アブラメリン 1-2

ページ名:アブラメリン 1-2

第2章


 それゆえ、私自身もまた「師」として生まれていないと告白する。同様に、この学を自らの適切な天才によって発明したのでもなく、これから私が汝に語る方法と真理により他者から学んだのである。


 我が父シモンはその死の直前に、私に聖なるカバラを得るのに必要な道について特有の印と教授を与えた。だが我が父は、真の道により聖なる神秘へと入っていなかったのは事実であり、私は理性が要求するように、どのようにこれを充分かつ完全に理解すべきかを知らなかった。我が父は、カバラを理解するためののこの方法に常に満足しており、私がこれから汝に教え解説するつもりの真実の学と魔術については、さらに探求しようとはしなかった。


 父の死後、私はもう20歳になっており、主の真の神秘を理解しようとする強い情熱があった。だが私自身の力では、望む目的には到達できなかった。


 そして私はマインツの町には高名な賢者であるラビがいて、その方は完全な神の知恵を持っていると聞いた。学習への強い望みから、学ぶためにこのラビのもとへと向かった。だがこのラビは、主の賜物と完全な恵みを受け取っていなかった。なぜなら、ラビは聖なるカバラの特定の深い神秘を私に示したものの、その最終の目的には到達しておらず、その魔術は主の知恵を用いたものではなく、異教徒で偶像崇拝者の国々の特定の術と迷信を用いていた。それらは部分的にはエジプト人のものであり*1、さらにペルシアやメディア王国の偶像、アラビアの薬草、惑星と星座の力も加えており、最後にラビはあらゆる国々や民、さらにキリスト教徒のものすらも、幾らかの悪魔的な術を引き寄せていた。そして全ておいて霊らがラビを盲目とし、馬鹿げて的外れな方法により服従させていて、ラビはそれらの盲目と過ちを真の魔術だと信じ、そのため真にして聖なる魔術へとさらなる探究をする事は無かった。私もまた、このラビの突飛も無い試みを学び、10年後になっても私は過ちに埋もれたままであり、この10年の後に私はアブラメリンと呼ばれるエジプトの古代の賢者の家へと到着し、賢者は私を汝にこれから述べるつもりの真の道へと導き、他の全ての者らよりも良き教授と教義を授けたのだ。全ての慈悲ある方、すなわち「全能の神」、全能の父により、私はこの特別な恵みが与えられ、少しずつ私の理解を啓明し、目を開き、その神の知恵を見て、崇め、考え、探究させ、その聖なる神秘をさらに理解させ、考えさせるようにし、それにより私は聖天使らとの知遇を得るのにいたり、それらの視野と聖なる対話を楽しみ、これらの天使から私はやがては真の魔術の基盤と、どのように悪霊らに命じて支配するかの方法を受け取った。私はアブラメリン*2を除いてこの真の教授を、神の聖天使らを除いて真にして腐敗しない魔術を受け取れたとは言えないと述べる事で、本章の結論としよう。


アブラメリン 1-3
↑ アブラメリンの書


*1 マサース注。だが真のカバラは疑いなく、エジプトと東洋の知恵からもたらされたものである。
*2 マサース注。この名前は、ある個所では「Abramelin」と、別の箇所では「Abramelim」と綴られている。そのため私は慎重に文書に起きているように綴りを置く事にした。