アブラメリン 1-9

ページ名:アブラメリン 1-9

第9章


 悪名高きベリアルは、真の神の知恵を隠し防ぐ力の獲得以外の何の願いも抱いていない。それにより、単純な者らを盲目にし、顎で使い、彼らは単純で過ちの中に常に留まり、真の知恵へと導く道を見つけられないようにするのである。それ以外には、ベリアルとその王国が縛られたままになり、「この世界の君主」の称号を失い、人の奴隷となるのが確実なのを知っているからである。これが、ベリアルが神聖な知恵を取り消し、滅ぼそうとする理由である。だが私は、全てにして単独な者らに、自らを固く守り、主の道と知恵を見くびらず、悪魔とその手下らの誘惑に陥る事の無いように強く祈る。悪魔は嘘つきであり、永遠にそうだからである。そして真理が常に栄えん事を。私が書いたこれら3冊の書に従い、忠実に実行するならば、我々は望んだ目的を達成できるだけではなく、主の恵み、その聖天使らの実際の助けを賢明に知り、感じるであろうからだ。この聖天使らは神に従い、その命を行おうとし、彼らの教授にも従う者らを見ると、とても喜ぶのだ。それらが、私が主張する要点である。


 この知恵は、いと高き聖なるカバラ*1にその基礎があり、これらは長子以外は継承してはならず、我が先祖らが見てきたように、神すらがそれを命じている。最も違った場合もあり、ヤコブとエサウが策略による取り換えが起きた事もあるが*2。カバラは長子相続権に属し、神聖魔術よりも遥かに高貴で偉大なものであり*3、このカバラによって我々は神聖魔術にも到達できるが、神聖魔術からはカバラには到達できない。イサクとイシュマエルの場合*4で起きたように、僕や姦婦の子(私生児)にはカバラは許されず、正当な嫡子に対してのみである。だが神聖魔術は神の慈悲によって、誰もが正しい道を歩むならば得られ、各自は主からの賜物と恵みにより満足するであろう。そして、この作業は好奇心や、法外で馬鹿げた疑念、正当なもの以上に知りたいという願いからなしてはならず、それら僭越者は確実に神の罰を受け、第2原因の者ら*5により真の道から逸らされるだけではなく、悪魔に支配され、その破滅と絶滅は極端なものであり、私は彼らの破滅と悲惨は自らにのみ原因があると言うほかない。古き蛇(サタン)は本書をその毒により悪に染まらせようとし、完全に破壊しようとすらするのは確実である。だがラメクよ! 信仰深き父として、私は汝と万物を造った真の神により汝に、またこの作業の方法を知った他の者らにも、他人の感傷や意見に説得されたり、追求しようとしたり、反対の意見を信じたりしないように望む。神に祈り、その助けを求め、全ての汝の確信を神のみに置くのだ。汝はカバラを理解できずにいるが、にも関わらず、6ヶ月後*6には聖守護天使らは汝の前に現れ、この神聖魔術の保有者にはそれで充分である。


 それゆえ、第3の書に与えている全ての印と象徴は、第4の段階の文字*7により書かれている。だがこの秘密*8を構成する神秘的な言葉は、その起源をヘブライ、ラテン、ギリシア、カルデア、ペルシア、アラビア語から導かれたものであり、この世界の最も賢明な建築家にして創造主である神の意志に従った単独の神秘によるものである。この神のみが、その全能の力により統治し君臨しており、世界の全ての君主らとその王国は、神の無限の力、その聖なる魔術と神の知恵に服従しているのである。


アブラメリン 1-10
↑ アブラメリンの書


*1 マサース注。拙著「ヴェールを剥がれたカバラ」で説明したように、私は「Cabala」や「Kabbalah」より、この「Qabalah」が正しい綴りだと見做している。
*2 創世記 第25章の出来事。
*3 マサース注。すなわち、真にして書かれざるカバラ、古代エジプトの魔術の知恵の事であって、後のヘブライ人のこれらの曲解の事では無い。 訳注、19世紀オカルティストらの通弊である、古代エジプト文化の過大評価と、中世以降のユダヤ教カバラの過小評価がマサースにも見出せる。
*4 創世記 第16章。アブラハムがエジプト奴隷のハガルによりイシュマエルを生んだが、後に正妻のサラからイサクが生まれてから、ハガルとイシュマエルは追放される。
*5 マサース注。すなわち第1原因(神)に従う支配者ら、つまり様々な神力、神々、女神ら、物質世界により直接的に働いている者らの事である。
*6 マサース注。ここでアブラハムは、後に説明するように、新入りニオファイトに必要なこの前行を仄めかしている。
*7 マサース注。この段階については、第3の書の最後を参照せよ。
*8 マサース注。インドの「マントラ」、言葉の力と神秘それ自身が、特にこれらを主張している。