アブラメリン 1-10

ページ名:アブラメリン 1-10

第10章


 この作業では、我々は大いなる強力な敵と対処しなくてはならないと理解すべきである。我ら自身の弱さと、人間の力と知の限界から、我々は聖天使らと、善霊らの主からの特有の助けと支えが無い限りは、抵抗できない。作業者は常に自らの目の前に神を持ち、いかなる場合にも不快にさせてはならない。一方で、作業者は常に守りを固めて、悪魔とその毒のある種族へのへつらい、従い、敬意を持ったり、僅かといえども服従するような大罪を避けるべきである。それは、作業者を破滅させ、その魂への致命的な損失となるからである。ノア、ロト、イシュマエルからの子孫全てに起きたように、また(我らの父祖の前に)祝福された地を保有し、父から子へと、世代から世代へと知恵を伝えてきたものの、時と共に不実な敵の囁きに耳を貸して、真理の道から自らを逸らし、神から父祖らを通じて受け取った真の学を失い、迷信的な学、悪魔的なまじない、忌わしき偶像崇拝に身を落としたのである。それにより神は彼らを咎め、無視し、その国(イスラエル)から追放させ、我らの先祖の状態へと至らせたのである。そして同じ過ちが再び起きて、我らの今の悲惨と隷属の原因となり、それらは世界の終わりまですら続くであろう。神からの賜物を知ろうと全く望まず、代わりに捨て去り、悪魔の欺きに従っているからである。


 そのため、各自は悪魔に対して、行動でも言葉でも思いでも従わないように気を付けよ。悪魔は鳥を捕らえる蜘蛛*1のように、思いもよらない所から攻めれるほど機敏で巧みだからである。私が先に述べた惨めなボヘミア人や他の者らを、避けるべき(彼らに私が行ったように)反面教師とするようにせよ。


 この作業の始まりで、荘厳な見た目の者が現れ、大いに物柔らかな言葉遣いで、汝に驚異的な事柄を約束するであろう。これら全てを純粋に虚しきものと見做すのだ。神の許可が無い限りは、この者は何も与えられず、この者は信じた者に、損害、偏見、破滅、永遠の呪いを与えるべく行うであろう。我々が聖書で、モーセとアロンの真理と知恵を見くびった、ファラオとその取り巻きらに見るようにである。彼らは最初に悪魔により支えられ、悪魔はまじないの方法によって、先に述べた聖人らによる行いを自らも出来るのを示し、彼らを盲目的な崇拝へと落としたのだ。彼ら自らの過ちと悪魔の欺きを認めなかったので、神により様々な災害により厳しく裁かれ、最後には紅海に全員飲み込まれたのである。それゆえ結論として、私は汝に僅かな言葉により述べると、我らは神のみに頼り、全ての我らの確信を神に与えるべきである。


アブラメリン 1-11
↑ アブラメリンの書


*1 マサース注。蜘蛛の中には小鳥を捕まえて殺せるだけの非常に大きな種もある。だがそれらは、赤道地帯、特に中央アメリカとマルティニーク島にしかいない。この種の学術名は、トタテグモ下目である。