アブラメリン 2-1

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第1章 魔術の種類


 この章では、魔術の数と種類、あとこの書にて私は汝に教える仕草についてを扱おう。
 魔術的知恵の技と効果が記された物は数えきれない。全てを書こうとするのは、大海を汲み出そうとするくらいに愚かな行為だろう。今日では、大道芸人が飛び跳ね、猿がダンスするのも魔術と呼ばれる。私は汝にこれらのうち少しのみを記そう。
 妖術、偶像、奇抜な幻術は悪魔の誘惑であり、詐欺師の働きだ。神聖な知恵、魔術は自然と超自然の両方で正しく、盲目な群衆が触れられない物すべてに当てはまる。
 医者、占星術師、詩人、妖術師、魔女、偶像崇拝者、無神論者、冒涜者、さらに悪魔すらが、自らを魔術師や賢者だと見なしたがる。
 月の知識を持つ者や、太陽からの者、星々からの者、怒れる霊からの者、淫らな女からの者、愚かな動物からの者、雄の子牛からの者、豚からの者、木片からの者、石からの者、ハーブからの者、言葉からの者、他にも沢山の物があり、それらにより未来の出来事を知ろうとする。
 彼らは地水火風から未来を語る。絵から、顔から、手相から、グラスから、鏡から、剣、ワイン、パン、鳥から、動物やそれらの本能からである。神の知恵はダーツなどの下らぬ物からすら悪用されているのだ。これら全てが知恵や魔術と信じられている。
 嗚呼、哀れな娘よ、か弱き純粋な乙女よ、汝はどれだけ穢され殺されたことか。汚れから顔を起こして、その真の姿を見せよ! 嘘つきどもの口を閉ざせ! 悪党どもが父の家(シナゴーグ)へ行き、その机に座るのを不可能にせよ。こいつらを追い出し、叫べ。「私は真の知恵、生ける神の娘で、その心の宝。汚れた娘たちよ、我が視野から去れ」と。
 我が妹よ、主の知られざる秘密よ、生きよ。我々は同じ心を共有している。我々の訴人どもに対して立ち、名誉を高め、訴人どもを追い出そう。そして世界は我々両者がなおも生き、健在と知ろう。それらを得てからのみ、我々は眠るだろう。我らの創造主の名誉を救おう。
 我が息子よ、これらの2人の姉妹とは誰だと考えるか? 彼女らを知っているか? 聞いたことがあるか? 否。汝はまだ若すぎる。彼女らは長い間議論されていないし汝も知っておろう。慎重に聴け。この2人の姉妹とは神の秘密と神の知恵、カバラと魔術なのだ。
 彼女らの父と創造主は偉大なる神だ。両者とも長い間、死に失われたと信じられてきたが、今彼女らは起き上がった。知恵は若い妹だ。彼女はその名を偽りに使い、自らを魔術師と呼ぶが実は詐欺師どもに対して秘密裏に呼ばれ助けとなる。それ以上の説明は不要だろう。
 彼女を慎重に見よ。汝はその色により彼女を認識するだろう。汝は彼女の名を聞いた事が無いかもしれない。彼女は「神の知恵」と呼ばれる。彼女のマントルは2つの色がある。1つ目は神への畏れであり、もう1つは義だ。
 彼女を汝の師とせよ。彼女の色を自らも纏え。これらを纏うなら、彼女の力は汝のものとなる。彼女の僕となるかのように、神を畏れ、正しくあれ。
 彼女は何者でどこから来たのかなど、さらに汝が知りたいと望むなら、旧約聖書を読め。特に、賢王ソロモンが彼女の知恵について書いたものをだ。それにより、汝が必要な情報を得られるだろう。
 これは我々の父祖が地の始まりより使ってきた古き、神の知恵だ。この知恵はノアから息子ヤペテに、アブラハムからイシュマエルに、イサクからヤコブへと渡された。これはアブラハム、エサウ、ヤコブ皆が使った知恵だ。ロトがソドムより逃れるのに使った知恵であり、モーセが燃える柴より授かり、後に兄アロンに教えた知恵だ。
 この魔術的知恵とカバラの秘密はヨシュア、サムエル、ダヴィデ王、ソロモン王、エリヤ、全ての神の預言者と聖人が使ったものだ。
 キリスト教徒が神と見做しているナザレのイエスとその使徒らも、この知恵の一部を使った。最良の使徒は聖ヨハネで、彼の黙示録の書は素晴らしく、今でも読める。
 これらの知恵、主の娘は、現在まで継承されている。たとえ彼女は盲目で眠っている世界から完全に隠されているとしてもだ。
 これらに加えて、この魔術は独立しており、何物にも繋がっていないと汝は知るべきだ。魔術はカバラに似ているが、劣っている。魔術により、カバラを使わなくても同じ結果をもたらせる。魔術は外部からの助けを必要としない。
 また、知恵や魔術に似ているが違う別の魔術の技もある。これらは聖なる秘密と混ぜ合わされている。これらはカバラの混ざりものから来ている。
 それらの魔術の技は12種類ある。
 夢や幻視の働きが1つ目である。
 4つの技は、奇数の3、5、7(混ざりもののカバラでは、7は最も重要な数である)に偶数の6を加える。
 あとは占星術と呼ばれる天の星とその動きを扱う2つ。鉱物を扱う3つ、植物を扱う2つで12全てだ*1
 これら全ては、ヨシュアとダヴィデ王が行った神聖カバラと充分に混ざったなら、聖なる知恵の始まりを共有している。
 これらの技を単独で使ったり、カバラと関係ない物と混ぜたりしたら、実践すると不幸になったり、悪魔に誑かされたりするだろう。それは自然な結末といえる。これらには何の力も霊的、超自然的な価値もない。たとえ霊的、超自然的な現象が引き起こされたとしても、それは悪魔が素人術師へ与えた結果である。これは魔術でも知恵でもなく妖術だ。
 最後に、神の秘密より来る3つの高潔な技がある。真のカバラと、混ざりもののカバラと、真の魔術だ(混ざった魔術は含まない。それは妖術か悪魔の技だからだ)。私はゆえに、この書の第3の書で、簡潔に真の神聖な知恵と魔術を記そう。


アブラメリン 2-2
↑ アブラメリンの書


*1 マサース注。これらの数の意味合いについての文全ては、原書ではとても曖昧な言葉であった。私は、以下の意味だと考えている。魔術の作業の術あるいは方法は12種類あり、黄道12宮と関連されるかもしれない。2番目で述べていた5の数は完全数である。なぜなら4大エレメンツとスピリットを表す五芒星の類似だからである。6は惑星の数である(古代ではそう知られており、最近発見されたハーシェル星あるいは海王星を除く)。ゾロアスターのカルデアの神託はこう述べている。「神はこれら(の星)を6つ造り、7番目については太陽の火の中へと投げ入れた。」恒星と惑星の2つの働きとは、天からの善と悪の影響で、言い方を変えると、それらの二重の性質である。金属は3つで構成されるが、それは古代の錬金術師らは、それらの基盤は硫黄、水銀、塩と呼ぶ、3つの原理であると考えていたからである。だが、これらの名前を、現在我々が知る物質と同一視してはならない。