送る、投げる)である。
 IHBANは、ヘブライ語のIHB(与える、もたらす)である。
 ゆえに、この術式は「来るべき困難への予兆による預言」といったものであろう。だがこれは、第4の「戦争で起きる事柄」よりも第6の「来るべき困難」の方に遥かに相応しい。


(5)過去で忘れられた事柄を知るには


NVDETON
VSILARO
DIREMAT
ELEMELE
TAMERID
ORALISV
NOTEDVN

(マサースの注釈)第5の方陣は49マスの二重折句である。
 NVDETONは、ヘブライ語のND(取り除く)とAThN(強く)からである。
 VSILAROは、ヘブライ語のBSHL(実る)とカルデア語のARO(大地)からである。
 DIREMATは、ヘブライ語のDR(囲む、含む)とMT(忘れたもの、横に置いたもの)である。
 ELEMELEは、ヘブライ語のALIMとALH(力ある神)である。
 TAMERIDは、ヘブライ語のThMR(シュロの木のように垂直)とID(前に置く)である。
 ORALISVは、ヘブライ語のORL(豊富)とISh(もの)である。
 NOTEDVNは、NTH(伸ばす)と、DN(争う、統治する)である。


(6)来るべき苦難を知るには


SARAPI
ARAIRP
RAKKIA
AIKKAR
PRIARA
IPARAS

(マサースの注釈)第6の方陣は36マスの二重折句である。
 SARAPIは、ヘブライ語のShRP(燃やす)からである。
 ARAIRPは、ヘブライ語のAR(川)とRPH(和らげる、緩める)からである。
 RAKKIAは、ヘブライ語のRKK(弱く、和らげられる)からである。
 AIKKARは、ヘブライ語のOKR(困難や不和となる)からである。
 PRIARAは、PRR(壊す)からである。
 IPARASは、へフライ語のPRS(粉々にする、バラバラにする)からである。
 これは、困難の術式を与えるであろう。


(7)来るべき幸運を知るには


MALACH
AMANEC
LANANA
ANANAL
CENAMA
HCALAM

(マサースの注釈)第7の方陣は36マスの二重折句である。
 MALACHは、ヘブライ語のMLCh(塩)からである。また、容易に溶けるものである。
 AMANECは、MNK(鎖)あるいは、AMN(安定)からである。
 LANANAは、LNN(住居)からである。
 ANANALは、AN(労働)とNLH(終わらせる、完成させる)からである。
 CENAMAは、おそらくはQNM(香りを放つ)からである。
 HCALAMは、おそらくはHCL(場所として広い)からである。


(8)敵の過去について知るには


KOSEM
OBODE
SOFOS
EDOBO
MESOK

(マサースの注釈)第8の方陣は25マスの二重折句である。
 KOSEMは、ヘブライ語のQSM(神託あるいは予言)からである。
 OBODEは、ヘブライ語のOBD(僕)からである。
 SOFOSは、ギリシア語のSOPHOS(賢い、博識、技量がある)からである。
 EDOBOは、おそらくはDB(囁き)からであろう。
 MESOKは、ヘブライ語のMSK(混ぜる)からである。


(9)嵐の予兆を知るには


ROTHER
ORORIE
TOARAH
HARAOT
EIRORO
REHTOR

(マサースの注釈)第9の方陣は36マスの二重折句である。
 ROTHERは、おそらくはRTT(震える)と、HRR(生み出す)からである。
 ORORIEは、ヘブライ語のOROR(裸で横たわる)からである。
 TOARAHは、ヘブライ語のThVRH(法、理由、その秩序)からである。
 HARAOTは、ヘブライ語のHRH(生み出す)か、ChRTh(記す)からである。
 REHTORは、RTTとThVR(恐れの理由)である。
 この術式全体は、恐ろしい効果の理由を露にするのを表わすのであろう。


(10)戦争の秘密を知るには


MELABBED
ELINALSE
LINAKILB
ANAKAKAB
BAKAKANA
BLIKANIL
ESLANILB
DEBBALEM


(11)真と偽りの友を知るには


MEBHAER
ELIAILE
BIKOSIA
HAOROAH
AISOKIB
ELIAILE
REAHBEM

(マサースの注釈)第10の方陣も64マスの二重折句であり、第11は49マスのものである。
 私はこの術式に含まれる一般的な概念を読者に与えるために、これまでの正方形にある文字によりなされる組み合わせの意味合いについて、充分に慎重な分析をここで書いてきた。これらの注記が過剰にならないために、私はこれからは各方陣に含まれる全ての名前について分析はせず、これらに含まれている主要な幾つかの言葉の意味合いのみを示すのに留めるつもりである。また、このような言葉の文字の二重折句の配置は、その半分はそこにある主要な幾らかの言葉の反射にすぎないと読者は気を付けるべきである。例えば第11の方陣では、REAHBEMは、勿論MEBHAERを逆に書いたものであり、ELIAILEは、前からも後ろからも同様に読め、HAOROAHも同様である。BIKOSIAは逆に書くならばAISOKIBを与える。しかしながら疑いなく、これらの言葉の一部はある程度は翻訳でき、その場合は、方陣の目的を生み出すのを見出すであろう。ヘブライ語は特に、このような操作により、通常のヨーロッパ諸言語では得られないような読みが可能となる言語である。それらのアルファベットが子音だからであり、アレフ、ヴァウ、ヨドといった(母音とされる)文字すらも、それぞれAの文字ではなく無声音、UではなくV、IではなくYとなせる。また、全ての古代言語で真に共通していたが、この言語の言葉が導かせる語源の体系には、この効果がある。すなわち、2、3文字の組み合わせの大半は、語源を見いだせ、決定的な意味合いを生み出す。これら全てに加えて、カバラでは、ヘブライ文字のそれぞれは、自らのヒエログリフ的な意味合いの完全な圏を持つものとして扱われる。それにより、最も重要な古代ヘブライ語の名前と言葉は、カバラの秘儀参入者により、事実、霊的な力の多くの術式と同様に扱える。私はこれまでかなり長く説明してきたが、それは読者にこれらの魔方陣の構築と使用についての、幾らかの概念を得させるためであった。


アブラメリン 3-2
↑ アブラメリンの書


*1 この訳では、効果と方陣を順に並べる形に変えておいた。また、マサースの注記も、原書では別章にあったものを、方陣と並べて記す事にした。